老後資金を保険で貯める4つの方法

公的年金が信用できない今、どうやって老後のためのお金を貯めていけばいいのか、迷うことと思います。

安定してお金を貯めていける有効な手段の一つに、保険があります。ただし、保険といっても多くの種類があり特徴も様々です。なので、保険を活用するなら、そのメリットと活用上の注意点を理解し、自分に合ったものを選ぶ必要があります。

この記事では、老後資金を貯めるのに必要な保険で貯める方法と、どんな人が保険を使うのに向いているのかなど、保険の活用を考える上で知っておくべきことをお伝えします。

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保険の教科書編集部

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はじめに|保険を使って老後資金を貯めるのがおすすめな人

この記事では、老後資金を保険で賢く貯めていく方法をお伝えしますが、はじめに私が考える保険を活用するのをおすすめする人とそうではない人をお伝えしたいと思います。

おすすめする人

  • 保険で保障を受けながらお金を貯めていきたい人
  • 貯金できる自信がない人
  • 安定してお金を貯めていきたい人

この3つに該当する方は記事を読み進めていただき参考にしてください。

おすすめしない人

  • 将来お金を大きく増やしたいと考えている人
  • 保険の必要性を感じていない人
  • 短期(5年以下)で貯めたいと思っている人

この3つに該当する方は、他の金融商品で老後資金貯めていくのをおすすめします。保険よりも、もっとニーズに合った商品があるはずです。

それではここから、老後資金を保険で貯めていく方法をお伝えします。具体的には以下の4つの方法です。

  1. 生命保険も兼ねて積立ができる「低解約返戻金型終身保険
  2. 老後資金の積立に特化した「個人年金保険
  3. 利率が高い「外貨建て保険
  4. 運用によって受取額が変わる「変額保険

それぞれについて説明します。

1. 生命保険も兼ねて積立ができる「低解約返戻金型終身保険」

1-1.安定して積立ができる低解約返戻金型終身保険

低解約返戻金型終身保険は、運用によるお金の増減がなく、将来もらえるお金が固定されていますので安定して積立をすることができます。

最近は積立の効率が低下してきていますが、返戻率が円ベースで約束されているので、今なお根強い人気があります。

生命保険との保障は一生涯ですが、保険料払込期間が設定されています。払込期間までに保険料全額を払い込めば、お金が増える仕組みになっています。

逆に言えば、途中で保険を解約すると、受け取れるお金は減らされてしまいます。

以下の例をご覧ください。

30歳男性 

  • 死亡保険金額:300万円
  • 月払保険料:19,671円
  • 保険料払込:10年
  • 保険期間:終身

19,671円×12か月×10年=支払保険料総額2,360,520円
・30年後(60歳)の解約返戻金:2,579,940円÷2,360,520円×100=返戻率109.2%
・40年後(70歳)の解約返戻金:2,716,380円÷2,360,520円×100=返戻率115.0%

終身保険の図

※上記の図はイメージです。

この契約では、月払保険料19,671円を10年間支払っていくと、支払保険料総額が約236万円になります。30年後(60歳)に解約すると解約返戻金は約258万円で、約22万円お金を増やすことができます。このように、最終的に保険料総額よりも多くのお金が受け取れます。

しかも、解約をせずにそのままおいておくと、保険会社が運用してくれるのでお金は増え続けます。70歳時点だと解約返戻金は約272万円で、約36万円お金を増やすことができます。

このように、低解約返戻金型終身保険は、保険料を設定期間まで支払うとお得な商品です。

また、貯まったお金を年金で受け取ったり、介護年金にしたりできます。

しかも、生命保険で死亡保障が付いているので、もし途中で万が一があれば300万円の保険金が支払われます。

ただし、保険料払込期間が終わる前に解約してしまうと、戻ってくるお金は保険料総額よりも減ってしまうので注意が必要です。しっかりと払っていけるだけの保険料を設定するようにしましょう。

1-2.低解約返戻金型終身保険2つの注意点

このように、低解約返戻金型終身保険には、ある程度の貯蓄性があります。ただし、以下の2点に注意する必要があります。

注意点1:途中で解約すると損をする

これは多くの積立型の保険に共通することですが、保険料の払込期間が終わる前に解約してしまうと、支払った保険料よりも戻ってくるお金が少ないことです。加入年数にもよりますが、途中解約すると解約返戻金は約70%くらいしか受け取れません。

対処法としては以下の2つがあります。

①保険料払込期間を短くする

保険料の払込期間を短くすれば、中途解約のリスクが減ります。先ほどのプランでは、30歳から60歳まで30年間保険料を払い込まなければいけませんが、払込期間の設定を40歳までにすると、10年だけ保険料を払えばいいので、解約リスクは減ります。

②保険料を無理なく払い続けられる額に設定する

理な保険料設定は危険です。将来のことを考えて、最後まで支払える金額を設定しましょう。

なお、もし急にお金が必要になった場合は、保険会社からお金を借りる契約者貸付制度を利用することもできます。

注意点2:保険会社が倒産するリスクがゼロではない

保険会社も会社なので、倒産する可能性はゼロではありません。格付けや財務状況が優良な保険会社を選ぶ必要があります。

ただし、掛けている保険料がなくなるわけではありません。最悪のケースでも、「生命保険契約者保護機構」によってある程度は保障されるしくみになっています。

1-3.一括支払いもできる

保険料支払いは「月払い」を選ぶケースが多いですが、保険料全額を一括払いできる商品もあります。これを「全期前納」といいます。

一括で保険料を全額支払うと保険料の割引率が多少高くなります。この点については最後に、返戻率を上げる方法の一つとして詳しくお伝えします。

2.老後資金の積立に特化した「個人年金保険」

老後の積立を目的として作られたのが「個人年金保険」です。これは生命保険というよりも貯蓄商品です。

最大のメリットは所得税の節税になることです。それだけでも実質的にお金が増えるのと同じメリットが得られます。

2-1.個人年金保険とは

個人年金保険は死亡保障の機能をほとんど持たず、老後の貯蓄をするための商品です。コツコツお金を貯めていきたい人、出来るだけリスクを少なくして老後のお金を貯めていきたい人におすすめの保険です。

ただし、低解約返戻金型終身保険と同じく、早期解約をしてしまうと損することが多いです。

詳しくは「必見!個人年金保険を検討する人が押さえておくべき全知識まとめ」をご覧ください。

2-2.個人年金保険料控除で節税効果がある

個人年金保険に加入をすると保険料の一部を所得から控除できる個人年金保険料控除を受けることができます。これは、1年間に支払った保険料に応じて、一定の金額がその年の所得から差し引かれ、所得税や住民税の負担が軽減される制度です。

所得税の金額は、給与などの所得に一定の税率をかけて金額が決まるため、所得控除により課税所得(課税の対象となる所得)を減らすことによって、所得税と住民税が軽減されます。

生命保険保険料控除は以下の3種類になります

  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除

ただし、個人年金保険のすべての契約が控除の対象となるわけではありません。以下のすべての条件を満たし個人年金保険料税制適格特約を付けた保険でなければなりません。

  • 年金受取人が契約者または配偶者のどちらかである
  • 年金受取人は被保険者と同一である
  • 保険料払込期間は10年以上である
  • 年金受取開始が60歳以降で年金受取期間が10年以上である

※参考「個人年金は税金がお得!?知っておきたい控除に関する4つのポイント
※参考「これだけでOK!生命保険料控除で知っておきたいこと

3.利率が高い外貨建て保険

3-1.予定利率が高く、割安な保険料で大きな保障が得られる

外貨建て保険は、円建ての保険と比べて「予定利率」が高く設定されているのが特徴です。

予定利率とは、保険会社が、契約者から払い込まれた保険料のうちどれだけが収益になるか予測して、その分を保険料から割り引いた時の割引率を言います。

予定利率が高いほど保険料が安くなります。そのため、同じ保険金額(保障額)であれば、円建ての保険よりも外貨建て保険の方が「毎月の保険料が安くなる」ということになります。

3-2.為替変動で利益を得る可能性もあるが、損する可能性もある

外貨建て保険は、保険金や解約返戻金を受け取った場合、「ドルを円に換算するときの為替変動」の影響を受けます。

円安であれば為替差益を得ることができるので利益が出ますが、円高であれば為替差損になってしまいます。場合によっては元本割れしてしまう可能性もあります。

為替変動の仕組み

また、ドルから円へ換算するときに為替手数料がかかります。

3-1.外貨建て保険のメリットと注意点

3.1.1.外貨建て保険の4つのメリット

外貨建て保険のメリットは、大きく分けて4つあります。

①日本円より高い金利の通貨で運用するので、貯蓄性で有利

最近は日本ではマイナス金利政策が取られており、円建ての保険はごく低利での運用を強いられています。その点、金利の高い外貨建て保険は有利です。

②予定利率が高いので保険料が安い

予定利率と保険料は「予定利率が高いと割引率が高くなって保険料は安くなる」「予定利率が低いと割引率も低く保険料は高くなる」というシーソーの関係にあります。

したがって、終身保険や養老保険、個人年金保険など貯蓄性のある保険は、予定利率の高低が保険料の高低に大きく影響します。

その点、外貨建て保険は、予定利率が高いので、保険料が安く抑えられます。

③満期時・解約時に契約のときより円安になっていれば、為替差益がプラスされる

外貨建て保険における為替リスクは、正確にいうと「ハイリスク・ハイリターン」ということになります。ですから、為替が円安・外貨高になればなるほど、受け取れる金額が増えます。

④資産を外貨に分散できる

投資をしていく上で分散投資を考える人も多いでしょう。その1つの手段として、死亡保障を受けがら外貨の資産を持つことができる外貨建て保険は有効です。

満期保険金や解約返戻金を外貨のまま保有することもでき、外貨資産として活用することもできるでしょう。

3.1.2.外貨建て保険の注意点

外貨建て保険を考える際は、以下の点に注意する必要があります。

①為替が極端に円高になると受け取る金額が減ることがある

外貨で満期金や解約返戻金を受け取る場合、円高(外貨安)になった場合、思っていた金額よりも低くなる可能性があります。

「為替リスク」と呼ばれるものです。

ただし、この点については、毎月の保険料を払い込み続けていくことで、相当程度緩和されます。

なぜなら、その時々の為替レートに見合った額(円)を払い込むので、円高(外貨安)の場合は保険料(円)が安くなり、円安(外貨高)の場合は保険料(円)が高くなるからです。

したがって、お金を受け取る時の為替レートが、払込期間中の為替レートの平均より著しく低くならない限り、元本割れのリスクは低いと言えます。

なお、「ドル建て終身保険の真実|活用法・リスクと選び方」で過去30年間のデータをもとに検証を行っていますので、ご覧ください。

②両替する際に為替手数料がかかる

通常、外貨と円の換算の際に為替手数料がかかります。例えば、保険料を支払う場合に、円から外貨へ換算するときは、為替リスクがあるのに加え、為替手数料も発生します。

③商品が分かりにくい

外貨建て保険は為替変動によって受け取れる金額が大きく変わっていくのが特徴です。外貨投資の経験がない場合、将来いくら受け取れるのか円建ての商品より分かりにくいです。

3-2.「円建て保険」と「外貨建て保険」どちらがいいか?

結局のところ、老後資金を貯めるにはどちらの保険がいいのでしょうか。

元本割れのリスクを回避したいなら「円建て保険」がおすすめ

「生活のための死亡保障」や「学費のための学資保険」など、元本割れをして必要な資金が減ってしまうと困るという場合には、確実に決まった保険金を受け取ることができる円建ての保険が良いかもしれません。

積立効率を重視するなら「外貨建て保険」がおすすめ

積立効率を重視するならば、「外貨建て保険」がおすすめです。

現状、円建ての保険は積立の効率が著しく低下しており、外貨建て保険の方がはるかに積立の効率が高くなっています。

先ほどお伝えしたように、長期間かけて毎月保険料を払い込んでいくことで、為替のリスクは相当程度緩和されていきます。

4.運用によって大きく増やせる可能性がある「変額保険」

変額保険は、保険料の一部が「特別勘定」とよばれるファンドにおいて株や債券などで運用され、その運用実績によって保険金や解約返戻金の金額が増減します。

大きく増やせる反面、運用実績が悪いと減ってしまう可能性もゼロではありません。

4-1.変額保険の特徴

変額保険は運用によって将来受け取れる金額が変わってきます。投資信託に似ている商品です。

ただし、運用がうまくいかなくても死亡保険金額は下がりません。

保険料は一般な保険よりも割安で設定されているので、生命保険の保障を低い備えながら同時に貯蓄も、という方にはおすすめです。

変額保険

この契約の場合、基本保険金額1,000万円の設定なので、死亡保険金1,000万円は最低保証され、運用が好調な場合は保険金が増えます。

ただし、満期保険金については最低保障がなく、運用によって増減します。

4-2.変額保険のメリットと注意点

変額保険は、加入期間中の運用実績が全体として良ければ、大きくお金を増やせる可能性があります。

ただし、逆に言えば、運用実績が悪いと、元本割れ、つまり、満期保険金や解約返戻金が保険料総額を下回るリスクがあるということです(運用リスク)。

そこで、運用リスクへを抑え、メリットを最大限享受するためのポイントがあります。

  1. 過去の実績が良好な運用方法を選ぶ
  2. 長期間加入し続け、一喜一憂しない
  3. 担当者は自ら変額保険に加入している人を選ぶ

詳しくは「変額保険とは?活用のメリット、リスクと対処法・選び方のポイント」をご覧ください。

おまけ|貯蓄型保険の利率を上げる契約方法

おまけとして、保険料の支払方法によって返戻率を上げることができる方法をご紹介します。

①保険料を年払にして返戻率を上げる

生命保険全般にいえることですが、年払にすると月払より保険料が割安になります。

保険料が安くなっても満期保険金の受取額は変わりませんので、返戻率が上がります。

②保険料の払込期間を短くして返戻率を上げる

商品の中には保険料の払込期間を短くすることができます。

1回に支払う保険料は高くなりますが、払込期間が短いので割引が受けられ、支払保険料総額は少なくなります。

例えば30歳の人だと、60歳払済よりも50歳払済のほうが支払保険料総額が安くなるので、返戻率が上がります。

③保険料を前納して返戻率を上げる

これは先ほどお伝えした「前期前納」という方法です。契約時に保険料払込期間満了までの年払保険料を一括で支払うことで、前納割引率が適用されて保険料が安くなるため、支払保険料総額が少なくなります。よって返戻率が上がります。

また、全額ではなく一部を前納することもできます(保険会社・商品によってはできないこともあります)。

④クレジットカード払でポイントを貯める

返戻率は変わらないですが、保険会社によっては保険料のクレジットカード払ができます。貯蓄型の保険は保険料が掛け捨ての保険に比べて高額になるため、クレジットカード払にしてポイントを貯めていくとお得です。

まとめ

老後の生活資金を公的年金だけでカバーすることは難しく、各個人が自助努力で積み立てなければならない時代になっています。そして、お金を積み立てる1つの選択肢として考えられるのが保険です。

保険はそもそも万が一の時の保障を備える時のものですが、低解約返戻金型終身保険や個人年金保険など、貯蓄性のあるものを上手に活用すれば、確実にお金を貯めることができます。

また、ハイリスク・ハイリターンの保険商品として、外貨建て保険や変額保険などの選択肢もあります。

ただし、これらの保険で老後資金を貯めるのは全ての人におすすめできるわけではありません。保障内容を理解するのは当然ですが、ご自身にとっての向き不向きを判断していただくようお願いいたします。

なお、「老後のお金はいくら必要か?準備のために知っておきたいポイント」では、具体的な老後資金の必要金額についてご案内しています。ご参考にしてみてください。

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