第三者賠償責任保険は、現場作業中や工事中に、誤って第三者の身体や財物に損害を与えてしまった場合の賠償責任をカバーしてくれる保険です。
「第三者」とは、注文者・請負人と関係ない人という意味です。例えば、高所から落下した鉄パイプが通行人に直撃したなどという死亡事故は、これまでにも度々発生しています。
現場に機材を搬入中、大きな柱を傷つけてしまった、リース中の機材を壊してしまった、などということもあるでしょう。
さらに、こんなことはありませんか?工事が完了して引渡し後に工事の不備がわかり、損害を与えてしまったとか。
このような事故が起こると、損害賠償責任の問題に発展し、訴訟を起こされることも考えられます。
そして、そういう場合に損害賠償費用等を補償してくれるのが、第三者賠償責任保険です。
もちろん、あなたは日頃から安全に気を配っていることと思います。
しかし、建設現場ではどんなに安全に気をつけていても、事故が全く起きないという保証はありません。
思いがけない事故は、器物損壊や怪我など、事故の種類も様々です。第三者賠償責任保険は、そういった事故が起きた場合に会社を守ってくれる保険です。
今日は、第三者賠償責任保険がどういうものなのか、その必要性と4つの補償内容についてお伝えしていきます。
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保険の教科書 編集長。2級ファイナンシャルプランナー技能士。行政書士資格保有。保険や税金や法律といった分野から、自然科学の分野まで、幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
1.第三者賠償責任保険はなぜ必要か
1.1.下請のやったことでも元請が損害賠償責任を負うリスクがある
私は、第三者賠償責任保険は元請・下請を問わず、全ての請負業者に必要だと考えています。
なぜなら、第三者にケガを負わせてしまった場合、下請業者と元請業者はいずれも、自分に直接の責任がなくても、その被害者に対していずれも賠償責任を負うリスクがあるからです。
どういうことかというと、たとえば、建設中のビルで、機械が倒れて隣の民家を直撃し、民家に損害が発生した場合を考えてみましょう。この場合、
施行していたのは下請会社ですので、下請業者が損害賠償責任を負うリスクがあります。
また、この場合、元請業者も損害賠償責任を問われるリスクがあります。
それは、元請会社が作業工程について詳細な指示を出していたりするなど、指揮・命令・監督をしていた場合です。
1.2.下請が元請から賠償額を請求される場合もある
したがって、被害者は、下請業者と元請業者の両方に対して損害賠償請求をすることができます。
そして、下請業者と元請業者の賠償責任は連帯責任と考えられています。
その結果、元請会社が損害賠償金を支払った場合、その後で下請会社に相当の賠償額を請求するケースがあります。
このことからすれば、元請業者も下請業者も、第三者賠償責任保険に加入しておくにこしたことはないと考えられます。
2.基本的な補償内容
第三者賠償責任保険がカバーするのは、たとえば、以下のような事故で第三者に損害を与え、損害賠償責任を負った場合です。
- 建設現場からの資材の落下により、通行人にケガを負わせてしまった
- 建設機械で埋設管を損傷した
- 現場の管理ミスで、子供が作業場内に入り穴に落ちてケガをした
- 足場の倒壊により他人の車に損害を与えてしまった
また、補償対象となる工事の種類は、元請工事、下請工事の区別なく、受注した工事の全てです。
一つひとつの工事を受注するたびにその都度契約する必要がないので、事務作業の簡素化に繋がります。
では、肝心の補償内容はどうなっているでしょうか。以下、
- 補償の対象となる事故の発生時期
- 補償してもらえる費用の種類
の2つに分けてお伝えします。
2.1.補償対象となる事故の発生時期|保険期間中ならば工事後の事故まで
第三者賠償責任保険がカバーしてくれるのは、工事中の事故による損害賠償責任だけではありません。
工事が完了して引き渡しを行った後に、工事の欠陥が原因で発生してしまった事故による損害賠償責任についても補償が受けられます。たとえば、以下のようなケースです。
- 引渡し直後のビルの壁が崩れ、隣の店舗が壊れてしまった
- 住宅引渡し後に施行ミスによる水漏れが発生し、中の家具が傷んでしまった
- マンホールの蓋を閉め忘れ、通行人が落ちてケガをした
- 機械の据付ミスにより、工場内(第三者)の作業員がケガをしてしまった
2.2.補償してもらえる費用の種類
保険金でカバーされるのは以下の費用です。
- 損害賠償金の額
- 損害を防ぐためにかかった費用(損害防止費用・緊急措置費用)
- 裁判等にかかった費用
- 権利保全行使費用
2.2.1.損害賠償金の額
まず、お客様に損害賠償金を支払った場合に、「法律上の損害賠償責任の額」を受け取れます。
これは、裁判で確定した場合はもちろん、裁判ではなく和解や示談で金額が決まった場合もその額をカバーしてもらえます。
人の身体を害してしまった場合は治療費や慰謝料がカバーしてもらえます。
また、人の物に損害を与えてしまった場合は、その時の「時価」を上限としてカバーされます。
2.2.2.損害を防ぐためにかかった費用(損害防止費用・緊急措置費用)
次に、さらなる損害を防ぐ費用をカバーしてもらえます(損害防止費用)。
また、損害を一生懸命食い止めようとして、結果として損害賠償をせずに済んだ場合も、かかった費用をカバーしてもらえます(緊急措置費用)。
2.2.3.裁判・和解等にかかった費用(争訟費用)
製品の欠陥等によってお客様に損害を与えた場合、そのお客様から裁判を起こされることがあります。
もしも敗訴すれば、損害賠償金を支払うだけでなく、訴訟にかかった費用も持たなければならなくなります。
また、弁護士も雇わなければなりません。
裁判にならなくても、和解や調停の場合にも費用がかかりますし、弁護士を雇うこともあります。
第三者賠償責任保険では、これらの費用もカバーしてもらえます。
2.2.4.権利保全行使費用
たとえば、あなたの会社が仕事を下請業者に出して、下請業者の施工ミスによって、工事完成後にお客様に損害を与えてしまった場合を考えてみましょう。
上述の通り、あなたの会社は監督責任を問われ、お客様から損害賠償を請求されることがあります。
しかし、その場合、究極的に落度があるのは下請業者ですので、後で下請業者に対し賠償費用等を請求する権利があります。
そして、その手続にかかる費用を「権利保全行使費用」と言い、カバーしてもらえます。
まとめ
第三者賠償責任保険は、請負工事をしている時に通行人や周辺住民をケガさせたり、誰かの物を誤って壊してしまったりして損害賠償を負ってしまった場合に、損害賠償額等の費用を補償してもらえる保険です。
受注した全ての工事について、完成引渡し後も補償してくれます。
事故を起こして第三者の身体や財産に損害を与えてしまえば、元請業者も下請業者も、いずれも損害賠償責任を負う可能性があります。
そして、高額な賠償金を支払うには、資金調達の問題が発生します。
特に、裁判になったり、示談交渉を自社で行ったりすれば、解決までには時間もお金もかかり、本業どころではなくなってしまうかもしれません。
したがって、第三者賠償責任保険は大変有効な手段です。
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