法人が死亡保険金を受け取るときの税金の処理と軽減方法

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経営者の皆様は、さまざまな目的をもって法人保険に加入されていると思います。中小企業の経営者にとって、事業保障対策、退職金準備、利益の繰り延べなど、会計財務の関心事は尽きないことと思います。

その中でも、法人保険(生命保険)の最大の特徴は、社長に万が一のことがあったときでも、安心して事業を存続できるようになるということにあります。

しかし、せっかく会社を守るために保険に加入されたのに、死亡保険金を受け取った時の税金がどのくらいかかるのかを知らなかったために、「こんなはずではなかった」という事態になる会社様もあります。

会社の大黒柱を失って、会社が一丸となって頑張らないといけないという時に、適正額を超える死亡保険金の税金を支払わなければいけないとなったら、今後の会社存続にも影響しかねません。

そこで、今回は、いざという時に、「こんなはずではなかった」とならないように、事前に、加入されている死亡保険金の税金がどれぐらいになるのか?回避方法はあるのか?についてわかりやすく解説いたします。

1. 法人保険の死亡保険金の税務基本

法人が受け取る死亡保険金は、会計上、「受け取った保険金 – それまでに資産計上していた金額」が雑収入として、益金計上することになります。(法人税法は保険金支払いが確定した段階で保険金額を利益計上します。また全額損金の生命保険は資産計上ゼロです。)

ただし、死亡退職金とご遺族に支払うは、この益金から相殺することができます。この二つの妥当な額の目安は以下の通りです。

  • 死亡退職金:役員最終報酬月額×役員在職年数×功績倍数(社長3)
  • 弔慰金:役員報酬×6ヶ月分(業務上死亡時は3年)

この方法で計算していただくと、税務署に突っ込まれる心配は、ほとんどないでしょう。まとめると、死亡保険金に関する益金の額は、以下の計算式で求められることになります。

「受け取った保険金(雑収入として計上) – それまでに資産計上された金額 – 死亡退職金 – 弔慰金 = 益金」

それでは、次から具体的に事例で見ていきましょう。

2. 法人の死亡保険金の税務事例

以下の会社様を例に説明させていただきます。

S株式会社様
法人保険契約 A社B社の二社で保険金合計2億円(全額損金)
契約者 会社
被保険者 社長
受取人 会社
社長の役員報酬 月100万円
在任年数 20年
功績倍率 3倍
弔意見舞金 6ヶ月

まず全額損金の保険なので、受け取る保険金二億円がそのまま雑収入として益金計上されます。ただし、死亡退職金(100万円×20年×3倍=6000万円)と弔意金(100万円×6ヶ月=600万円)は、この益金から相殺されます。つまり、「2億円-6000万円-600万円=1億3400万円」が、保険差益として益金計上されることになります。

もし、この益金を相殺する術がなく、全額、課税されることになった場合は、実効税率34.3%として、「1億3400万円×34.3%=4596万円」を税金として支払うことになります。

3. 保険金の課税を回避する方法

死亡保険金の課税を回避する方法として、死亡保険金年金支払特約をつけるというものがあります。死亡保険金年金支払特約とは、保険金を一括で受け取るのではなく、毎年分割して受け取るというものです。年金支払特約は各保険会社で対応しておりますが、保険会社により付加できる・出来ない場合もあり、付加できる場合も分割10年のみの対応や 3・5・10年を選べる会社もありさらに15年・20年など長い期間を設定できる会社もあり様々です。

上の事例で、死亡保険金2億円のうち、A社では1億円を一時金として受取り、残りの1億円はB社から10年に分けて毎年1000万円受け取るとしましょう。

その時、最初に受け取る保険金は、1億1000万円になりますね。このうち最終的な益金は、「1億1000万円-6000万円-600万円=4400万円」になります。4400万円に実効税率34.3%を掛けると、1509万円になります。保険金を一括で受け取った場合は、4596万円の税金がかかっていたので、かなり軽減されていますね。

また、翌年以降も、毎年1000万円の営業外収益ができるので、後継者や従業員が安心して働くことができるようになります。なお、保険金の年金支払いの課税に関して、国税庁は以下のように回答しています。死亡保険金年金支払特約を利用する場合は、必ず確認するようにしてください。

  • 通常どおり年金受け取りをする場合
    支払事由発生前から年金で支払う旨を約定している収入保障保険ならびに年金払特約付契約(法人受取契約)については,年金受け取りのつど,益金計上して差し支えない。
    なお,支払事由発生前から年金で支払う旨を約定していない契約については,たとえ支払事由発生時あるいは発生後に年金払を選択した場合でもこの取り扱いによらず,死亡保険金・満期保険金は全額益金計上することになる。
  • 年金支払いの途中で一部を一括受け取りした場合
    通常どおり年金を受け取る場合は上記取り扱いとなるが,年金支払時または年金支払開始後に年金の一部を一括受け取りした場合には,利益操作を抑止する観点から,その時点の未払年金現価を全額益金計上することになる。この取り扱いは,年金の一部一括払が約款に規定されているかどうか問わず,実際に一部一括払した契約について,未払年金現価を益金計上する。
  • 見解のまとめ
    法人が一時金で受け取る保険金は全額益金計上となり、法人税等の課税対象となります。
(ただし、支給する退職金と相殺できる場合には課税されません。)
保険料の資産計上部分の残額がある場合はその金額を除く。
    法人が受け取る年金は毎年受取の都度益金計上となるため、法人税等の負担を平準化できます。
(保険金等の支払事由発生前に年金支払特約を付加し、年金支払期間等を指定した場合)
    保険料の資産計上部分の残額がある場合は、年金総額のうち支払を受ける年金額に対応する部分の金額を除く。

まとめ

この記事では、加入されている法人保険契約の死亡保険金の課税と回避方法をお伝えしましが、課税がかからない方法を知り回避することも大切ですが、いつ起こるかわからない万が一の時、会社の状況に応じて一時金で受取り益金にしたほうがよい選択になるかもしれません。また年金受取りを選択され、その時の状況に合わせ、5年・10年などの期間を設定し企業の安定感を構築するのもことが大事な状況もあります。

死亡保険金年金支払特約は万が一の時に、状況に合わせ「選択」できる権利をお客様自身が持てることが大きな事だと思います。

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川上淳一

川上淳一

ソムリエ呼称資格とファイナンシャルプランナー(AFP)の資格を持つ、ワイン好きプランナー。週末には高校野球の審判を行ったり、研修の講師をしたり多趣味。
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