中小企業倒産防止共済を活用する時の7つのメリットと4つの注意点

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
bsYUKA150701038569

中小企業経営者の方は、「節税」の手段として、「中小企業倒産防止共済」(経営セーフティ共済)が有効だという話を聞いたことがあると思います。

「倒産防止」という言葉からは、「節税」とは何となく思い浮かびにくい気がしますが、加入して掛金を支払い続けている間は税負担が軽くなるのは事実です。また、その他にも、便利な活用法があります。

他方で、リスクもあると言えばあります。しかし、注意すべき点に気を配っておけば、リスクはそれほど大きいものではありません。そのため、中小企業であれば、加入しておいて損はありません。

この記事では、中小企業倒産防止共済の加入のメリットと注意点について、似たはたらきをする「法人保険」との比較も意識しながら、分かりやすく説明します。

はじめに

中小企業倒産防止共済のメインの役割は、「連鎖倒産」のリスクに備えることです。

たとえば、ある日突然、あなたの会社の大口の取引先が倒産して、売掛金が回収不能になってしまった場合を考えてみましょう。

あてにしていた売掛金が回収できず、その結果として買掛金を支払えなくなってしまったら、最悪の場合、あなたの会社が倒産してしまうおそれがあります。

これは、特に、特定の大口の取引先との関係が強い傾向のある中小企業にとってはきわめて深刻な問題と言えます。

中小企業倒産防止共済に加入して月々の掛金を支払っておけば、取引先が倒産して売掛金等の回収が困難になった場合に、共済金の貸付が受けられるというものです。

そして、それだけでなく、他にも様々なメリットがあります。

これから、加入の条件やメリットについて、順を追って説明していきます。

1.中小企業倒産防止共済に加入するメリット

中小企業倒産防止共済のメリットは以下の7つです。

  • 中小企業であれば多くの会社が加入できる
  • 取引先が倒産して債権回収が困難な場合に共済金の貸付が受けられる
  • 急な資金が必要になった時に無担保・低利率での貸付が受けられる
  • 掛金の全額を損金に算入できる
  • 掛金の額の自由度が高い
  • 40ヶ月以上加入していれば解約時に掛金全額が戻ってくる
  • 解約してもまた再加入できる

メリット1.中小企業であれば多くの会社が加入できる

中小企業倒産防止共済は、1年以上営業していて、下の表の「資本金の額または出資の総額」、「常時使用する従業員数」のいずれかの条件を充たせば加入できます。

会社か個人事業主かは問いません。

加入条件

メリット2.取引先が倒産して債権回収が困難な場合に共済金の貸付が受けられる

貸付金の上限は、掛金の合計、つまり積み立てた金額の最大10倍ということになっています。

積み立てられる金の上限は800万円ということになっていますので、最大8,000万円ということになっています。

担保を立てる必要はなく、また、利子も払わなくて良いということになっています。

いざという時に最大で掛金総額の10倍もの金額を借りられるということは、それだけで非常に心強いものです。

「倒産」の意味と倒産日の基準については、以下の表をご覧ください。

倒産の定義

また、共済金を借りた場合の返済期間は、以下の通りです。割と余裕を持って返済できるように設定されています。

共済金の返済期間

ただし、共済金を借りると、その1/10の額が取り崩されることになります。

たとえば掛金を800万円フルに払い終えた段階で、8,000万円を借りた場合、掛金800万円全額が取り上げられてしまうことになります。

その意味では、無利子・無担保だからと言って、簡単に利用できるものではありません。詳しくは「注意点4.取引先の倒産の場合に共済金を借りるのは「最後の最後」の手段と心得る」をお読みください。

しかし、そうは言っても、会社が取引先の巻き添えになって倒産してしまいそうになっているような時に、まとまった大金を貸してくれるようなところはなかなかありません。

中小企業倒産防止共済に加入していれば、そのような極限状態に陥った場合に、掛金全額を犠牲にしさえすれば、その10倍の額を借りられるのです。これは、年利3%で7年間かけて返済するよりも安い計算になります(興味がある方はこちらのページで計算してみてください!)。大きなメリットと言えるでしょう。

メリット3.急な資金が必要になった時に無担保・低利率での貸付が受けられる

倒産の危機の場合の「共済金」以外にも、お金を借りられる制度があります。

急に資金が必要になった場合に、年利0.9%という低い利率で、しかも担保なしで貸付が受けられるのです。

返済は1年以内に一括ですればいいことになっています。

ただし、1年以内に返済しなかった場合、年14.6%の違約金が課せられます。また、返済期限(借入から1年後)から5ヶ月を経過しても返済がないときは、掛金から貸付金と利息と違約金の額が差し引かれることになるので、注意が必要です。

メリット4.掛金の全額を損金に算入できる

中小企業倒産防止共済には税制上の配慮がされていて、掛金は全額が損金に算入できます。

損金に算入できるのは年240万円・合計800万円に限られてはいます。しかし、連鎖倒産のリスク等に備えることができると同時に、そのコストを掛金を損金に算入して税負担を軽くできるというのは、大きなメリットと言えるでしょう。

メリット5.掛金の額の自由度が高い

掛金は月5,000円~20万円(年間6万円~240万円)と、広い範囲で設定できます。

しかも、掛金合計が800万円に達すれば、その後は掛金を支払う必要がありません。

掛金上限

そのため、会社のキャッシュフローに悪影響を与えることは考えにくいと言えます。しかも、いざとなれば減額もできます。

身の丈に応じて連鎖倒産のリスクへの備えができ、それ以外にも多くのメリットを受けられるのであれば、安いものだと言えます。

メリット6.40ヶ月以上加入していれば解約時に掛金全額が戻ってくる

中小企業倒産防止共済を解約すると、「解約手当金」というものが帰ってきます。これは、保険でいう「解約返戻金」と全く同じものです。

解約手当金の額は、40ヶ月以上加入していれば払い戻し率が100%になります。つまり、それまで支払った掛金の全額が戻ってくるということです。

しかも、40ヶ月未満でも解約手当金の払い戻し率は、民間の法人保険よりも高く設定されています。

加入期間12ヶ月未満ならば解約手当金はゼロですが、12ヶ月以上ならば掛金総額の80%以上、24ヶ 月以上ならば85%以上、30ヶ月以上ならば90%以上、36ヶ月以上ならば95%以上、が戻ってきます。

〈解約手当金の払い戻し率一覧〉

払い戻し率

※税効果を含まない単純な払い戻し率を表しています。

※1「みなし解約」とは、個人事業主が亡くなった場合や、法人(会社など)を解散した場合、法人を分割(その事業のすべてを承継)した場合、個人事業のすべてを譲渡した場合に該当します。

※2「機構解約」とは、12ヶ月分以上掛金の払込みが滞った場合に、中小機構が行う解約です。

掛金を無理なく支払い続けられる額に設定しておく必要はありますが、加入40ヶ月後以降という比較的早いタイミングで、解約した場合に掛金の全額が返ってくるようになるというのは大きなメリットです。

メリット7.解約してもまた再加入できる

中小企業倒産防止共済は、一旦解約しても、加入条件を充たしていさえすれば、再び加入し直すことができます。

ただし、その場合、加入後6ヶ月間は共済金の貸付を受けることができませんのでご注意ください。

2.中小企業倒産防止共済を活用する時の注意点

以上の通り、中小企業倒産防止共済には多くのメリットがあります。ただし、リスクが全くないわけではありませんので、上手に活用するには、注意すべき点があります。

具体的には、以下の4つです。

  1. 掛金は無理なく支払い続けられる額に設定する
  2. 法人保険との使い分け・併用はニーズと掛金・保険金のバランスを考える
  3. 解約のタイミングに気をつける
  4. 取引先の倒産の場合に共済金を借りるのは「最後の最後」の手段と心得る

注意点1.掛金は無理なく支払い続けられる額に設定する

中小企業倒産防止共済の掛金は月5,000 円~ 20 万円で、条件を充たせば減額することもできるので、キャッシュフローに悪影響を与えることは考えにくいと言えます。

しかし、そうはいっても、たとえば、掛金を月20万円いっぱいに設定すると年240万円ということになります。もしも単年度の営業利益がこれを大きく下回ると、掛金を損金に算入しても税負担の軽減の効果は損なわれてしまいます。

やはり、加入期間を通じて無理なく支払い続けられる額にしておくに越したことはありません。

注意点2.法人保険との使い分け・併用はニーズと掛金・保険金のバランスを考える

あなたが中小企業倒産防止共済と法人保険とどちらが良いのか考えたいという場合、注意が必要です。

中小企業倒産防止共済と生命保険との最大の違いは、生命保険であればあなたの身に万一のことがあった場合の死亡保障が受けられるということです。

法人保険でご自身に万が一のことがあった場合の保障を備えたいとか、800万円を超える額の退職金を積み立てたいといった希望があるかも知れません。

もしそうであれば、中小企業倒産防止共済の掛金には限度がありますので、法人保険への加入を優先した方がよい場合もあります。

つまり、これから中小企業倒産防止共済に加入して掛金の上限(年240 万円、累計800万円)を充たそうとすると40 ヶ月(3 年4 ヶ月)かかりますが、極端な話、法人保険ならば1年で800 万円の損金を計上することも可能です。

また、生命保険の場合、加入する年齢が早いうちほど契約条件が有利になります。

したがって、あえて中小企業倒産防止共済に加入せず、ニーズに合った法人保険への加入を優先することも一つの方法です。

あるいは、中小企業倒産防止共済の掛金を敢えて抑えておいて、法人保険に加入するという方法も考えられます。

その場合には、共済の掛金と法人保険の保険料を同時に支払うことになります。したがって、掛金の額の設定に注意が必要です。

注意点3.解約のタイミングに気をつける

中小企業倒産防止共済は、掛金総額が満額の800万円に達すると、その後、いつ解約しても掛金が目減りしません。極端な話、ずっと解約しなくても大丈夫です。

しかし、そうは言っても、一部解約は認められないので、一旦解約すると掛金総額が戻ってきて、それがまるまる雑収入として益金に算入されます。

そのため、それを相殺できる損金が計上されなければ、結局、掛金総額に税金が一気にかかってくることになります。

したがって、解約するタイミングは、掛金総額(益金)を損金で相殺できるようなタイミング、たとえば、大きな赤字が出そうなタイミングであったり、退職金等のまとまった支出があったりするタイミングを選ぶことが大切です。

なお、法人保険の場合、解約返戻金の返戻率が高いタイミングを選んで解約する必要がありますが、一部解約をすることができます。そのため、返戻率が高い期間のうちに毎年少しずつ一部解約することによって、一気に大きな雑収入・益金が出てしまうのを避けることができます。

注意点4.取引先の倒産の場合に共済金を借りるのは「最後の最後」の手段と心得る

先ほど「メリット2.取引先が倒産して債権回収が困難な場合に共済金の貸付が受けられる」でお伝えしましたが、中小企業倒産防止共済は、無利子・無担保である代わりに、共済金を借りると、その10分の1の額が掛金総額の中から取り崩されてしまいます。

たとえば、これは極端な話ですが、掛金が満額の800万円貯まっている状態で、取引先の倒産によって共済金8,000万円を借りることになった場合、掛金800万円が全額取り上げられてしまうということです。

返済を所定の返済期間よりも早いうちに終わらせた場合には「早期償還手当」が受け取れますが、その額は最大でも貸付を受けた額の3.05%~4.12%(取り上げられた掛金の30.5%~41.2%)にすぎません(翌月に返済した場合)。詳しい率についてはこちらをご覧ください。

つまり、掛金総額800万円(満額)で共済金8,000万円を借りた場合、翌月に返済できた場合でも、掛金800万円のうち約330万円、つまり、最大でも4割程度しか戻ってこないということなのです。

したがって、取引先の倒産の場合に中小企業倒産防止共済を活用するのは、掛金が大幅に目減りするのを甘受してでも自社の倒産を避けなければならない究極のケースに限られることになります。

共済金の貸付を受ける決断をするときは、倒産を避けるためにやれることは全てやって、それでも万策尽きてあとはノンバンクから借りるくらいしか手がなくなってしまったという「最後の最後」のことだと心得ておきましょう。

まとめ

中小企業倒産防止共済は、税負担を軽くすることができ、連鎖倒産の危機や急な資金需要に対応でき、最終的に掛金全額を取り戻すことができるなど、メリットが大きいものです。

そのため、掛金を無理のない額に設定するなど、注意して活用すれば、会社を守り、発展させていく上で、強い味方になってくれるものです。したがって、加入しておくことをおすすめします。

法人保険への加入を考える前に一度、中小企業倒産防止共済で何がどこまでできるのか、ということを十分に理解して、上手に活用することを考えていただきたいと思います。

中小企業倒産防止共済の活用についてお悩みの経営者様へ

次のようなことでお悩みではありませんか?

・中小企業倒産防止共済の中身、手続について知りたい
・掛金をいくらに設定したらいいのか分からない
・他の方法もいろいろ検討したい

もしも、中小企業倒産防止共済の活用についてお悩みであれば、どんなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

telhoken

中小企業倒産防止共済の活用に関する無料相談はこちらから

会社の現金を今までより30%多く残す!法人保険の具体的活用術

会社が軌道に乗って利益が出てくるようになったとき、取られる法人税の額に驚いたことはないですか?

会社のキャッシュは自分自身で守ることができます。30%多く残すというのも現実的な話です。たとえば、以下のようなことも可能です。

  • ・ 損益計上のタイミングを調整しながら資金を30%以上多く準備する
  • ・ 同じキャッシュで従業員の退職金を45%以上多く準備する
  • ・ 合計800万円を全額損金にして、利益を繰り延べ確保する

本書では、より多くのキャッシュを残すための法人保険の活用法を、71ページにわたって具体例をもとに詳しく解説しています。

是非ダウンロードして、今後の会社経営にお役立て下さい。


無料Ebookを今すぐダウンロードする

出岡 大作

出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や企業関係法、民法、行政法といった分野について幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
保険の教科書の購読はSNSが便利です。