経営者保険で会社を救い、発展させる5つの活用法

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経営者の皆様は、起業直後の困難な時期を乗り越えてやっとの思いで経営が安定してきた時、この安定を維持したい、そして、できることならばさらに発展させて次の世代に引き継ぎたい、そうお考えになっていることと思います。

ただ、将来のことを考えると、あらゆる不安要素があると思います。予測される危機はご自身の身に何かあった時だけではありません。突発的な天変地異や不況や取引先の倒産等のせいで急に経営危機に陥ることもありえます。

また、ご自身が平穏に後継者に橋渡しをし、憂いなく豊かな老後を全うするにはどうしたらよいかと考えることもあるでしょう。

そのような悩みに応えるものとして、経営者であるあなたにかける生命保険や医療保険、つまり経営者保険があります。

会社に合った経営者保険を選択し、上手に活用すれば、あなたと会社を救い、また、とりうる選択肢を広げてくれます。

この記事では、経営者保険の活用法について、分かりやすく5通りに整理してまとめてみました。

経営者保険をご検討する際に、お役立てください。

はじめに

経営者保険には5通りの活用法がある

この記事でご紹介したい経営者保険の活用法は、大きく分けて以下の5通りです。

  • 経営者の身に万一のことがあった場合に備える
  • 退職金等の資金を税負担を減らしながら効率よく積み立てる
  • 突発的な経営危機に備える
  • 事業承継による会社・後継者へのダメージを抑える
  • ビジネスチャンスに面倒な手続なくしてお金を借りられる

経営者保険の役割や活用法について、本やウェブサイトで様々な説明がされていますが、結局はこの5通りに集約されると考えていただければけっこうです。

死亡等のリスクへの備えに特化した保険と「+α」の機能がある保険とがある

保障内容が最もシンプルなのは、経営者・役員の身に何かあった時に保険金が支払われるタイプの生命保険や、医療保険です。

個人契約との根本的な違いは、あなたが会社を残して死亡してしまった場合等の保険金の受取人が会社になっていることです。

そのことによって、会社が被るダメージを抑えることができます。

ただし、死亡等のリスクに備える機能に特化した保険と、「+α」の機能がある保険があります。

死亡等のリスクへの備えに特化した保険は以下の3タイプです。

  • 定期保険(解約返戻金なし)
  • 収入保障保険
  • 医療保険・がん保険(定期タイプ、全期払)

貯蓄等の「+α」の機能がある保険は、以下の6タイプです。

  • 長期平準定期保険
  • 逓増定期保険
  • 生活障害保障型定期保険(その他「全額損金」タイプの定期保険も)
  • がん保険(終身タイプ、解約返戻金あり)
  • 終身保険
  • 医療保険・がん保険(終身タイプ、解約返戻金なし、短期払い)

1.経営者の身に万一のことがあった場合に備える

「+α」の機能がある保険については後でおいおい説明するとして、ここでは、死亡等のリスクへの備えに特化した「定期保険(解約返戻金なし)」と「収入保障保険」、および、医療保険とがん保険についてお伝えします。

死亡等のリスクへの備えに特化するなら「収入保障保険」がおすすめ

経営者の死亡等のリスクへの備えに特化するのであれば、「収入保障保険」がおすすめです。なぜかというと、その方がコストが低くて済むからです。

どういうことなのか、説明しましょう。

あなたが死亡した場合、会社が保険金を受け取ると、その年度の「雑収入」として益金に算入されます。

ほとんどのケースでは、経営者・役員の死亡によるダメージがその年度だけでおさまりません。数年間にわたって業績が低迷し、赤字のカバーや借入金の返済に頭を悩ませることになることが多いのです。

たとえば死亡保険金2,500万円を受け取ると、2,500万円が雑収入として益金に算入されます。この年度に500万円の営業赤字が発生したとすると、それを差し引いた2,000万円に一気に税金がかかってくることになります。

そして、次年度以降に1年度あたり500万円の赤字が出続けると、それぞれの年度に500万円の損金が計上されていくことになります。

定期保険で2,500万円一時金受取

こういった不都合を避けるためには、保険金を5年に分けて、500万円ずつ受け取って、それぞれの年度の営業赤字をカバーしていく方が圧倒的に有利です。

収入保障保険で500万円×5回受取

「定期保険」も「収入保障保険」でも、受け取り方を指定すれば、このような方法は可能です。

しかし、「収入保障保険」の方が、コストが低くて済みます。

なぜならば、収入保障保険は、下図の通り、時間が経てば経つほど受け取れる保険金の総額が減っていくため、そのぶん、保険料の額が低く設定されているからです。

〈例〉

  • 55歳加入・70歳満期
  • 保険金額:600万円/年(50万円/月)
  • 支払保障期間:5年間

収入保障55~75才(年600万円)

したがって、あなたの身にもしものことがあった場合の事業保障に特化したいのであれば、収入保障保険を選ぶと最もコストを低く抑えることができます。

詳しくはこちらをご覧ください。

病気の場合の損失や治療費を保障する医療保険・がん保険

死亡しなくても、病気・けがでの長期離脱を余儀なくされてしまう場合があります。

そういった場合の休業補償や治療費の保障の機能をもつものとして、医療保険やがん保険があります。保障期間が5年・10年で更新ごとに保険料が上がる「定期タイプ」と、保障期間が一生涯で保険料が変わらない「終身タイプ」とがありますが、在職中の保障のみを目的とするのであれば、「定期タイプ」の方が保険料の総額が低くてお得なので、こちらをおすすめします。

在職中にがんやその他の病気になれば、給付金で事業資金や医療費をカバーすることができます。契約内容によっては、事業保障の役割を強くすることができます。

保険料は、全額が損金に算入されます。その意味で、税負担が軽減されるという効果があります。

そして、経営者が病気になり入院した場合等には、給付金が会社に支払われます。

会社がその給付金の中から医療費を経営者個人に支給する場合には、常識的な額を「見舞金」として支給することになります。

ただし、「見舞金」の額が常識的な範囲を超えると、その分は「給与」として扱われ、受け取った経営者・役員の側で所得税の課税対象になるので、注意が必要です。

なお、医療保険・がん保険については、「終身タイプ」を選び、保険料の払込期間を「短期払い」に設定することによって、保険料払込満了後に退職金代わりに現物支給するという活用法もあります。後で改めて説明します。

2.退職金等の資金を税負担を減らしながら効率よく積み立てる

貯蓄性の保険商品は「解約返戻金」が目当て

上で述べたように、経営者保険の中には、「+α」の機能がある保険があります。

それは、貯蓄性のある商品です。

以下に挙げる5種類の保険は、良いタイミングで解約すると、支払った保険料の総額の一部、または総額以上の額の「解約返戻金」が返ってくるのです。つまり、保険料を払うことによってキャッシュを「解約返戻金」として積み立てていることになるわけです。

保険料の全部・一部の損金算入により税負担が軽減される

上の5種類の保険のうち、終身保険以外は、保険料の一部または全部が損金に算入されます。

そのため、保険料を支払っている段階=「解約返戻金」の積立をしている段階で、税負担を軽くすることができるのです。終身保険だけは税負担の軽減の効果がまったくないので注意が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

なお、保険料のうち、どの保険も、損金算入分以外の額は、資産に計上されていきます。

解約返戻金の一部・全部の益金算入により赤字リスクがカバーされる

解約返戻金は、1度に全部解約して全額を受け取ると、退職金や大規模な設備投資の資金に充てることができます。

そして、下図の通り、解約返戻金から、保険料総額のうち資産に計上されてきた分を差し引いた額が、益金に算入されます。

税法上の扱い

この益金が、会社の赤字の危機を救ってくれます。

というのは、退職金の支給や大規模な設備投資により多額の損金が計上されますが、解約返戻金によって、それをカバーする益金が立てられれば、赤字を避けられるからです。

ただし、注意すべき点があります。

まず、どの商品も、解約返戻金の受け取りは、返戻率が高いタイミングで行わないと、かえって、保険に加入しなかった場合より損をしてしまうおそれがあります。

また、終身保険は、解約返戻金を受け取った時に益金に算入できる額が少ないので、注意が必要です。

医療保険・がん保険(終身タイプ・保険料短期払い)は退職金代わりにできる

「終身タイプ」を短期払いにすると、経営者が病気になった場合の休業補償や治療費の保障だけでなく、「+α」の活用法があります。それは、経営者・役員が退職する時に退職金代わりに現物で支給する方法です。

こうすれば、経営者・役員は退職後、一生涯にわたり医療の保障を受けられるようになります。

方法としては、まず、終身タイプの医療保険に加入し、保険料の支払いが終わる時期を経営者・役員の退職時期に合わせて設定しておきます。

在職中は経営者・役員の病気や事故に備えます。もちろん、その間、保険料は全額会社の損金に算入されます。

そして、退職のタイミングで保険自体を退職金代わりに支給するのです。これは、保険の契約者名義を会社から個人に変更するという形で行われます。

保険料の払込は済んでいるので、経営者・役員は、以後は保険料を支払わずに一生涯の保障を受けることができます。

終身医療保険短期払い

この医療保険の「名義変更プラン」には、大きなメリットが2つあります。

  • 会社にも経営者・役員個人にも経済的負担がほとんど発生しない
  • 税務当局に否認されるリスクがない

つまり、解約返戻金がない医療保険の契約者の権利というのは、資産そのものではなく「仮に大きな病気や怪我をしてしまったら所定の給付を受ける権利」にすぎません。そのため、資産価値がゼロと扱われ、名義変更をしても会社にも個人にも経済的な負担はほとんど発生しません。

また、税務当局もこの「名義変更プラン」を適法・正当な方法と認めており、「否認」されるおそれもありません。

これが解約返戻金のあるタイプの保険、たとえば「逓増定期保険」等の「名義変更プラン」の場合、はっきりと「資産」を移転させることになりますので、「利益相反行為」や「税務当局による否認」のリスクがあるため、こうはいきません。

医療保険の中には介護状態になった場合の保障を付けられる商品もあったりしますので、老後の安心と豊かな生活を確保するという意味でも、魅力的な活用法の一つです。

3.突発的な経営危機や赤字に備える

貯蓄性のあるタイプ、つまり解約返戻金のあるタイプの保険は、突発的な経営危機に備える役割も果たします。

というのは、予期しない天災や不況、取引先の倒産等のアクシデントが発生するなどして、突発的な危機が生じた場合に、保険を全部解約、または一部解約し、解約返戻金を受け取って対応することができるということです。

また、そこまでいかなくても、営業赤字が出た年度に一部解約して解約返戻金を受け取り、その補填をすることができます。

ただし、解約返戻金が低いタイミングで解約してしまうと損をするリスクがあります。

そのため、あくまでも、退職金等の必要な資金を保険を活用して積み立てるついでに、そういった使い方もできるのだというくらいに考えていただきたいと思います。

4.事業承継による会社・後継者へのダメージを抑える

ご自身の会社の世代交代、つまり事業承継について、どのようにするか考えたことはありますでしょうか。

後継者に死後に相続させる場合も、生きているうちに引退して引き継がせる場合も、いずれにせよ、相続税や贈与税の負担がかかってきます。

また、場合によっては、他の相続人への代償交付金等を支払わなければならなくなります。

たとえば、株式会社の場合、後継者はあなたが持っている株式を、相続か贈与で承継することになります。したがって、後継者の経済的負担をできるだけ軽くしてあげる必要があります。

相続税や贈与税は、資産の評価額を基準として計算されることになるので、税金の額を引き下げるには、株式の評価額を低くする必要があります。

そのためには、大きな損金を計上して会社の利益を低くすることが一番手っ取り早いと言えます。

そこで、保険料の全部または一部が損金に算入される保険に加入すれば、会社の利益を引き下げ、株式の額を引き下げることができます。その結果、相続税・贈与税が抑えられて、後継者の負担を軽くしてあげることができます。

また、それは、上で述べたような、退職金の資金の積立と同時進行で行うことができます。

他にも、経営者保険を活用して事業承継対策をする方法があります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

5.ビジネスチャンスに面倒な手続なくしてお金を借りられる

貯蓄性のあるタイプの保険は、いずれも、満期前に契約者貸付を活用して、急な出費に対応することができます。

借入限度額はその時点の解約返戻金の90%程度、利率は年3%程度です。

いわば解約返戻金を担保に借入をするのと同じなので、わざわざ担保を用意する必要は一切ありません。

また、面倒な手続をする必要もなく、申込から1週間程度で入金されます。

千載一遇のビジネスチャンスが到来して、なんとか迅速にまとまった額のキャッシュを準備したい時に、便利な制度です。

まとめ

経営者保険の活用法について、5通りに集約してまとめてみました。

経営者保険には様々なものがありますが、まずはこの記事の内容を理解して、自分の会社のニーズは何なのかということを確認していただければと思います。

その上で、それぞれの保険について、こちらのページを活用するなどして、どのように役立つのかを確認してみてください。

複数社の商品を比較してみることもおすすめです。

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出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や法律といった分野から、自然科学の分野まで、幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
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