火災保険の保険料を経費にできる条件と計上方法

公開 2024年4月12日更新 2024年4月15日
火災保険の保険料を経費にできる条件と計上方法
火災保険の保険料を経費にできる条件と計上方法

住居と事業所等が兼用の場合、火災保険の保険料を経費にできるかは気になるところです。

火災保険の保険料は基本的に経費計上することができますが、場合によっては経費計上できないケースもあります。

今回は、火災保険の経費計上について、

  • 経費計上が可能なケースはどんな場合か
  • 長期契約時の注意点

について解説していきます。

1.火災保険は事業に関係する限り経費計上できる

火災保険の保険料は、事業に関係するものと言える限り、経費計上が可能です。

つまり、事務所や店舗として利用している建物や財物にかかっている火災保険の保険料は、経費計上が可能です。

これは、地震保険料も同様で、火災保険に併せて地震保険に加入している場合でも経費計上できます。

対して、経費にできないのは自宅にかかっている火災保険の保険料です。

そもそもの定義として、事業で利用するものを経費というので、当然といえば当然です。

2.自宅と事業所を兼ねているなら一部を経費にできる

ただし、自宅の火災保険でも経費計上できる方法があります。

それは、自宅の一部を事業所として利用している場合です。経費にできるのは事業所として利用している分のみです。

事業所として利用している部分が建物全体のうちどの程度の割合なのか、面積などによって算出し、保険料のうちその割合を経費にすることができます。

補足:地震保険は個人での保険料控除も受けられる

火災保険の保険料は保険料控除の対象から外れてしまい、企業や自営業者のみが、保険料を経費にすることができます。

自宅兼事業所の場合、自宅の分は一切控除を受けられません。

ただし、地震保険については現在も保険料控除の対象なので、自宅兼事業所の場合、自宅の分について保険料による税金控除を受け、事務所利用している部分の地震保険料は経費にすることができるのです。

火災保険と併せて加入することもあり、地震保険の保険料控除については忘れがちになるので注意しましょう。

2.長期契約の場合は注意が必要

火災保険の契約が長期契約の場合、数年分の保険料を一括で支払うことになります。この場合、保険料の仕訳時に注意が必要です。

火災保険料は支払った年に支払った分だけ経費として申告するのではなく、毎年、その年に対応する分の保険料を少しずつ計上していくのです。

例えば、10年契約で火災保険に加入に、保険料20万円を一括で支払った場合、年度内に経費計上できるのは1年分の保険料である2万円のみです。

次年度からも、契約満了の年まで毎年2万円づつ経費計上していくことになります。

3.火災保険の仕訳方法についてケースごとに紹介

火災保険料の経費計上について分かったところで、ここからは仕訳の方法について、1年契約の場合と長期契約の場合に分けて見ていきましょう。

ケース1|1年契約の場合

1年契約の場合はシンプルで、普通預金という資産が20,000円減って、損害保険料という費用が20,000円増えたという形です。

例えば、1年契約の火災保険料として、2万円を支払った場合、以下のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
損害保険料 20,000円 普通預金 20,000円

なお、もし契約期間が次の年度にまたがるとしても、上記のように全額を当期の経費として計上することが可能です。

ケース2|長期契約の場合

契約期間が2年以上にわたる火災保険料を経費として仕訳する場合、年度ごとに振り分けなければなりません。

一括で支払った保険料については、当期分の額を「損害保険料」として「経費計上」し、翌々期以降の分の額を「長期前払費用」として「資産計上」します。

たとえば、事業年度が1月~翌12月の事業者が、7月に5年契約で年間12万円の火災保険に加入し、60万円を支払った場合を見てみます。

当期分の損害保険料について

まず、当期分の損害保険料についてです。

損害保険料に分類されるのは、契約した7月から12月までの6ヶ月分になります。

6ヶ月分の保険料を計算すると、

  • 12万円÷12ヶ月×6ヶ月分=6万円

なので、当期の損害保険料は6万円です。

翌期分以降の長期前払費用について

次に、翌期分以降について見ていきましょう。翌期以降の分はいったん「長期前払費用」として資産計上されます。

長期前払費用は、一括で支払った保険料全額から損害保険料を差し引いた額なので、

  • 60万円−6万円=54万円

です。

結果、仕訳処理は以下のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
損害保険料(経費) 60,000円 普通預金 600,000円
長期前払費用(資産) 540,000円

そして、次年度以降、長期前払費用(資産)として計上した48万円から1年(12ヶ月)分の保険料にあたる12万円を取り崩し、その期の「損害保険料」として計上していきます。

借方科目 金額 貸方科目 金額
損害保険料(経費) 120,000円 長期前払費用(資産) 120,000円

まとめ

火災保険料の経費計上について解説してきました。

火災保険料、事業用途で利用している建物や家財についてかかっているものについてであれば保険料を計上できます。

自宅にかかっている保険については保険料を経費にはできませんが、事務所利用している部分があるのであれば、その部分の保険料のみ経費計上することが可能です。

長期契約で保険料を一括払いした場合、全額一気に計上するのではなく、その年度の分を順次計上していくことになるので、注意しましょう。

動画でも解説しています

社長の資産防衛チャンネルでは、税理士が同じテーマをより詳しく解説しています。 文字で追いきれなかったところは、動画でご覧ください。

社長の資産防衛チャンネルを見る →
賠償責任保険

施設賠償責任保険とは?意外に知らない補償内容と必要性

施設賠償責任保険は、施設の欠陥等によって人にケガをさせたり物に損害を与えたりした場合に、賠償金等の費用を補償してもらえる保険です。 事業用の施設の欠陥が原因で会社が損害賠償責任を負った場合、最悪の場合、会社を揺るがすほど…

2022年1月13日
法人損害保険

火災保険で雨漏りの修理ができる場合とできない場合まとめ

自宅の屋根の一部が損壊するなどして雨漏りした場合、火災保険の補償で修理費用がまかなえる可能性があるのはご存知でしょうか。 火災保険は火災だけでなく、雨漏りの原因になるような台風や大雪などの損害も補償の範囲に含まれているか…

2025年3月4日
法人損害保険

自動車保険の勘定科目と仕訳方法を具体例付で解説

事業に使用している自動車の自動車保険については、その保険料を必要経費として計上することができます。 ただし、会計処理には様々なルールがあるので、どんな勘定科目を選んでどのように仕訳するとよいか、分かりにくいことがあります…

2024年5月17日
法人損害保険

火災保険の「臨時費用保険金」はどんな時に役立つか

火災保険で支払われる保険金は、火災などにより損害を受けた自宅の建物や家財(家具・家電・衣類など)の修理費を補償する損害保険金だけではありません。 それ以外に、追加で支払われる保険金のことを総称して「費用保険金」と呼び、そ…

2024年3月26日
法人生命保険

要確認!保険積立金と解約返戻金の経理処理

法人で保険に加入をしていると、将来解約した時に解約返戻金がある商品があります。 その場合、解約返戻金をどう経理処理をしていいのかわからないのではないでしょうか。 保険積立金がある場合、将来「解約返戻金」、「満期保険金」、…

2024年12月3日
法人保険

中退共の退職金はいくら?掛金・勤続年数別の早見表【受取額の目安】

従業員に退職金を支払いたくても、どのくらいが相場なのか、相場の退職金額を用意するためには毎月どの程度積み立てればよいのか、頭を悩ませている中小企業の経営者の方は多いのではないでしょうか。 ここでは中小企業の退職金の平均的…

2026年10月6日
法人生命保険

養老保険の保険料の「全額損金」・「1/2損金」の違い

養老保険に法人加入すると保険料が損金に算入できるという話を耳にしたことがあるのではないでしょうか。 しかし、養老保険は契約内容によって全額損金タイプ1/2損金タイプに分かれ、中には1円たりとも損金算入できないものもありま…

2023年5月24日
法人生命保険

法人保険の損金算入ルールを分かりやすく解説します

法人保険、特に積立の機能のある「定期保険」は、かつて「節税商品」として人気がありました。 「逓増定期保険」「長期平準定期保険」「生活障害保障型定期保険」といったものです。 これらは、保険料の全部または一部(1/2、1/3…

2022年12月26日
通話料無料で今すぐ電話で相談予約フォームから無料相談予約