全額損金の保険で会社のキャッシュを守る最適の活用法

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法人保険、つまり法人向けの生命保険の中には、保険料全額が損金に算入され「節税」になると言われるものがあります。特に人気があるのは、最終的に解約すれば「解約返戻金」が受け取れ、必要な資金を効率よく積み立てることに役立つものです。保険会社によって名称はまちまちですが、よく「全額損金定期保険」と呼ばれ、人気があります。

この全額損金定期保険は、実は、活用の条件や会社ごとの向き不向きがはっきりしていています。そこで、この記事ではまず、「全額損金定期保険」のメリット・デメリットと、有効活用する上で守るべき鉄則についてお伝えします。

また、全額損金の保険はその他にもあります。解約返戻金は受け取れませんが、その代わり、低い保険料で効率よく会社のキャッシュを守り、増やしていくのに大いに役に立つことがあります。したがって、そういった保険(解約返戻金のない定期保険、収入保障保険、医療保険・がん保険)の有効活用法についてもお話しします。

全額損金の保険の活用をお考えの方は、是非ともお役立てください。

1.全額損金定期保険とは

全額損金定期保険は資金を効率よく積み立てる機能のある生命保険の一種です。つまり、保険料を支払う段階では損金を計上して税負担を軽減できます。また、適切なタイミングで解約して解約返戻金を受け取って必要な資金に充てると益金が計上されるので、その資金を支出した場合の赤字のリスクをカバーすることができます(※)。

※法人保険で必要な資金を効率よく積み立てる仕組みの詳細は『法人保険で必要な資金を準備する方法のメリットとデメリット』をご覧ください。

なお、解約返戻金にはピークが設定されていて、ピーク時の解約返戻金の返戻率は全体に低めです。年齢にもよりますが支払った保険料総額の50~90%程度です。%e9%9a%9c%e5%ae%b3%e7%8a%b6%e6%85%8b

同じような損益調整の機能を持つ保険に長期平準定期保険や逓増定期保険といった保険がありますが、それらはいずれも保険料の1/2とか、一部が損金に算入されるものです(※)。したがって、全額損金定期保険の活用を考える上では、それらの1/2損金の保険とは違う特有のメリット・デメリットを押さえた上で、以下の3つの鉄則を守る必要があります。

  1. 十分なキャッシュフローがあり、多くの年度で保険料を上回る額の営業利益が上げられること
  2. 解約のタイミングと解約返戻金の使い道を明確にしておくこと
  3. 貯蓄機能重視ならば若い経営者・役員を被保険者にすること

以下、全額損金定期保険のメリット・デメリットについてお伝えした上で、それを基に、活用する上で守るべき3つの鉄則についてお伝えします。

※長期平準定期保険については『長期平準定期保険で会社のキャッシュを増やせる4つの活用法』、逓増定期保険については『逓増定期保険で会社のキャッシュを増やせる4つの活用法』をご覧ください。なお、逓増定期保険にも「全額損金」のものがありますが非常に少ない上、活用法も限られているので、この記事では割愛します。

2.全額損金定期保険のメリット・デメリット

まず、全額損金定期保険の活用を考える上で是非とも知っておいていただきたいメリット・デメリットを説明します。

2.1.全額損金定期保険の4つのメリット

全額損金定期保険のメリットは以下の4つです。

  1. 保険料全額が損金に算入され税金の負担が軽くなる
  2. 解約返戻金の返戻率のピークが長め
  3. 赤字になりそうな年度は一部解約すれば黒字を計上できる
  4. 手厚い保障を受けられる保険が多い

2.1.1.メリット1|保険料全額が損金に算入され税金の負担が軽くなる

全額損金定期保険は、解約返戻金の返戻率が低いため、貯蓄の機能はやや弱くなっています。しかし、その代わりに保険料の全額が損金に算入されるという扱いになっています。その結果、保険料を支払うとその全額について税負担が軽くなります。

ただし、それは「節税」ではありません。後述しますが、解約すると解約返戻金が入ってきて全額が益金に算入されます。つまり、保険料が全額損金算入といってもそれは課税のタイミングが後にずれるということにすぎず、解約返戻金の使い道がなければ結局は損をすることになります。

2.1.2.メリット2|解約返戻金の返戻率のピークが長め

後でお伝えしますが全額損金定期保険の解約返戻金の返戻率は低くなっています。

しかし、解約返戻金の返戻率が最も高くなるピークは加入年齢にもよりますが5~15年後で、その前後のピーク期間が比較的長くなっています。そして、返戻率のピーク期間に解約して必要な資金に充てれば最終的な税負担が軽くなる効果が高いのです。

したがって、それを考慮に入れれば、各年度の営業利益の中から現金・預金として積み立てた場合よりも会社に多くのキャッシュが残せたことになります。

以下に、A社の全額損金定期保険の45歳男性、30歳女性のそれぞれの返戻率の推移の表を掲載します。「実質返戻率」というのは、「税負担が軽くなる効果を計算に入れると、現金・預金で積み立てた場合よりいくら得したか」という数字だと考えていただければけっこうです。実質返戻率が100%を超えれば、現金・預金で積み立てた場合よりも得をしたことになるということです。なお、法人実効税率を今後の減税傾向を考慮して30%としています。

〈45歳・男性〉

  • 保険期間:30年(75歳まで)
  • 死亡・高度障害・生活障害保険金:5,000万円
  • 保険料:1,309,100円/年

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〈30歳・女性〉

  • 保険期間:40年(70歳まで)
  • 死亡・高度障害・生活障害保険金:5,000万円
  • 保険料:528,300円/年

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いかがでしょうか。実質返戻率が100%を超えるタイミングがかなり長いことがお分かりになると思います。

ただし、この実質返戻率は、解約返戻金自体にかかる税金は一切考慮していないので注意が必要です。解約返戻金を受け取ったらそのまま益金に計上されるので、同じ年度に必要な資金に充てて損金を計上しないと、解約返戻金の額に税金がかかってきて結果として損をしてしまいます。この点については後で改めてお伝えします。

2.1.3.メリット3|赤字になりそうな年度は一部解約すれば黒字を計上できる

上の返戻率の表を見ると、「実質返戻率」が100%を超える期間、つまり、「解約返戻金を受け取ると同時に同じ額の損金を計上すればトクをする期間」が比較的長いことがお分かりになると思います。

もし、この期間中に赤字が出そうな年度があった場合、保険を一部解約して解約返戻金で赤字の穴埋めをして経常利益をプラスにすることができます。

そうすることによって、銀行等に対する対外的な信用を保ち、融資を取り付けたりすることもできます。

2.1.4.メリット4|手厚い保障を受けられる保険が多い

最後に、意外と見落とされがちな全額損金定期保険のメリットとして、ほとんどの保険が手厚い保障を受けられるしくみになっているということが挙げられます。これは、万一の場合に会社を守れるという点では、実は最も重要な機能と言えるかも知れません。

普通の生命保険は、死亡・高度障害状態の場合のみ保険金を受け取れます。しかし、全額損金定期保険の多くは、死亡・高度障害の場合だけでなく、その手前の段階に陥った場合も保険金を受け取れるしくみになっています。

たとえば、A社の全額損金定期保険は、以下のような「生活障害状態」という一定の介護状態に陥った場合も保険金が支払われます。

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他にも、いわゆる三大疾病(悪性新生物・急性心筋梗塞・脳卒中)等の重大な病気で一定の状態になった場合に保険金が受け取れるタイプのものもあります。

全額損金定期保険は、保険料が全額損金にでき税金の負担が軽くなる効果のみがクローズアップされがちです。しかし、中には他の生命保険よりも保障が手厚くなっているものが多く、それは会社を守る上で大きな強みです。特にオーナー企業の場合、経営者の方が働けない状態に陥っただけでも、経営危機が訪れます。そういう場合をしのげるキャッシュが準備できることは、重要なことです。

したがって、手厚い保障を備えるために、他の保険と比べて返戻率が多少低い点には目をつぶって保障範囲の広い全額損金定期保険を選ぶというのも、合理的な選択肢の一つだと思います。

2.2.全額損金定期保険のデメリット

全額損金定期保険のデメリットは以下の3つです。

  1. 保険金が割高
  2. 解約返戻金の返戻率が低め
  3. 解約返戻金の使い道を決めておかないと損をするリスクが大きい

2.2.1.デメリット1|保険料が割高

全額損金定期保険は、保障が手厚い分、保険料が割高になっています。つまり、通常の生命保険と違い「生活障害状態」等になった場合も保険料が支払われるので、その分、保険料も割高です。

2.2.2.デメリット2|解約返戻金の返戻率が低め

全額損金定期保険は解約返戻金の返戻率が低めになっています。これは、保障が手厚い分、保険料のうち貯蓄に充てる部分よりも保障に備える部分の割合が大きくなるというイメージです。

解約返戻金のピーク時の返戻率は性別と加入年齢によって差が大きく、30歳前後の女性では90%を超えることもありますが、加入年齢が高いと50%台にとどまることもあります。一般的には概ね60~80%程度だと考えていただければけっこうです。つまり、貯蓄の機能だけ見ると、他の長期平準定期保険や逓増定期保険よりも低いと言わざるを得ません。

したがって、貯蓄の機能を重視するのであれば、できるだけ若い役員の方にかける方が良いということになります。

2.2.3.デメリット3|解約返戻金の使い道を決めておかないと損をするリスクが大きい

全額損金定期保険は、保険料の全額が損金に算入され、資産計上分は一切ありません。その結果、解約返戻金を受け取ると、全額が一気に益金に算入されます。

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この時、同じ年度に同額程度の支出をして損金に算入しないと、解約返戻金に税金が一気にかかってきます。ただでさえ解約返戻金の返戻率が低い上、さらにそこから税金が引かれてしまうということです。そのため、現金・預金で積み立てた場合よりも損をしてしまった、加入しない方がマシだった、ということになりかねないのです。

このことからすれば、解約返戻金の使い道を決めておくことが非常に重要ということになります。

3.全額損金定期保険の活用の3つの鉄則

以上の全額損金定期保険のメリット・デメリットを踏まえると、活用に際しては以下の3つの鉄則を守る必要があります。

  1. 十分なキャッシュフローがあり、多くの年度で保険料を上回る額の営業利益が上げられること
  2. 解約のタイミングと解約返戻金の使い道を明確にしておくこと
  3. 貯蓄機能重視ならば若い経営者・役員を被保険者にすること

それぞれについて詳しく説明します。

3.1.鉄則1|十分なキャッシュフローがあり、多くの年度で保険料を上回る額の営業利益が上げられること

全額損金定期保険は保障が手厚く、保険料が解約返戻金としてある程度戻ってくることから、保険料は割高です。そのため、保険料を、少なくとも解約返戻金受取時まで支払い続けることができる程度の十分なキャッシュフローが重要です。

また、保険料全額を損金に算入できるとは言っても、保険料の支払によって赤字になってしまっては、税負担を軽くする効果がありません。そのため、全ての年度とはいかなくても、多くの年度で保険料の額以上の営業利益が上げられるという見通しがなければなりません。

3.2.鉄則2|解約のタイミングと解約返戻金の使い道を明確にしておくこと

全額損金定期保険は、解約返戻金の返戻率が低めですが、上述のように「実質返戻率」が100%を超える期間が長くなっています。したがって、そのタイミングで解約して解約返戻金を受け取り、必要な経費に充てて損金を計上すれば、現金・預金で積み立てた場合よりも多くのキャッシュを会社に残せたことになります。

しかし、逆に言えば、解約返戻金を受け取っても使い道がなければ、その額に税金がかかってしまい、損をするリスクが大きいということです。

したがって、「いつ解約して解約返戻金を何に使うか」という十分な計画を立てておくことが必要です。

なお、全額損金定期保険は、赤字になりそうな年度に一部解約して解約返戻金を赤字の埋め合わせに活用することもできます。しかし、上述のように、そもそも全額損金保険に加入する際はキャッシュフローと営業利益の見通しを立てて適切な保険料の額を設定することが前提です。したがって、赤字はあくまでイレギュラーな事態ととらえるべきであって、赤字のカバーそれ自体を目的に加入することはおすすめできません。

したがって、全額損金定期保険に加入するのであれば、予め解約のタイミングと解約返戻金の使い道について十分な計画を立てる必要があります。

3.3.鉄則3|貯蓄機能重視ならば若い経営者・役員を被保険者にすること

全額損金定期保険は解約返戻金の返戻率が低く、貯蓄機能重視ならばそれがネックになります。ただし、年齢が若いうちに加入すれば比較的返戻率が高く設定されます。たとえば、上で紹介したように、30歳の若い女性であれば返戻率が90%を超えることがあります。

そのため、経営者自身の年齢が高い場合でも、なるべく若い役員を被保険者として加入し、ピーク時に解約して経営者の退職金に充てるという方法が考えられます。たとえば50歳の経営者の退職金を準備するのに、20代~30代の若い役員にかけるという方法もあります。

全額損金定期保険を活用する場合は、以上の3つの鉄則を守るようにしていただきたいと思います。

4.解約返戻金のない全額損金の生命保険は低いコストで会社を守れる

ここまでは貯蓄の機能のある全額損金定期保険についてお伝えしてきました。しかし、全額損金定期保険は全ての会社に向いているわけではありません。

他方で、全ての会社に共通して非常に重要なことがあります。それは、経営者・役員の方に万一のことがあった場合に会社のダメージを防ぎ、取引先・顧客との信頼関係を保ち、従業員の生活を守れるようにしておくことです。

そのために、全額損金で保障に特化した生命保険は、低い保険料で大きな保障を備えることができるものです。それが、「解約返戻金のない定期保険」と「収入保障保険」です。

4.1.解約返戻金のない定期保険は全額損金定期保険の1/4のコストで保障を備えられる

解約返戻金のない定期保険は、最もシンプルなタイプの生命保険といえます。保険期間は短ければ5年、10年、長ければ数十年にわたるものもあります。

保険期間が短いものは基本的に自動更新されるため、加入後に健康状態が悪化しても加入し続けることができます。ただし保険料は更新の度に上がっていきます。

4.1.1.解約返戻金のない定期保険のメリット

定期保険の場合、解約返戻金がない分保険料が割安で、低い保険料で大きな保険金を設定することができます。しかも、保険料全額を損金に算入することができます。したがって、低いコストで必要な保障を受けながら、保険料の全額を損金に算入することができます。

事業保障目的、つまり経営者・役員の方の身に万一があった場合に会社のダメージを抑えるという目的に特化するのであれば、コストパフォーマンスは優れています。

たとえば、A社の全額損金定期保険と解約返戻金のない定期保険とで、45歳男性、保険期間30年(75歳まで)、保険金額5,000万円で加入した場合の保険料を比べてみると、全額損金定期保険だと1,309,100円ですが、解約返戻金のない定期保険だと369,750円と約1/4で済みます。

年369,750円ということは1か月あたり30,813円です。このような低いコストで万一の場合に会社が5,000万円受け取れるという安心を得られるのは、大きなメリットと言えます。

4.1.2.解約返戻金のない定期保険のデメリット

定期保険の死亡保険金は一時金として支払われます。そのため、その1年度に一気に大きな益金が計上されることになります。

ただし、実際は、キーマンである経営者や役員の方に万一の事態が発生した場合には、それによる会社のダメージがその年だけでおさまるケースはなかなかありません。むしろ、その後も数年間にわたって取引先との信用をキープすることさえ大変で、業績が低迷し、赤字のカバーや借入金の返済に頭を悩ませることになる可能性があります。

そのような場合に、たとえば死亡保険金2,500万円を一度に受け取ると、2,500万円が雑収入として益金に算入されます。そのため、そこから赤字分(損金)500万円を差し引いた2,000万円に、一気に税金がかかってくることになります。そして、次年度以降は500万円の赤字だけが計上されることになります。

〈定期保険の保険金(2,500万円)と毎年の赤字(500万円)との関係のイメージ〉

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次年度の500万円については、繰戻還付の制度(※)の制度を利用すれば取り戻せますが、その次の年度以降の赤字は取り戻せません。

※繰戻還付の制度については、『法人税の節税の全てが分かる19のテクニック解説』の「テクニック15」をご覧ください。

この不都合を解消し、バランスよく赤字をカバーするためには、下のように、複数年に分けて受け取るのがおすすめです。これを「年金受取」と言います。

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そして、解約返戻金のない定期保険の一種で、保険のしくみ自体が年金受取になっていて保険料が割安な保険があります。それが、次にお伝えする収入保障保険です。

4.2.最も低いコストで万一に備えられる収入保障保険

収入保障保険は、保険期間が決まっているという意味で定期保険の仲間ですが、一つ、大きな違いがあります。それは、あなたの身に万一のことがあった場合、その時から会社が毎月一定額を受け取れるということです。つまり、保険のしくみ自体が年金受取になっているのです。

その結果、1か月ごとに何事もなければ、1か月分ずつ保険金の総額が少なくなっていきます。そのため、保険料も定期保険よりさらに割安で済むということです。

なお、赤字の穴埋めをする目的の他にも、保険期間を借入金の返済期に合わせ、毎月の保険金を返済額と同じ額にしておくという活用法もできます。

〈定期保険と収入保障保険の比較イメージ〉

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ここで、同じ保険会社B社で、定期保険と収入保障保険の保険料を比較してみると、以下の表の通りになります。なお、収入保障保険の保険金額は、加入時の総額で設定しています。

〈定期保険(B社)〉

  • 保険期間:60歳まで
  • 保険金額:月50万円×保険期間
  • 重大疾病になった場合の保険料支払免除特約(後述)あり

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〈収入保障保険(B社)〉

  • 保険期間60歳まで
  • 加入時の保険金額総額:月50万円×保険期間
  • 重大疾病になった場合の保険料支払免除特約(後述)あり

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このように、収入保障保険の保険料の額はだいたい定期保険の1/3~1/2程度です。保険金の総額が毎月減っていく分、保険料の額が非常に低く抑えられているのがお分かりになると思います。

以上から分かるように、収入保障保険は、定期保険よりもさらに低いコストで、しかも経営者の身に万一があった場合の事業の安定化に非常に役立つ保険と言えます。

5.医療保険とがん保険の意外にメリットの多い活用法

ここまでは、経営者の方の身に万一のことが起こった時の事業保障に役立つ生命保険(解約返戻金のない定期保険、収入保障保険)の話でした。

しかし、全額損金の保険で役に立つものはその他にもあります。特に、医療保険とがん保険で解約返戻金のないタイプです。福利厚生や退職金代わりなど、使い勝手が良いので、それらの活用法について説明します。

医療保険は病気やけがの場合の入院費・手術費等を一定の範囲で保障する保険です。また、がん保険は、がんに特化した医療保険です。そして、いずれも、保険期間が決まっているもの(定期)と、一生涯のもの(終身)とがあります。

法人で加入する場合、定期と終身では、終身の方が保険料の額が割高です。なぜなら、たとえば定年が60歳であれば、保険料の払込は60歳までです。そうなると、終身医療保険・がん保険は60歳以後も一生涯保障が続くので、その分まで60歳までに支払うことになるからです。

定期と終身はそれぞれ、以下のような活用法があります。

〈定期医療保険・がん保険〉

  • 従業員が病気になった場合の福利厚生

〈終身医療保険・がん保険〉

  • 経営者・役員の在職中の事業保障と、退職後の一生涯の医療・がんの保障
  • 従業員の在職中の福利厚生と、退職後の一生涯の医療・がんの保障

定期医療保険・がん保険は保険料が割安なので、低いコストで従業員の福利厚生を整えるのに向いています。他方、終身医療保険・がん保険は保険料が割高ですが、その分だけ活用方法が多いのです。以下、具体的に説明します。

5.1.定期医療保険・がん保険の活用法|従業員の福利厚生

まず、定期従業員の福利厚生の一環として、従業員の病気やケガの場合の医療費をサポートするために、医療保険に法人加入することができます。保険料を全額損金に算入しながら、福利厚生の制度を整えることができるわけです。

ただし、福利厚生目的で法人で加入する場合には、一定の条件をみたす全従業員を被保険者にする必要があります。また、福利厚生制度とその導入目的を全従業員に周知徹底するとともに、税務調査が入った場合に福利厚生目的であることの証拠とするため、「福利厚生規程(※)」を作成しなければなりません。

※福利厚生規程については『必見!福利厚生で法人保険を活用するとき重要な福利厚生規定』をご覧ください。

5.2.終身医療保険・がん保険の活用法|退職後の一生涯の医療・がんの保障をプレゼント

終身医療保険・がん保険は、定期医療保険・がん保険にない活用法があります。それは、保険料を会社が全額支払った後で、退職時にその人に退職金代わりに保険を現物支給するという活用法です。そうすると、その人は退職後一生涯、医療保障・がん保障を受けられます。

5.2.1.経営者・役員の在職中の事業保障と、退職後の一生涯の医療・がんの保障

まず、在職中は、経営者・役員の方が在職中にがんやその他の病気になった場合に、入院給付金・手術給付金で事業資金や医療費をある程度カバーすることができます。医療保険であれば、三大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)の保障や、介護の保障を付ければ、保障がより手厚くなります。

また、保険料の支払期間を退職の時期に合わせて設定しておき、退職の時に会社から個人への名義変更という形で支給するのです。こうすれば、経営者・役員の方は、以後は保険料を支払わずに一生涯の保障を受けることができます。

〈イメージ〉

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なお、解約返戻金がないタイプの終身医療保険(または終身がん保険)なので、名義変更をしても法人・個人ともに経済的な負担がほとんど発生しません。解約返戻金がない=資産価値がないとみなされているためです。

5.2.2.従業員の退職金代わりに使える場合もある

従業員に対しても、福利厚生の一環として、退職金代わりに従業員個人に「名義変更」するという形で現物支給するという利用法が考えられます。しくみは、経営者・役員の場合と全く同じです。

ただし、これを活用できるのは、従業員の多くが定年(60歳くらい)まで勤続する会社です。そのような会社となると小規模・家族経営の会社に限られてくるでしょう。

なお、福利厚生の一環なので、一定の条件をみたす全従業員に保険をかけた上、「福利厚生規程」を作成しなければなりません。

まとめ

全額損金の保険の中でも、損益を調整しながら必要な資金を積み立てる機能がある「全額損金定期保険」は非常に人気があります。手厚い保障を受けられる保険が多いのも魅力です。しかし、十分なキャッシュフローと営業利益の見通しを持ち、解約返戻金の使い道を明確にしないと、損をするリスクがあります。また、貯蓄の機能を重視するのであれば、加入年齢が若いと返戻率も高めなので、若い役員にかけることをおすすめします。

また、全額損金定期保険が向いているかどうかにかかわらず、全てに会社におすすめしたいのは、経営者・役員の方に万一のことがあった場合の会社のダメージに備えることです。そんな時、全額損金で保障の機能に特化した生命保険(解約返戻金のない定期保険、収入保障保険)は非常に役に立ちます。

そして、その他に、医療保険とがん保険も、定期医療保険・がん保険は従業員の在職中の福利厚生に役立ち、終身医療保険・がん保険は退職金代わりに一生涯の保障をプレゼントするのにも使えます。

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出岡 大作

出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や企業関係法、民法、行政法といった分野について幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
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