火災保険の保険料を経費にできる条件と計上方法

住居と事業所等が兼用の場合、火災保険の保険料を経費にできるかは気になるところです。

火災保険の保険料は基本的に経費計上することができますが、場合によっては経費計上できないケースもあります。

今回は、火災保険の経費計上について、

  • 経費計上が可能なケースはどんな場合か
  • 長期契約時の注意点

について解説していきます。

1.火災保険は事業に関係する限り経費計上できる

火災保険の保険料は、事業に関係するものと言える限り、経費計上が可能です。

つまり、事務所や店舗として利用している建物や財物にかかっている火災保険の保険料は、経費計上が可能です。

これは地震保険料も同様で、火災保険に併せて地震保険に加入している場合でも経費計上できます。

対して、経費にできないのは自宅にかかっている火災保険の保険料です。

そもそもの定義として、事業で利用するものを経費というので、当然といえば当然です。

2.自宅と事業所を兼ねているなら一部を経費にできる

ただし、自宅の火災保険でも経費計上できる方法があります。

それは、自宅の一部を事業所として利用している場合です。経費にできるのは事業所として利用している分のみです。

事業所として利用している部分が建物全体のうちどの程度の割合なのか、面積などによって算出し、保険料のうちその割合を経費にすることができます。

補足:地震保険は個人での保険料控除も受けられる

火災保険の保険料は保険料控除の対象から外れてしまい、企業や自営業者のみが、保険料を経費にすることができます。

自宅兼事業所の場合、自宅の分は一切控除を受けられません。

ただし、地震保険については現在も保険料控除の対象なので、自宅兼事業所の場合、自宅の分について保険料による税金控除を受け、事務所利用している部分の地震保険料は経費にすることができるのです。

火災保険と併せて加入することもあり、地震保険の保険料控除については忘れがちになるので注意しましょう。

2.長期契約の場合は注意が必要

火災保険の契約が長期契約の場合、数年分の保険料を一括で支払うことになります。この場合、保険料の仕訳時に注意が必要です。

火災保険料は支払った年に支払った分だけ経費として申告するのではなく、毎年、その年に対応する分の保険料を少しずつ計上していくのです。

例えば、10年契約で火災保険に加入に、保険料20万円を一括で支払った場合、年度内に経費計上できるのは1年分の保険料である2万円のみです。

次年度からも、契約満了の年まで毎年2万円づつ経費計上していくことになります。

3.火災保険の仕訳方法についてケースごとに紹介

火災保険料の経費計上について分かったところで、ここからは仕訳の方法について、1年契約の場合と長期契約の場合に分けて見ていきましょう。

ケース1|1年契約の場合

1年契約の場合はシンプルで、普通預金という資産が20,000円減って、損害保険料という費用が20,000円増えたという形です。

例えば1年契約の火災保険料として、2万円を支払った場合、以下のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
損害保険料 20,000円 普通預金 20,000円

なお、もし契約期間が次の年度にまたがるとしても、上記のように全額を当期の経費として計上することが可能です。

ケース2|長期契約の場合

契約期間が2年以上にわたる火災保険料を経費として仕訳する場合、年度ごとに振り分けなければなりません。

一括で支払った保険料については、当期分の額を「損害保険料」として「経費計上」し、翌々期以降の分の額を「長期前払費用」として「資産計上」します。

例として、事業年度が1月~翌12月の事業者が、7月に5年契約で年間12万円の火災保険に加入し、60万円を支払った場合を見てみます。

当期分の損害保険料について

まず、当期分の損害保険料についてです。

損害保険料に分類されるのは、契約した7月から12月までの6ヶ月分になります。

6ヶ月分の保険料を計算すると、

  • 12万円÷12ヶ月×6ヶ月分=6万円

なので、当期の損害保険料は6万円です。

翌期分以降の短期前払費用について

次に、翌期分以降について見ていきましょう。翌期以降の分はいったん「長期前払費用」として資産計上されます。

長期前払費用は、一括で支払った保険料全額から損害保険料を差し引いた額なので、

  • 60万円−6万円=48万円

です。

結果、仕訳処理は以下のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
損害保険料(経費) 60,000円 普通預金 600,000円
長期前払費用(資産) 480,000円

そして、次年度以降、長期前払費用(資産)として計上した48万円から1年(12ヶ月)分の保険料にあたる12万円を取り崩し、その期の「損害保険料」として計上していきます。

借方科目 金額 貸方科目 金額
損害保険料(経費) 120,000円 長期前払費用(資産) 120,000円

まとめ

火災保険料の経費計上について解説してきました。

火災保険料、事業用途で利用している建物や家財についてかかっているものについてであれば保険料を計上できます。

自宅にかかっている保険については保険料を経費にはできませんが、事務所利用している部分があるのであれば、その部分の保険料のみ経費計上することが可能です。

長期契約で保険料を一括払いした場合、全額一気に計上するのではなく、その年度の分を順次計上していくことになるので、注意しましょう。

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保険の教科書 編集部

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