火災保険の保険料の仕訳方法をケースごとに解説

経理処理を行う際、火災保険の保険料をどう仕訳すればよいか、迷うことがあると思います。

火災保険の保険料は、複数年契約の場合、自宅兼事務所の場合、積立型の場合等、それぞれ仕訳の方法が異なります。

この記事では、それぞれのケースにおける火災保険の保険料の仕訳方法を、具体例を使って解説しています。

なお、それぞれの方法に関わる会計の用語についても適宜解説しています。

はじめに

火災保険を含め自動車保険、傷害保険、損害賠償責任保険など損害保険一般は、「損害保険料」として費用を計上することになります。

また仕訳方法は、契約期間が1年の場合と、2年以上の場合で異なるので注意して下さい。ここでは、それぞれの方法を解説します。

1.火災保険の契約期間が1年の場合の仕訳方法

例:1年契約の火災保険の保険料20,000円を支払った

火災保険の契約期間が1年の場合、契約期間が次の年度にまたがるとしても、以下のように全額を当期の経費として計上することができます。これを「短期前払費用」と言います。

なお、向こう1年分の保険料全額を「短期前払費用」として当期の経費とする場合、次回以降も継続的に同じ内容で仕訳する必要があるので注意しましょう。

借方科目 金額 貸方科目 金額
損害保険料 20,000円 普通預金 20,000円

2.火災保険の保険期間が2年以上の場合の仕訳方法

例:5年契約の火災保険の保険料150,000円を8月に支払った(事業年度:4月~翌年3月)

契約期間が2年以上にわたる火災保険の保険料を経費として仕訳する場合、保険料は年度ごとに「期間按分」(※1)しなければなりません。

この時、翌期いっぱいまでの分の額を「短期前払費用」として経費計上します。また翌々期以降の分の額を「長期前払費用」(※2)として資産計上します。

紛らわしいのは同じ「前払費用」でも、「短期前払費用」は経費、「長期前払費用」は資産になることです。

※1 期間按分(きかんあんぶん):期間ごとに均等に経費を振り分けること

※2 長期前払費用:翌々期以降に費用になるもの

具体的な計算方法は以下の通りです。

●(当期分)損害保険料

当期の契約月数は、8月~翌3月までの8ヵ月分です。そして1ヵ月分の損害保険料は

15万円(保険料総額)÷(5年(契約期間)×12ヵ月)=2,500円

それが8ヵ月分なので、

2,500円×8ヵ月分=2万円

となります。

●(翌期分)短期前払費用

翌期1年分の損害保険料も、「短期前払費用」として、当期の経費に計上することができます。

15万円(保険料総額)÷5年(契約期間)=3万円

となります。

●(翌々期以降分)長期前払費用

翌々期以降分の保険料は、長期前払費用として資産計上されます。

今期分の保険料(2万円)と翌期分の保険料(3万円)の合計は5万円ですので、

15万円(5年分の保険料)-5万円(今期の経費計上額)=10万円

となります。その結果、以下のような仕訳処理となります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
損害保険料(経費) 20,000円 普通預金 150,000円
短期前払費用(経費) 30,000円
長期前払費用(資産) 100,000円

3.自宅で仕事をしている場合は「家事按分」して経費にできる

自宅の一部を事務所がわりにして仕事をしているといった場合、自宅向けに加入した火災保険は仕事で使用した分を割り出す「家事按分」を行い経費として計上することができます。

家事按分とは、プライベートの費用と業務用の費用が混じっている場合に、仕事として使った割合の額だけを取り出して経費として扱うことです。

何を基準にするかの明確なルールはありませんが、重要なのは税務署に対して合理的に説明できることです。

火災保険の保険料の場合、一般的に用いられている方法は、延床面積のうち仕事で使っているスペースの割合で算出することです。

たとえば、自宅兼会社社屋の火災保険の保険料が年間20万円で、床面積の内訳が生活用のスペース20%、会社用のスペース80%だとすると、経費に計上できるのは、

20万円×80%=16万円

ということになります。

4.積立型の保険の場合

例:5年契約の積立火災保険の保険料340万円を、今年8月に支払った(積立部分280万円・保険料部分60万円、事業年度:4月~翌年3月)。満期時には360万円の満期返戻金が受け取れることになっている。

火災保険の中には、掛け捨てではなく契約満了時に満期返戻金を受け取れる積立型のものもあります。

そのような積立型の火災保険に加入している場合、保険料のうち積立部分にあたる額280万円を「保険積立金」(※)として資産計上します。そして、それ以外の金額を経費として計上します。

※保険積立金:生命保険や損害保険で支払う保険料のうち、積立のための費用部分をさす。積立部分は、銀行預金などと同じ資産効果があると考えられ、勘定項目では資産の一部として処理される。

この例における各費用の金額の算出方法は以下の通りです。

●(当期分)損害保険料

当期の契約月数は、8月~翌3月までの8ヵ月分なので、この期間分の保険料を算出します。1ヶ月分の損害保険料は

60万円(保険料部分総額)÷(5年(契約期間)×12ヵ月)=1万円

で、それが8ヵ月分なので、

1万円×8ヵ月分=8万円

です。

●(翌期分)短期前払費用

翌期の1年分は「短期前払い」となります。

60万円(保険料部分総額)÷5年(契約期間)=12万円

です。

●(翌々期以降分)長期前払費用

翌々期以降分の保険料は、長期前払費用として資産計上されます。

今期分の保険料部分(8万円)と翌期分の保険料部分(12万円)の合計は20万円ですので、

60万円(5年分の保険料部分総額)-20万円(今期の経費計上額)=10万円

となります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
保険積立金(資産) 280万円 普通預金 340万円
損害保険料(経費) 8万円
短期前払費用(経費) 12万円
長期前払費用(資産) 40万円

積立型の場合、仕訳が必要となるのは保険料を支払ったとき以外にも、満期返戻金を受け取ったときにも仕訳が必要です。

満期返戻金を受け取ったときの仕訳は、以下のように行います。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金 360万円 保険積立金(資産) 340万円
雑収入 20万円

受け取った満期返戻金と保険積立金の差額は、「雑収入」として計上します。

保険積立金と雑収入の合計が、満期返戻金と同額になる計算です。

まとめ

火災保険の保険料について1年契約の場合には、その期に支払った保険料を「損害保険料」としてそのまま仕訳すれば問題ありません。

次に複数年の契約の場合は、年度ごとに期間按分し、今期分の保険料は損害保険料(経費)、翌期分の保険料は短期前払費用(経費)として、翌々期以降の保険料は長期前払費用(資産)として仕分けます。

また自宅兼事務所の場合、保険料は家事按分して経費として計上することが必要です。

さらに、積立型の場合、積立部分を保険積立金として計上します。

このように、パターンごとに計上方法が異なるため、仕訳の際は注意して下さい。

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保険の教科書 編集部

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