中小企業が退職金制度の導入をするときに心得ておくべきこと

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従業員のために退職金を用意してあげたいが、様々な理由でためらっている経営者の方も多いのではないでしょうか。

退職金制度は会社にとって大きな負担になるので、慎重になる経営者の方の気持ちもよくわかります。

退職金制度を導入しても、退職金のコストに対する従業員のパフォーマンスが上がらず、ただ会社の財務体質を悪化させてしまい、結果として従業員のためにも会社のためにもならない退職金制度を導入してしまったというケースが存在します。

退職金制度の導入は、大きなコストとリスクを企業が負っているものなので、退職金制度を導入するときには様々な工夫を行い、コストパフォーマンスを高めてほしいと思います。

本日は、退職金制度導入でお悩みの中小企業経営者のために、退職金制度を導入するときに心得ておいてほしいことをまとめましたので、退職金制度を導入する前に是非確認しておいてください。

1、退職金制度で支払うコスト以上の効果を求める

経営者の方は、ただのお人好しで退職金制度を導入してはいけません。

従業員の退職金制度は非常にコストのかかる制度です。

その制度を導入するのならば、それ以上のパフォーマンスを期待しなくてはなりません。

退職金を導入することによって

  1. 従業員が長く働いてくれる。
  2. 従業員が今まで以上にがんばってくれる。
  3. 新しい人材確保が容易になる。

この3つのメリットを引き出せなければ退職金制度を導入する意味はありません。

退職金制度のない中小企業は約20%といわれています。

つまり、退職金制度のない会社の従業員は老後のことなどを考えて退職金制度のある会社で働きたいという気持ちが出てきたときに不満を抱いてしまいます。不満を抱くだけならばまだしも、優秀な人材が会社を辞めていってしまうという事態も起こりかねません。

退職金制度があると、それだけでこのようなリスクを回避することができます。

しかし、「退職金制度なんてあって当たり前」と従業員に思われてしまっては退職金制度を導入した意味がなくなってしまいます。

上記1~3のような状況を作るために、退職金制度には工夫が必要です。

2、退職金規定をしっかりと従業員に認知してもらう

退職金制度を導入した場合は、退職金に関する規定を従業員に伝える義務があります。このときにしっかりと内容を伝えなければいけません。

この『退職金規定』の内容とその伝え方次第で、従業員の退職金に対する考え方が変わります。

ポイント1:支給金額の計算方法を明示する

多くの会社が基本給と勤続年数をベースに退職金の支給額を計算しています。

しかし、これでは勤続年数を重ねていけば、会社の貢献度とは関係なく退職金支給額が増えていってしまうことになります。

もちろん勤続年数が長い人に多く退職金を支払うことは大切ですが、会社の社風によってはポイント制の退職金制度にしてもいいかもしれません。

ポイント制の退職金制度とは一般的に、資格等級ポイントと在籍年数とポイント単価で決めているところが多いです。

大企業では約40%、中小企業では約10%がこの退職金制度を採用しているようです。

よって、定年退職の日まで一生懸命働けばたくさん退職金がもらえるのだから老後の備えは会社への貢献でも行えるのだという意識をもって働いてもらうことが大切ではないでしょうか。

もちろん会社の社風や経営者の方針によって、ポイント制にした方がいいのかどうかは経営者の判断で決まるのではないでしょうか。

ポイント2:支給制限について明示する

定年まで一生懸命働いてくれた社員には、経営者も喜んで退職金を支払ってあげたいと思うことでしょう。しかし、会社にあまり貢献していない社員には退職金なんて払いたくないと思ってしまうこともあるのではないでしょうか。

例えば、自己都合でやめてしまう従業員や会社に損害を与えて懲戒免職にした従業員などには退職金を払いたくはないですよね。

これも退職金規定にしっかりと記載をして、従業員の方に認知してもらいましょう。

ポイント3:制度変更に関する但し書きを明示する

将来の財務状況によっては、退職金が出せない可能性があり、制度を廃止または変更する旨をしっかりと記載しておきましょう。退職金は従業員の大切な財産の1つですので、容易に内容変更はできないのですが、会社が業績不振になり倒産してしまっては従業員の働く場も失ってしまい退職金どころの騒ぎではなくなってしまいます。

このことをしっかりと従業員の方に認知してもらうことで、みんなで会社の業績を出そうという空気を作ることが大切ではないでしょうか。

この3つのポイントを退職金規定に記載し、しっかりと従業員に伝えることで退職金の考え方を従業員に理解してもらうことがとても大切です。

3、なるべくキャッシュアウトできない商品で退職金の備えをしない

会社にとって一番大切なのはキャッシュです。黒字倒産という言葉があるように業績の良し悪しに関わらず会社に現金がストックされていないことで倒産してしまうこともあり得ます。

従業員の退職金制度をキャッシュアウトできない商品で備えてしまうと、万が一のときに資金繰りが苦しくなって倒産してしまう可能性もあります。

例えば、資金繰りが苦しい時期に多額の法人税などの支払いがあった場合、

キャッシュアウトできる商品に加入していたとすれば、その商品を解約して現金を手に入れて税金を支払うことは可能でしょう。(従業員のための退職金はしっかりと後で確保していく必要は生じます。)

キャッシュアウトできない商品では、解約をしてもすぐに現金が手元に入らないので、法人税などの支払いができず倒産につながってしまう可能性があります。

キャッシュアウトできない代表的な商品は、『中小企業退職金共済制度』です。

多くの中小企業が、中小企業退職金共済制度を退職金の備えとして活用していますが、実はこの制度を選ぶときにはキャッシュアウトができないということをしっかりと理解した上で加入しなければなりません。

さらに、中小企業退職金共済制度は自己都合退社をした従業員や懲戒免職になった従業員にも退職金が支払われてしまいます。退職金の減額をしたとしてもそこまで会社が支払った掛け金は戻ってこない仕組みになっていますので、この点にも注意をしておくべきでしょう。

資金繰りに困ることがない企業は少ないかと思いますが、キャッシュが会社にたくさんある企業や仕入れがなく在庫を抱えなくてもよい業態の会社で業績が安定しているのであれば、キャッシュアウトできない商品を選択してもいいかもしれませんが、そうでなければあまりおすすめはできません。

4、無難な退職金の備え方は養老保険(福利厚生プラン・ハーフタックス)

キャッシュアウトできない商品では、資金繰りに困ったときにリスクがあるという話をしましたが、養老保険(福利厚生プラン・ハーフタックス)で従業員の退職金準備をするのはキャッシュアウトできるという側面で考えると比較的安全な方法です。

養老保険「福利厚生プラン・ハーフタックス」の目的

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〈養老保険の解約返戻金の額の推移(イメージ)〉

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養老保険のメリット

  • 従業員の遺族への保障を確保することができる。
  • 解約・減額金がすぐに現金で会社に入る。
  • 契約者貸付で、保険を解約しなくとも短期間で資金を調達できる。
  • 自己都合退職や懲戒免職の従業員の養老保険はある程度期間が経っていれば払い済み保険に変更することもできる。

養老保険のデメリット

  • すぐ解約してしまうと払込保険料よりも解約返戻金が下回る
  • 保険料の半分しか損金計上できない

養老保険がすべての中小企業にベストなチョイスになるとは限りません。

特に離職率が高く、人材の流動が激しい会社では、早期に養老保険を解約することになるので、大きな損失になりかねません。

しかし、法人の生命線である『キャッシュの問題』やまじめに働く従業員のモチベーションを保つための『退職金の支給制限』の観点から考えると養老保険で従業員の退職金を備えるのが無難であると言えるのではないでしょうか。

まとめ

近年、退職金の支払いで頭を抱える経営者の方も多くいらっしゃいます。

中小企業の経営者の皆さんには、退職金に対するコストもリスクも存在していることを経営者の皆さんにはしていただき、従業員の退職金制度を導入するかしないかを慎重検討していただきたいと思います。

退職金制度を導入したのならば、そのコスト以上のパフォーマンスを発揮してもらえるようにしっかりと規定を作りこみ、従業員へ意識付けを行いましょう。

また、企業の生命線はキャッシュですので、キャッシュアウトできない商品で退職金制度を備えることを検討している方は、万が一のときのこともしっかりと考えて検討してほしいと思います。

様々なことを考えても、自社にあった退職金制度の備え方がわからない方は、是非お近くのファイナンシャルプランナーにご相談ください。

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松澤 正宣

松澤 正宣

大手生命保険会社にてオフィス長を経験。
これまで200名以上のセールスに教育・研修を行ってきた保険のコンサルタント。
得意分野は資産家・経営者の税金対策。
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