妊娠中に医療保険に加入できるか?知っておきたいポイント

妊娠・出産には多額のお金がかかり、不安に思っている女性の方も多いのではないでしょうか。

今まで興味のなかった医療保険に加入しようか、検討し始める方もいるでしょう。

しかし、妊娠・出産にあたっては、医療保険で保障される範囲が限られる上に、公的な保険の保障を受けられることから、そもそも必要かどうかといった点から考えなくてはなりません。

妊娠中に医療保険に加入できるか、という問題もあります。

この記事では、妊娠に備え医療保険への加入を検討する際に、知っておきたいことをまとめて紹介しています。

1.そもそも妊娠に備えて医療保険に加入すべきか

出産の際にかかる費用負担が大きくなることを不安視して、医療保険への加入を検討するか考えるときは、「そもそも必要なのか」考えてみるべきです。

医療保険のほとんどは正常分娩には役に立たないからです。

以下、その理由を1つずつ解説します。

1-1.ほとんどの医療保険は異常分娩のみが保障対象

まず前提として覚えておく必要があるのは、ほとんどの医療保険は、特に何の異常もなく出産した場合(正常分娩)はカバーしていないということです。

正常分娩は病気ではないので、公的な医療保険でも保障対象外です。そして、ほとんどの医療保険は保障対象を公的医療保険の対象と同じにしているので、正常分娩が保障されないのです。

妊娠の際に医療保険が役立つのは、以下のような「異常分娩」が行われた場合です。入院費用・手術費用が保障されます。

帝王切開・切迫流産(流産)・切迫早産(早産)・微弱陣痛・過強陣痛・子宮外妊娠・妊娠糖尿病・妊娠高血圧症・妊娠中毒症・吸引分娩・骨盤異常・児頭骨盤不均衡

この中で特に、帝王切開が年々増えています。

厚生労働省が公開した「平成 29 (2017)年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」(P20)によると、妊婦の約5人に1人は帝王切開で出産している計算になります。

1-2.妊娠費用の大部分は公的な保険でまかなうことができる

もう1つ覚えておきたいのは、妊娠費用の大部分が公的保険によってカバーできるという点です。

具体的に覚えておきたい公的保険の保障内容の種類として、出産一時金と高額療養費制度があります。

以下それぞれについて簡単に紹介します。

1-2-1.正常分娩なら出産一時金で大部分がまかなえる

公益社団法人 国民健康保険中央会がまとめた「正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)」によると、正常分娩での出産費用の全国的な平均値は505,759円とのことです。

一方、妊婦が出産した際には、加入している健康保険から「出産一時金」として、1児につき原則として42万円が支給されます(妊娠22週未満での出産の場合、産科医療補償制度に未加入の医療機関等における出産の場合は40.4万円)。結果として、自己負担する費用はそれほど多くありません。

ちなみに同じ資料によれば、正常分泌時の出産費用の平均は、以下のように都道府県ごとに大きく異なっています。

【都道府県ごとの平均出産費用】

  • 北海道:443,271円
  • 東京都:621,814円
  • 神奈川県:564,174円
  • 京都府:482,787円
  • 大阪府:506,407円
  • 鳥取県:396.331円

最も出産費用が高い東京都と最も安い鳥取県の間で、実に20万円以上もの差があります。

とはいえ、正常分娩の費用は出産一時金で大部分をまかなえるという認識に違いはないといってよいでしょう。

1-2-2.異常分娩なら、さらに高額療養費制度も使える

帝王切開のような異常分娩であれば、正常分娩よりもお金かかかる可能性があります。

しかし異常分娩で公的な健康保険の保障対象となった場合、高額療養費制度によって自己負担額の上限が以下のように定められ、払えないような大きな負担となる可能性は低いです。

【70歳未満の場合(平成27(2019)年1月診療分から)】

所得区分 自己負担限度額 多数該当
区分ア
(標準報酬月額83万円以上の方)
(報酬月額81万円以上の方)
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 140,100円
区分イ
(標準報酬月額53万円~79万円の方)
(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方)
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 93,000円
区分ウ
(標準報酬月額28万円~50万円の方)
(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 44,400円
区分エ
(標準報酬月額26万円以下の方)
(報酬月額27万円未満の方)
57,600円 44,400円
区分オ(低所得者)
(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
35,400円 24,600円

所得区分 自己負担限度額 多数該当
区分ア
(標準報酬月額83万円以上の方)

(報酬月額81万円以上の方)
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 140,100円
区分イ
(標準報酬月額53万円~79万円の方)

(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方)
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 93,000円
区分ウ
(標準報酬月額28万円~50万円の方)

(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 44,400円
区分エ
(標準報酬月額26万円以下の方)

(報酬月額27万円未満の方)
57,600円 44,400円
区分オ(低所得者)
(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
35,400円 24,600円

(参照元:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」)

たとえば、標準報酬月額が28~50万円の方であれば、1ヵ月の治療費は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」に抑えられるということです。

その結果、異常分娩では高額療養費制度が使えるので、正常分娩よりも自己負担額が少ない、といった逆転現象が起こる可能性もあります。

実際にどのくらいの自己負担になるか、一つの例をみてみましょう。

「40歳ではじめて父になる僕のブログ(帝王切開でかかった費用は〇〇円でした 保険請求も忘れずに!)」では、奥様が帝王切開による出産をされたことでかかった医療費の合計が11日の入院で約86万円と高額だったとのことです。

しかし出産一時金と高額療養費制度を利用することによって自己負担額は21万円となり、それに加え民間の医療保険で受け取った保険金もあるため、約11万円まで下がっています。

この方の場合は医療保険も使っていますが、公的保障だけでも自己負担額は21万円に抑えられているということです。

1-3.入院時に個室を使う場合は、医療保険が活躍することも

ただし、落ち着いた環境で出産をするために個室を選ぶ場合、「差額ベッド代」が発生します。これは高額療養費制度の対象ではないので、全額が自己負担となります。

また、差額ベッド代は、ホテルの室料のように病院や部屋のランクによって大きく異なります。

厚生労働省がまとめた「主な選定療養に係る報告状況(30.11.14)」によれば、差額ベッド代の平均額が7,837円だったのに対し、最高額は378,000円だったとのことです。

次に出産に限定した差額ベッド代の統計もみてみましょう。

公益社団法人 国民健康保険中央会の「正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)」によると、「室料差額(差額ベッド代)」の平均は16,580円/日だったとまとめてあります。

これらのデータを見る限り、出産時の差額ベッド代はその他の理由で入院した際よりも高くなる傾向があるようです。

いずれにしろ医療保険が使えるのは帝王切開をはじめとした異常分娩の際ですが、「お金の心配をせずに個室を選びたい」ということであれば、自己負担額も増えるため、医療保険の入院給付金の保障は役に立ちます。

1-4.医療保険に加入するか検討するには妊娠以外の保障を考慮すべき

このように、医療保険は基本的に異常分娩の場合にしか役立ちません。

また、その異常分娩においても出産一時金と高額療養費制度によって自己負担額の大部分が補えるので、「妊娠に備えて」毎月数千円の保険料を支払うのは合理的かというと疑問があります。

また、差額ベッド代が自己負担になるとは言え、差額ベッド代が高くない病院を事前に選んで入院することで、その負担も大幅に軽減できるでしょう。

それにまとまったお金がかかる可能性があるのは妊娠・出産のときだけではありません。したがって、医療保険に加入するか否かは、妊娠以外のケースも考慮にいれて検討すべきです。

実際にどのようなプランを検討すべきかは後でお伝えします。

2.そもそも妊娠中に医療保険に加入できるか?

もう1つ必ず知っておく必要があるのは、妊娠中に医療保険に加入できるのかという点です。

2-1.加入できるが制限がつくか選択肢が狭くなる

結論から言うと、妊娠中にも医療保険へ加入すること自体は可能なものの、出産や子宮に関する疾病については保障を一切受けられない、もしくは契約から●年間は保障されない、といった制限がつく可能性が高くなります。

また保険会社によっては、妊娠27週以降の加入が断られる可能性もあります。

なお一部に制限なしに加入できる商品はあるものの選択肢は限られており、制限がある商品と比べるとバラエティに乏しい点は否めません。

保障内容や保険料といった条件にも、期待しにくいです。

2-2.出産後でも加入を断られたり制限がついたりすることもある

医療保険への加入で制限がかかるのは、妊娠中だけではありません。

出産後でも特別な制限が適用される可能性があります。

たとえば医療保険では、加入時に「過去5年以内に病気や怪我で手術を受けたことがあるか」という質問をされることが多いです。

このとき「いいえ」と回答できれば何の問題もありませんが、答えが「はい」であれば内容によっては保障に制限がついたり保険料が高くなったりすることがあります。

その上で妊娠・出産の場合で考えると、仮に5年以内に出産していても正常分娩であれば、上記の質問が「いいえ」となり問題ありません。

しかし帝王切開のような異常分娩だったとすると、保障に制限がついたり保険料が高くなったりする可能性がでてきます。

2-3.仮に加入するなら妊娠前がベスト

上述のように妊娠中でも出産後でも、医療保険の加入は条件が悪くなってしまう可能性が高いです。

そのため仮に医療保険へ加入するのであれば、妊娠前がベストということになります。

女性の方は、もし医療保険へ加入したい気持ちがあるのであれば、早めに対応を開始した方がよいでしょう。

3.妊娠だけでなく長い目でみて保険に加入するべき

繰り返しになりますが、妊娠・出産において医療保険は「絶対に必要」といえるほどではありません。

あれば安心かもしれませんが、正常分泌で使えないことが多いですし、仮に異常分娩でも公的保険のカバーで事足りる可能性も高いです。

医療保険へ加入するか否かは、妊娠だけでなく長い目でみて検討するべきなのです。

3-1.妊娠・出産よりも優先順位の高いリスクがある

保険で備えるべきリスクは、妊娠・出産だけではありません。また、そもそも異常分娩に伴うリスクは公的保障で大部分がカバーできます。

しかも、最近では入院期間が短期化している傾向にあり、入院費用の保障が基本となる医療保険の存在価値が薄れつつあります。

詳しくは「医療保険の必要性を保障内容と医療の現実から考える」にて説明しているため、そちらをご覧いただければと思いますが、医療保険より以下のリスクに備える保険の方が優先度が高いです。

がんの長期治療のリスク

がん治療は、入院・手術だけでなく、通院での抗がん剤・放射線治療の比重が増えています。医療保険の入院給付金・手術給付金の保障だと、それらに対応できません。

また、がんの治療は長期化することが多くなっています。高額療養費制度で月々の自己負担額に上限があるとはいえ、長期化すると自己負担額が重い負担となっていくリスクがあるので、それに備えたがん保険の方が有効です。

働けずに収入が得られなくなるリスク

日本人に多い三大疾病(がん・脳血管疾患・心疾患)にかかった場合やケガなどで治療が長期化したり後遺症が残ったりすると、働けない期間が長くなってしまう可能性があります。その期間の収入をある程度保障する就業不能保険所得補償保険といった保険が有効です。

介護が必要になってお金の負担が増えるリスク

要介護状態になると、家族に経済的な負担を強いてしまう可能性があります。少子高齢化社会の現在では、そのリスクも高くなっています。そこで、要介護状態になった場合に保険金を受け取れる介護保険の重要性が注目され始めています。

これらの保険と比べると、医療保険の優先順位は低いと言わざるを得ません。保険への加入を検討する際は、こういった優先度も考えるべきです。

3-2.医療保険に加入するなら特約が充実したタイプがおすすめ

その上で現在、医療保険に加入するのであれば、上述のように医療保険より優先度の高い保険を特約として付与できるタイプをおすすめします。

このタイプの保険商品では、単体でそれぞれの保険へ加入するより保険料が割安になることも多いです。

以下、参考までにA生命の医療保険のプランの一例をみてみましょう。

【契約者:25歳女性】

  • 入院給付金①(通常の病気・ケガ):3,000円/日(10日目までは一律3万円)
  • 入院給付金②(女性特有の病気):6,000円/日(10日目までは一律6万円)
  • 手術給付金①(通常の病気・ケガ):3万円(入院中)、1.5万円(外来)
  • 手術給付金②(女性特有の病気):6万円(入院中)、3万円(外来)※一部9万円の場合あり
  • 先進医療特約:あり
  • がん診断一時金:100万円
  • 三大疾病入院一時金:60万円
  • 保険料:3,639円/月

このプランでは、まず、異常分娩を含め女性特有の病気での入院の際には3,000円/日が追加され、女性特有の手術では9万円を受け取れることになっています。

加えて、以下のように特約を充実させています。

「がん診断給付金」は、がんと診断されたら100万円受け取れます。2回目以降は、がんの治療のための入院を条件として、年1回まで受け取れます。

「三大疾病入院一時金」を付けています。これは、三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)で入院した際に60万円を受け取れるものです。

まとめ

医療保険では正常分泌の費用が保障されない上に、仮に異常分泌でも公的保障で費用の大部分をカバーできてしまうため、医療保険の必要性は高くはありません。

また、妊娠中や出産後は、加入できる医療保険の種類が制限される可能性があります。

加えて、もっと長い目でみると、医療保険より優先されるべき保険も複数あります。

これらのことからすると、できれば妊娠する前の段階で、より優先度の高い保障は何なのかを検討しながら、保険選びをするべきです。

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