生産物賠償責任保険とは?誰でも分かる中身と使い方

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生産物賠償責任保険(PL保険)という聞き慣れない保険があります。どういうものか、なかなかイメージしにくいのではないでしょうか。

生産物賠償責任保険は、大雑把に言えば、製品の欠陥のせいで他人の身体・財産に害が生じた場合、その製品を扱った業者が賠償責任を負うリスクがあるので、それをカバーする保険です。製品を「作った」業者に限られないことに注意が必要です。

この記事では、生産物賠償責任保険(PL保険)について、必ず押さえておいていただきたいことを、分かりやすくお伝えします。

この記事をお読みになれば、生産物賠償責任保険について基本的なことが理解でき、また、他の保険との組み合わせ方や使い分け方がお分かりになると思います。どうか最後までお読みになってください。

1.生産物賠償責任保険はどんな時に役立つか

1.1.生産物賠償責任保険は工事・仕事完成・引渡後1年間の損害に備えるもの

生産物賠償責任保険とはどういうリスクに備えるものでしょうか。

それをどんな言葉で語るよりも切実に理解できる、あるお客様の言葉がありますので、ご紹介します。そのお客様は、近畿地方を拠点に内装業を営んでいらっしゃる法人様です。損害保険に関する相談をお受けして東京支社にうかがった際、しみじみとおっしゃっていました。

「作業中にすぐ分かるミスはある意味どうとでも対応できます。一番こわいのは、ミスに気付かずに仕事が完成して、後でそれが原因で事故が起きてしまうことです。」

たとえば、配管工事のちょっとしたミスのため、ふとした地震がきっかけでその箇所から水漏れしたり、周囲が腐食したりしてしまうことがあるというのです。生産物賠償責任保険は、まさに、そういうケースをカバーするための保険です。

保険がカバーする期間は、工事完成・引き渡し後1年間です。

生産物賠償責任保険の出番は、モノを作ったり仕事を完成させたりした後で、作業中のミス等が原因で他人の身体や財産に損害を与えた時です。その場合には損害賠償をしなければならないので、そのお金を保険金でまかなうのです。

このように、生産物賠償責任保険は、非常に得体の知れない、こわいリスクに備えるための保険と言えます。

1.2.他の3種類の保険と組み合わせることで真価を発揮する

生産物賠償責任保険は、あくまでも仕事完成後に発生した損害に関するものです。したがって、他に、作業中に起きた事故による損害に備えた保険とプラスすることで、あなたの会社をしっかり守ってくれます。

作業中に起きた事故による損害は、3とおりの保険でカバーできます。どんな業種でも、基本はこの3通りです。

  1. 作業の目的物や、自分が持ち込んだ機材・資材等の損害をカバーする保険
  2. 作業中の作業員の身体の損害をカバーする保険
  3. 他人の身体や財産に損害を与えて損害賠償責任を負ってしまう場合をカバーする保険

まず、作業の目的物や、自分が持ち込んだ機材・資材等の損害をカバーする保険は、「建設工事保険」「組立保険」「土木工事保険」といった保険です。

次に、作業中に作業員の身に危害が生じた場合をカバーする保険は、国の制度である労災保険と、それにプラスして加入する「業務災害補償保険」等です。

そして、他人の身体や財産に損害を与えて損害賠償責任を負ってしまう場合をカバーする保険は「損害賠償責任保険(請負業者損害賠償責任保険等)」です。

これらの保険で建設工事中の損害に備え、それにプラスして生産物損害賠償責任保険(PL保険)に加入することで、工事による損害への備えは万全になります。

補償対象

2.生産物賠償責任保険がカバーする損害はどこまでか

では、生産物賠償責任保険で、どこまでの損害をカバーできるでしょうか。

基本的な補償範囲は、大まかに、以下の6通りに分けられます。損害賠償金以外の費用も補償されることにご注目ください。

2.1.損害賠償金

まず、仕事完成・引き渡し後の事故によって発生した損害賠償金がカバーされます。これは生産物賠償責任保険の最も基本的な役割です。

2.2.損害を防ぐためにかかった費用

次に、損害が一旦発生したら、損害自体を防ぐ措置をしないと、損害が拡大し、損害賠償金もどんどんかさんでいきます。したがって、損害自体を防ぐ費用や、損害の拡大を防ぐための費用もカバーされます。

2.3.権利保全行使費用

これは言葉からして少しややこしいので、専門用語を使わず具体的な事例でお伝えします。

たとえば、あなたの会社が請け負った仕事を下請業者に出し、その下請業者が工事ミスをし、そのせいで工事完成後に他人に損害を与えてしまったとします。この場合、あなたの会社は、下請業者の監督責任があるということで、損害賠償責任を負うことがあります。

しかし、工事ミスをしたのはあなたの会社ではありません。ある意味、下請業者の泥をかぶってあげたことになります。そこで、あなたの会社は、損害賠償金を被害者に払った後、下請業者に対し、その分を「支払え」と言うことができます。「権利保全行使費用」というのは、その手続のためにかかる費用を言います。

2.4.裁判等にかかった費用

被害者から、損害賠償責任を追及する裁判を起こされることがあります。その場合、裁判に負けると、損害賠償金を支払うだけでなく、訴訟の費用も持たなければならなくなります。その費用もカバーしてもらえます。

また、裁判となれば弁護士も雇わなければなりませんので、その費用もカバーされます。

2.5.作った物が使用不能になったために生じた損害(使用不能損害保障特約)

仕事の依頼者が、完成した物を使えなくなってしまい、他の代わりのものを買ったり借りたりしなければならなくなることがあります。

他人の身体や財産を傷つけるわけではありませんが、これも立派な損害です。したがって、その費用を補償してもらえます。

2.6.生産物の回収・検査・修理・交換等にかかった費用(リコール費用特約)

これは物を大量に生産する場合に必要な特約です。イメージしやすいのは自動車やエレベーターの欠陥です。たとえば、自動車のブレーキの設計ミス等は以前からよく聞く話です。また、最近、エレベーターの設計ミスの隠蔽のニュースが問題になったことがあります。あるメーカーのエレベーターに、ドアが開いたまま作動してしまうという構造的な欠陥があったというものです。

こういう場合、生産物は市場に大量に出回っていますので、その旨を公表して、無料で修理・交換しなければならなくなります。これを「リコール」と言います。

そして、生産物賠償責任保険は、特約を付けることで、リコール費用を補償してもらえます。

3.生産物賠償責任保険の注意点

このように、生産物賠償責任保険は、仕事完成後に発生する損害賠償金自体だけでなく、それに伴う費用をかなり広い範囲で補償してくれるものです。

ただし、以下のような注意点があります。かいつまんで説明します。

3.1.ミスがあまりに重大だと補償してもらえない

ミスがあまりに重大すぎる場合は、「重過失」と言って、「故意」つまり知っていてやった場合と同じと扱われてしまいます。

したがって、ひどすぎるミスのせいで損害が発生した場合には、補償してもらえません。

3.2.危険すぎるモノから生じる損害は補償してもらえない

扱うモノが危険すぎる場合は、そこから生じた損害を補償してもらえません。

たとえば、放射性物質、爆発物、アスベスト、汚染物質といったものを扱う場合、それらを扱う仕事から生じた損害は、補償されません。

3.3.自己負担額(免責金額)がある

多くの生産物賠償責任保険では、自己負担しなければならない額が設定されています。その額までは保険会社が支払う責任がないということで、「免責金額」と言います。

まとめ

生産物賠償責任保険(PL保険)は、モノ作り等の仕事完成後に、作業中のミスが原因となって人の身体・財産に損害が発生した場合をカバーする保険です。

「作業の目的物や、自分が持ち込んだ機材・資材等の損害をカバーする保険」、「作業中に起きた事故で作業員の身に危害が生じた場合をカバーする保険」、「他人の身体や財産に損害を与えて損害賠償責任を負ってしまう場合をカバーする保険」にプラスして加入することで、工事作業等によって生じるあらゆる損害をカバーして、あなたの会社を守ることができます。

補償範囲は、損害賠償金それ自体だけでなく、損害を防ぐための費用や、生産物の回収・検査・修理・交換にかかる費用や、裁判にかかる費用等もカバーしています。

ただし、仕事のミスがあまりにひどすぎる場合等、補償されないケースもあります。また、ある程度までの額は「免責金額」といって、自己負担しなければなりません。

生産物賠償責任保険は、その補償範囲をよく理解して、他の保険と組み合わせて活用することで、真価を発揮すると言えるでしょう。

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出岡 大作

出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や法律といった分野から、自然科学の分野まで、幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
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