法人で生命保険を考えるとき知っておくべき4つの目的と最適な使い方

公開 2015年12月13日更新 2020年10月17日
法人で生命保険を考えるとき知っておくべき4つの目的と最適な使い方
法人で生命保険を考えるとき知っておくべき4つの目的と最適な使い方

※(2020年10月17日追記)この記事における法人保険の保険料の税務上の扱い、契約例に関する記載内容は、旧ルールを前提としております。最新のルールについては「法人保険の損金算入ルールを分かりやすく解説します」をご覧ください。また、新ルールを踏まえた法人保険の最新の活用法については「法人保険|会社のお金の問題解決に役立つ最新6つの活用法」をご覧ください。

法人で生命保険を検討しようと思っても、実際どういった商品があるのかよくわかりませんよね。

生命保険に入る目的はあると思いますが、会社にとってどの保険に入ればいいのかわからないと思います。当然のことながら会社の規模、業種、従業員数などによってニーズが違います。

法人で生命保険を活用するときに一番重要なのが目的を明確にして商品を選択することです。

今日は法人で生命保険を考えるときに重要な目的別にどの商品を選択すればいいのかをお伝えします。商品によって特徴があるのでしっかり把握しておきましょう。

はじめに:法人で生命保険を加入するとはどういうこと?

法人で生命保険に加入をするとは会社が契約者となって保険料を負担し、経営者または社員が保障の対象となることです。法人で生命保険に加入する本来の目的は経営者または社員の保障ですが、ほかにも生命保険を活用する目的があります。

主な生命保険の活用法は以下のようになります。

  • 法人税の軽減
  • 退職金準備
  • 社員の福利厚生
  • 事業承継対策

これから法人が生命保険を活用する代表的な4つの方法をお伝えしていきます。

それでは早速見ていきましょう。

1. 生命保険で法人税を軽減をする

法人で生命保険を活用する目的の1つが法人税を抑えることです。簡単にいうと保険料の全部または一部が損金として算入できるので利益を圧縮できます。商品によって損金にできる金額が違うので注意しましょう。ここではよく活用される代表的な2つの商品をご紹介します。

1-1 逓増定期保険で保険料の半分を損金にする

法人で逓増定期保険に加入をすると保険料の一部を損金として算入できます。保険期間によって損金にできる金額は違いますが、1番多いのは保険料の半分を損金にできる契約です。特に中小企業経営者におすすめする商品です。

例えば、、、

これから以下の人を例にして解説します。

  • 40歳男性
  • 死亡保険金額:1億円
  • 保険料:年払1,000万円
  • 保険期間:70歳

逓増定期保険 図

年払保険料約1,000万円支払っていくと上記の契約だと、1/2を損金計上することができますので約500万円損金として算入できます。

そして、この保険はお金が貯まっていきます。例えば5年後に解約をするとそれまで支払った保険料総額が5年間で5,000万円に対して解約したら今まで支払った保険料がほとんど戻ってきます。

お金を貯めながら決算前に利益を圧縮して法人税を抑えることができます。

詳しくは「逓増定期保険とは?基本のしくみと本当の活用法・選び方のポイント」をご覧ください。

経理処理

経理処理は詳しくは「逓増定期保険の経理処理|キャッシュをより多く残せるしくみ」をご覧いただくとして、以下のようになります。

逓増定期経理処理
初めの6/10期間(18年間)は支払保険料の1/2が損金として計上されます。よって500万円の利益が圧縮できます。決算が近づいてきて利益が出ている場合、逓増定期保険を使って法人税を抑えるのも1つの方法です。

1-2 定期保険で保険料を全額を損金にする

お金を貯めながら保険料の全額を損金として算入できます。

ただし、上記の逓増定期保険のように貯まっていくお金(解約返戻金)がピークで80%台となっています。

詳しくは「全額損金の保険のメリット・注意点と知っておきたい2つの活用法」をご覧ください。

生活障害定期

2. 生命保険で退職金を準備する

法人で生命保険を使う目的が退職金の準備です。将来の退職金を準備しようと思っても銀行預金などいつでも引き出せるものだと貯められないという経営者の人も多いと思います。そこで生命保険の中でも掛け捨てではなくお金が貯まっていく商品で損金を作りながら退職金を貯めていきます。

退職金を準備する代表的な2つの商品をご紹介します。

2-1 逓増定期保険で早期に貯める

先ほど法人税のところでお伝えしましたが逓増定期保険は貯まっているお金(解約返戻金)のピークが早く来ます。退職金を短期(5年~10年)で貯めていきたいときはこの保険を活用します。5年後に解約すると払い込んだ保険料が100%近く戻ってくるのでそのお金を退職金にします。

2-2 長期平準定期保険で長期で貯める

短期(5年から10年)で退職金を準備したい場合は逓増定期保険を活用するのがベストです。ただし、長期(15年~30年)で貯めていきたいと思っている人も多いでしょう。その時に活用するのが長期平準定期保険です。

この保険は定期保険の中でも特に長期の保険期間を設定するものをいい、解約返戻金がゆっくり上昇していき、商品によって違いがありますが、65歳~75歳ごろにピークがきて払い込んだ保険料の100%以上が戻ってくる商品もあります。逓増定期保険と違いピークが長く続くので、将来の退職金を準備するのに適しています。

詳しくは「長期平準定期保険の2つのタイプの目的別の活用法と注意点」をご覧ください。

死亡保険金(小さめ)

3. 社員の福利厚生を目的とする

経営者の方は利益が出たときは従業員のために福利厚生を考えているのではないでしょうか?

福利厚生の有効な手段の1つとして生命保険があります。福利厚生で生命保険を利用する目的としては従業員の入院したときの保障または死亡時の遺族の保障などがあります。保険料が損金算入できるのもメリットとしてあります。

福利厚生で保険を使うときは具体的に会社で「福利厚生規定」を作成しておいた方がいいでしょう。

社員の福利厚生を目的とした代表的な3つの商品をご紹介します。

3-1 養老保険を活用して社員の死亡保障と退職金を貯める

養老保険とは死亡時と満期時に同額の金額が受けれる保険です。会社の福利厚生で加入するときは保険料は会社が支払い、社員に万が一のことがあった場合、遺族が死亡保険金を受取ることができます。また保険期間満了した場合には会社が満期金を受け取ります。

その満期金を退職金にします。保険料は福利厚生費として半分損金として計上できます。ただし、福利厚生費にするのは社員全員加入が原則となっています。

3-2 がん保険を活用してがんの保障と退職金を貯める

このがん保険も福利厚生で活用する商品ですが、基本はがんになった時に一時金を中心に受取れます。このがん保険も保険料を福利厚生費として半分を損金として計上することができます。

また、お金も貯まっていくので、解約をして退職金にすることもできます。会社で勤めている間はがん保険として保障をしておき、退職するときに解約して、全部または一部を退職金に充てることができます。同時に保険料の半分を損金として計上できるので節税にもなります。

4. 会社の事業継承を円滑にする

中小企業経営者の方は事業承継対策をどうしようか考えている人もいるのではないでしょうか?事業承継対策の方法はたくさんありますが、生命保険は有効な方法です。

生命保険は主に万が一があったときの死亡保障として活用しますが、お金が貯まる商品もあるので活用方法は多数あります。

4-1 生命保険で相続税の納税資金を確保する

承継させたい資産に比べて、その資産の承継に伴う相続税額が大きくなる場合、相続税が支払えない場合があります。

相続税の納税資金を現金で確保できていれば、その自社株は法定相続人に相続されますが、自社株の評価が思いのほか大きくなっていたため、相続財産全体が膨らみ、納税資金を現金で準備できないことが考えられます。

相続税を支払うために、現金で準備できなかった場合、持っている有価証券や不動産を売却するか、自社株を売却して現金化して納税をする必要が発生します。

売却しても問題ない有価証券や不動産だけの売却だけならいいのですが、自宅や自社株を第三者に売却し現金化することになり、オーナー社長が作り上げた会社を手放すことにつながってしまいます。

もし「会社を息子に継がそう」と思っていたとしても、自社株を売却してしまっては他人の会社になってしまいます。

生命保険に加入をしておくことによって、まとまった現金が手に入るので納税額を準備することができます。

4-2 逓増定期保険で自社株評価の引き下げを行う

事業承継で最も頭を悩まされるのは、自社株です。

自社株を買い取るには多額の資金が必要になります。自社株の評価に資本金は基本的には関係ありませんので、特に長く利益が伸びている会社は資本金が1千万であっても純資産が多く、1株当たり数十倍、数百倍というケースもあります。

法人契約の生命保険は、契約の仕方や保険種類によって異なりますが、保険料の一部を損金計上できるので自社株の評価を押し下げることができます。

自社株の評価は会社の規模によってことなりますが類似業種比準方式を採用することが多いです。

※類似業種比準方式とは
評価する会社と事業内容が類似する事業を営んでいる公開会社の株価と比べて株価を算定する方式です。
株価の価格に重要とされる「配当金額」「利益金額」「純資産額」の3つの要素について、「参考にする公開会社の要素の数値」に対して「評価する会社の数値」がどんな偏差があるのか、その割合を求める方法で比較します。

類似業種比準方式の場合「配当金額」「利益金額」「純資産額」の3つの評価が下がれば自社株の評価も低くなります。

自社株の評価を下げる方法の1つとして生命保険を活用する方法があります。

例 逓増定期保険を使った場合

  • 契約年齢:50歳
  • 保険期間:20年
  • 保険金額:1億円
  • 保険料:年払1,000万円

保険料の経理処理

逓増定期経理処理

毎年の保険料の1/2が損金になりますので、その分自社株の評価は押し下げられます。

以上、生命保険を活用した事業承継対策については、詳しくは「事業承継対策に役立つ生命保険4種類の活用法」をご覧ください。

まとめ

このように法人で生命保険に加入する目的は多様にあります。もちろん会社の規模、売上、従業員数によって全くニーズが違います。自分の会社は何を重視するのか、そして将来貯まっているお金をどう使うのかをしっかり決めてから加入をしないといけません。

また1つ生命保険に加入をするにしてもメリット・デメリットが複数あるので併せて確認をしておきましょう。

動画でも解説しています

社長の資産防衛チャンネルでは、税理士が同じテーマをより詳しく解説しています。 文字で追いきれなかったところは、動画でご覧ください。

社長の資産防衛チャンネルを見る →
法人生命保険

法人で養老保険を活用するメリットとデメリットを本音でお伝えします

この記事をお読みの皆様は、養老保険の活用をお考えのことだと思います。そして、メリットやデメリットをある程度詳しく知りたいと思っているのではないでしょうか。 養老保険はよく、保険金の受取人を誰に設定するかのパターンが4タイ…

2023年10月30日
法人生命保険

法人が医療保険を活用する3つの方法と損金算入ルール

会社の経営が軌道に乗ってきて資金の余裕が出てきた法人のお客さまから、医療保険を法人で活用する方法について相談を受けます。 一口に医療保険と言っても、経営者の方のためと、従業員の福利厚生のためとでは、活用法が違ってきます。…

2023年10月17日
法人生命保険

養老保険で従業員の退職金を準備するメリット・デメリット

多くの会社で、従業員の退職金を準備するのに利用されているのが、養老保険(福利厚生プラン)です。 個人向けの養老保険があまりメジャーでないのに比べ、法人向けの養老保険はわりとよく活用されています。それは、保険料の1/2を損…

2025年1月23日
法人生命保険

年30万円を全額損金にできる法人保険の2つの枠

法人保険の保険料の扱いに関する通達が2019年に改訂され、いわゆる「節税商品」として人気があった「全額損金定期保険」は姿を消しました。 高額な保険料が全額損金になり、解約返戻金が最高で80~90%にもなる保険はもう存在し…

2024年11月7日
法人損害保険

火災保険の質権設定って何?概要と注意点まとめ

家のローンを組む時に、金融機関から、火災保険に質権を設定させるよう言われることがあります。 そうすることには、どういう意味があるのでしょうか。 この記事では、火災保険への質権設定とはどういう意味でどんな効果があるのかとい…

2023年10月24日
法人保険

中退共の退職金 早見表|掛金月5,000円・1万円・3万円×勤続年数でいくらもらえる?【受取額の目安】

中退共(中小企業退職金共済)で従業員の退職金を積み立てると、最終的にいくら受け取れるのか。結論から言うと、掛金月1万円なら10年で約127万円、20年で約267万円、30年で約421万円です…

2026年11月1日
賠償責任保険

PL保険とは?基本の補償内容と組み方のポイント

PL保険(生産物賠償責任保険)は、作ったモノや仕事の結果に欠陥があったことによってお客様等に損害を与えてしまった場合の賠償責任をカバーしてくれる保険です。 このように書くと、飲食業や製造業、建設業等、とにかく「モノ」を「…

2022年5月27日
法人損害保険

フォークリフトの事故に備える保険|4パターンのリスクと必要な補償

物流や運送業で活用されるフォークリフトは、重い荷物を大量に運んだり、高所で積み下ろし作業をしたりするので、些細なミスが重大事故につながるリスクがあります。 あなたの会社は、事故が起きてしまった場合に備えて、しっかりとした…

2024年11月19日
通話料無料で今すぐ電話で相談予約フォームから無料相談予約