医療保険の入院日数の決め方と長期入院への備え


医療保険に新しく加入する場合、「入院日数」を設定する必要があります。
これは最大何日まで入院給付金を受け取れるかというもので、「30日型」「60日型」「120日型」…などがあります。
この入院日数は、どのように決めれば良いのでしょうか。また、入院期間が長期にわたってしまった場合、どのようにカバーすれば良いのでしょうか。
この記事では、これらの問題について、実際に「平均在院日数」等のデータを参照しながらお伝えします。
なお、医療保険自体の必要性についてはここでは触れません。編集長の記事「保険業界で働く私が医療保険に入らない理由」をご覧ください。
1. 医療保険の入院日数とは
まず、前提として、医療保険の入院日数とは何かを説明します。
「◯日型」で表される入院日数は、1回の入院で入院給付金(日額5,000円、日額1万円…など)を受け取れる日数の限度のことをさします。「1入院あたり●日」と表現することが多くなっています。
たとえば、「1入院あたり60日」の場合、1つの病気またはケガの治療のための入院が、合計60日までは保障されるということです。60日を超えたら保障されません。
ただし、その後180日を経過した後で同じ病気・ケガで入院すれば、別の入院とみなされ、新たに「1入院あたり60日」の保障対象になります。
たとえば、病気Aで40日間入院して退院し(第1入院)、1ヵ月後にまた病気Aで40日間入院した(第2入院)とします。
この場合、いずれの入院も病気Aによるもので、かつ、第1入院が終わってから第2入院までに180日経過していないので、第2入院は20日間のみ保障対象となります。
これに対し、第2入院が別の病気Bでの入院ならば、第1入院が終わってから180日経っていなくても、第2入院の全期間(40日間)が保障対象になります。
なお、医療保険には「1入院あたり●日」という制限の他に、「通算限度日数」による制限もあります。保険会社によって違いはありますが、通常1000日または1095日です。
2. 「30日以内」に退院している場合が83.9%
では、入院日数は何日間に設定すれば良いのでしょうか。
まずは、以下のデータをご覧ください。「病院」に入院した人の実に83.9%が、30日以内に退院しています。
【病院の推計退院患者数の構成割合(平成29年(2017年)9月)】
- 0~14日:68.2%
- 15~30日:15.7%
- 1ヶ月~3ヶ月未満:12.4%
- 3~6ヶ月未満:2.3%
- 6ヶ月以上:1.4%
(参照元:厚生労働省「平成29年(2017年)患者調査」より)
また、同じ調査で「病院」でなく「一般診療所」のデータを見ると、30日以内に退院している人の割合はさらに上昇し、91.4%になります。
3. 主な病気の平均入院日数は31.9日
次に、病気別の平均入院日数を確認しましょう。以下は、最新の厚生労働省「患者調査」のデータの抜粋です。
全体での平均入院日数は29.3日で、病気別に見ると、入院日数が50日を超える病気は少なくなっています。
【傷病別平均入院日数(平成29年(2017年)9月)】
- 脳血管疾患:78.2日
- 胃がん:19.2日
- 心疾患:19.3日
- 糖尿病:33.3日
- 呼吸器系の疾患:25.3日
- 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害:531.8日
- 総数:29.3日
(参照元:厚生労働省「平成29年(2017年)患者調査」より)
以上、データから、入院した場合30日以内に退院する可能性が高いということが言えます。
4. 医療保険の入院限度日数は「60日型」「30日型」で良い
以上の平均入院日数のデータから、医療保険の1入院の限度日数は「60日型」ならばほとんどの病気をカバーできると思われます。保険会社によっては「30日型」もあるので、それを選ぶのも良いと思います。
なお、医療保険は優先順位が最も低い保険です(詳しくは「保険業界で働く私が医療保険に入らない理由」をご覧ください)。その観点からも、医療保険に加入するならば基本の保障(入院・手術の保障)は必要最小限の保障で良いと言うこともできます。
ただし、病気・症状によっては、治療が長引くケースも稀ではありません。もう一度、傷病別の平均入院日数のデータの抜粋をご覧ください。
【傷病別平均入院日数(平成29年(2017年)9月)】
- 脳血管疾患:78.2日
- 胃がん:19.2日
- 心疾患:19.3日
- 糖尿病:33.3日
- 呼吸器系の疾患:25.3日
- 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害:531.8日
- 総数:29.3日
そういった場合について、なんとか備えたいと思うのは人情でしょう。
それでは、どうすれば良いのでしょうか。最後に、その手段を3つお伝えします。
5.長期入院に備える3つの方法
5.1.生活習慣病特約の活用
入院が長期化する傾向のある病気は
- 精神系疾患
- 脳血管疾患
の2種類です。
医療保険は、精神疾患まではカバーしきれません(他の保険でもカバーしきるのは難しいです…保険は決して万能でないことを端的に表す好例です)。
しかし、脳血管疾患による長期入院に対応できるものはあります。それは『生活習慣病特約』『三大疾病特約』等です。
これらは、保険会社により名称・内容は若干異なりますが、『がん』『心疾患』『脳血管疾患』『糖尿病』『高血圧性疾患』『腎疾患』『肝疾患』等、特定の疾病については、保障対象となる入院日数が無制限になるものです。
特約の保険料は各社・年齢ごとに異なりますが、月額数百円で付加できるところがほとんどです。
5.2.長期入院保険(特約)
短期の入院は保障しない代わりに、長期入院のみを超える入院のみを保障する保険もあります。
たとえば、入院日数が60日を超えた場合にその後の入院を1,000日程度まで保障してくれるというものです。
少ない入院ならば費用があまりかからないので、長期入院だけに特化したいという方にはおすすめです。
保険料も長期入院のみに対応しているので、保険料も割安になっています。
5.3.所得補償保険の活用
最後に紹介したいのが、所得補償保険です。
所得補償保険は、病気やケガなどでドクターストップがかかって働けない状態になった場合、その間の収入減をカバーすることを目的としています。
保険金額は、医療保険のように「1日●円」ではなく、「1カ月あたり●円」と設定することが多いです。
特に、自営業の方は働けないと即、収入が途絶えてしまう方も多いので、長期入院や長患いで減少した収入の補てんまでしたいという方にはぴったりです。
所得補償保険については、詳しくは「所得補償保険とは?加入を考える上で知っておきたいこと」をご覧ください。
まとめ
医療保険の1入院あたりの日数は、入院が短期化の傾向にあること、医療保険自体の優先順位が低いことを考えると、「60日」「30日」と、比較的短期間に設定しておけば良いと考えられます。
また、長期入院しやすい病気はある程度決まっており、それに標準を絞ることで、比較的安い保険料で長期入院に備えることもできます。
働けなくなったことによる収入減をカバーしたいのであれば、医療保険ではなく、所得補償保険を活用して長期入院に備えるという選択肢もあります。



