地震保険の相場|地域と構造によってどう変わるか

大きな震災が発生する可能性が囁かれる昨今において、地震保険について興味があるという人も多いのではないでしょうか。

そんな地震保険ですが、実際どのくらいの保険料が相場なのか、加入を検討する前に知っておきたいですよね。

今回は地震保険の相場について紹介していきます。

どの程度の保険料で満足のいく補償が得られるのか、しっかりと把握しておきましょう。

1.地震保険は国が運営する保険

それもそのはず、地震保険は単体で加入することが出来ず、各保険会社の火災保険と併せて契約しなければいけません。

その性質から、地震保険は保険会社が打ち出している保険だと思われがちです。しかし、実は、地震保険は保険会社ではなく日本政府が打ち出している保険なのです。

なぜ国が労力を使ってまで保険を運営しているのでしょうか。

財務省のホームページには、「地震等による被災者の生活の安定に寄与することが目的」と記載されています。

つまり、地震保険は、過去何度も大震災に見舞われている日本において、被災者の生活を支えるために必要であると国が判断した結果、生まれた保険であるといえるでしょう。

2.地震保険の内容は保険会社に関わらず一律

地震保険は国が運営しているという性質上、保険会社に関係なく保険料は一律です。つまり、どの保険会社で加入しても変わらないということになります。

よって、保険会社を選ぶ際には、まず、火災保険の内容が重要です。火災保険の選び方については「火災保険の選び方|必要な補償を備えるため知っておきたいこと」をご覧ください。賃貸物件については「賃貸住宅の火災保険に自分で加入する際のポイント」も併せてご覧ください。

2.1.保険料には構造や地域によって違いがある

保険会社による内容の違いがない地震保険ですが、とある要素によって、同じ保障内容でも保険料に大きな違いが生まれます。

その要素とは「建物の構造」と「建物が建っている都道府県」です。

それぞれ見ていきましょう。

①建物の構造による違い

まずは建物の構造による違いです。

地震保険において、建物の構造はイ構造とロ構造に分類されます。

各分類の要件は以下の通りです。

区分 分類要件
イ構造
  • 鉄骨・コンクリート造の建築物
  • 耐火建築物・準耐火建築物、省令準耐火建物の木造建築物
ロ構造
イ構造に当てはまらない木造建築物

この分類は、震災発生時における建物の損壊リスクが構造によって違うため定められたものです。

イメージしてみると簡単に想像できますが、基本的に木造建築の方が、鉄骨やコンクリートで造られた建物より損壊リスクが高くなります。

そのため、イ構造に分類された建物よりロ構造に分類された建物の方が、保険料は割高です。

②建物が建っている都道府県による違い

地震保険は建物の所在地によって基本の保険料が大きく変化します。

地域ごとに保険料が違う理由は、地域によって震災のリスクが違うためです。

以下の図は、政府の地震調査研究推進本部が発表した、今後30年以内に震度6弱の地震が発生する確率を示した地図となります。

図によると、太平洋沿岸部の震災リスクが特に高いととらえられていることが分かります。

上記のデータを頭に入れた上で、建物の構造ごとの、都道府県別の保険料を見ていきましょう。

保険金額1,000万円の場合、1年あたりの保険料は以下のようになります。

都道府県 イ構造 ロ構造
北海道 7,800 13,500
青森県 7,800 13,500
岩手県 7,100 11,600
宮城県 10,700 19,700
秋田県 7,100 11,600
山形県 7,100 11,600
福島県 8,500 17,000
茨城県 15,500 32,000
栃木県 7,100 11,600
群馬県 7,100 11,600
埼玉県 17,800 32,000
千葉県 25,000 38,900
東京都 25,000 38,900
神奈川県 25,000 38,900
新潟県 7,800 13,500
富山県 7,100 11,600
石川県 7,100 11,600
福井県 7,100 11,600
山梨県 10,700 19,700
長野県 7,100 11,600
岐阜県 7,800 13,500
静岡県 25,000 38,900
愛知県 14,400 24,700
三重県 14,400 24,700
滋賀県 7,100 11,600
京都府 7,800 13,500
大阪府 12,600 22,400
兵庫県 7,800 13,500
奈良県 7,800 13,500
和歌山県 14,400 24,700
鳥取県 7,100 11,600
島根県 7,100 11,600
岡山県 7,100 11,600
広島県 7,100 11,600
山口県 7,100 11,600
徳島県 15,500 36,500
香川県 10,700 19,700
愛媛県 12,000 22,400
高知県 15,500 36,500
福岡県 7,100 11,600
佐賀県 7,100 11,600
長崎県 7,100 11,600
熊本県 7,100 11,600
大分県 10,700 19,700
宮崎県 10,700 19,700
鹿児島県 7,100 11,600
沖縄県 10,700 19,700

参考:地震保険制度の概要 : 財務省

震災リスクのデータと照らし合わせると、リスクが高い地域ほど保険料が割高になっています。

震災リスクの低い北海道とリスクの高い東京を比較してみると、保険料に3倍弱もの差があり、建物の所在地が保険料に大きな影響を及ぼしているといえるでしょう。

2.2.建物の性能によって様々な割引が受けられる

地震保険には様々な割引制度や契約年数による割引があります。

割引制度が適用される条件は「建物のスペックが高い」ことです。建物が比較的新しかったり、耐震性能が高いと診断されたりすると、割引が適用されます。

用意されている割引制度は以下の通りです。

割引制度 割引の説明 保険料の割引率
建築年割引(ご契約開始日が平成13年10月1日以降) 対象物件が、昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合 10%
耐震等級割引(ご契約開始日が平成13年10月1日以降) 物件が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に規定する日本住宅性能表示基準に定められた耐震等級か、国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級 (構造躯体の倒壊等防止) の評価指針」に定められた耐震等級を有している場合 耐震等級1 10%
耐震等級2 30%
耐震等級3 50%
免震建築物割引 (ご契約開始日が平成19年10月1日以降) 対象物件が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「免震建築物」である場合 50%
耐震診断割引 (ご契約開始日が平成19年10月1日以降) 対象物件が、地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合 10%

表からも分かるように、建物の耐震性能が高いと国から判断されれば、最大50%もの割引が受けられます。

2.2.契約年数が長さによる割引もある

地震保険では、契約年数は長期であるほど割引率が高くなります。

本来、5年であれば1年おきの保険料を5倍した金額を支払うわけですが、長期契約の場合は年数の代わりに長期係数という数値を利用します。

契約年数ごとの長期年数は以下の通りです。

期間 係数
2年 1.90
3年 2.80
4年 3.70
5年 4.60

例えば、1年おきの保険料が1万円だった場合、1年契約で5年経つと5万円となりますが、5年契約をしていれば、46,000円になるのです。

長期契約は最大でも5年とそこまで長くないので、途中で保険の見直しが難しくなるリスクを考慮しても、契約を検討する価値はあるでしょう。

3.地震保険の保険金について

地震保険の保険金は、必ず上限額一杯まで受け取れるわけではありません。

建物や家財の損壊具合によって、受け取れる保険金額が変化します。

損壊の具合は「全損」「大半損」「少半損」「一部損」に分類され、受け取れる保険金額は、それぞれ以下通りです。

全損 地震保険の保険金額の100%(時価額が限度)
大半損 地震保険の保険金額の60%(時価額の60%が限度)
小半損 地震保険の保険金額の30%(時価額の30%が限度)
一部損 地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度)

上記より、保険金を上限額まで受け取れるのは「全損」の場合のみであることが分かります。

損壊の程度の判断基準は以下の通りです。

建物の場合
全損
  • 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の50%以上となった場合
  • 焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合
大半損
  • 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の40%以上50%未満となった場合
  • 焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の50%以上70%未満となった場合
小半損
  • 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の20%以上40%未満となった場合
  • 焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合
一部損
  • 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の3%以上20%未満となった場合
  • 建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け、建物の損害が全損・大半損・小半損に至らない場合
家財の場合
全損 地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の80%以上となった場合
大半損 地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の60%以上80%未満となった場合
小半損 地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の30%以上60%未満となった場合
一部損 地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の10%以上30%未満となった場合

上記の表を見ると、家財の基準がかなり抽象的なのが分かります。

実は、地震保険における家財の損害具合の決定方法は特殊な計算方法で算出されるのです。

家財の損害の程度は、以下の数式で算出されます。

  • 損傷品目数/存在品目数 × 構成割合

家財における地震保険では、家財の種類によって分類されており、その分類内に含まれる家財の総数を存在品目数て定めています。

このうち、震災等で損害を受けた家財の数を損傷品目数とし、各分類に定められた構成割合を使って、上記の計算式により損害の程度をパーセントで算出します。

各分類と含まれる品目、構成割合は以下の通りです。

分類 代表品目 構成割合
食器陶器類 食器・陶器置物・食料品・調理器具他 5%
電気器具類 電子レンジ・パソコン・テレビ・冷蔵庫他 20%
家具類 食器棚・サイドボード・たんす・机・椅子他 10%
見回品その他 カメラ・書籍・鞄・靴・レジャー用品他 35%
寝具・衣類 衣類・寝具 30%

例えば、地震によって、「電気器具類」に該当する品物20個のうち15個が損壊したとしましょう。

この場合、損害額の程度は以下の数式にて求められます。

  • 15(損傷品目数)÷20(存在品目数)×20%(構成割合)=15%

各分類の損害具合を計算の後、合計することで、家財の損壊程度を算出することが可能です。

4.地震保険の相場を具体的に見てみよう

地震保険の保険料がどのように決まるかがわかっとところで、具体的に地震保険の相場を見てみましょう。

今回は割引については考慮せず、地域に構造によってどの程度保険料に変化があるのかを見てみましょう。

例①:所在地が北海道の木造建築の場合

条件
  • 保険金額:3,000万円
  • 構造区分:ロ構造
  • 所在地:北海道

上記の条件の場合、保険料は年額で40,500円です。

月額ベースで見てみると、1月あたり3,375円と、飲み会を一回ほど我慢すれば払えるような金額になります。

例②:所在地が北海道の鉄骨造建築の場合

条件
  • 保険金額:3,000万円
  • 構造区分:イ構造
  • 所在地:北海道

上記の条件の場合、保険料は年額で23,400円です。木造と比較すると、月あたりでみても大きな差があります。

月額ベースで見てみると、1月あたり1,950円と、かなり低い負担です。

例③:所在地が東京の鉄骨造建築の場合

条件
  • 保険金額:3,000万円
  • 構造区分:イ構造
  • 所在地:東京

上記の条件の場合、保険料は年額で75,000円です。月額ベースで見てみると、1月あたり6,250円となります。

北海道と比較すると、かなりインパクトのある金額に見えます。

地震保険の保険料が地域によって大きく変化することが体感できたでしょうか。

まとめ

地震保険の相場についてお話ししてきました。

地震保険は国が運営している保険である背景から、保険会社による金額差というものはなく、一律になっています。

しかし、保険料は建物の構造や建物のある都道府県によって違いがあり、それによって大きく金額差があることが分かりました。

保険料が高い地域では、保険の加入をためらいがちになってしまうこともあるでしょう。

しかし、そういった地域では震災リスクが高く、比例して保険の必要性が高くなります。

大きな震災に見舞われてしまうと、手元には何も残らなくなってしまう可能性が高いです。

そんな中、保険金が受け取れるだけでも、先のことを前向きに見据えやすくなるでしょう。

保険料が高いのにはそれなりの理由があると納得した上で、火災保険の内容も加味しつつ、地震保険への加入を検討することが大切です。

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保険の教科書 編集部

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