火災保険の保険金は、災害によって建物や家財が損壊した場合に受け取ることができます。
この保険金は、損壊した建物を修理したり、家財を買い直したりするのに使われるべきものです。しかし、修理せず、他の用途に使ってはいけないものなのでしょうか。
今回は、火災保険の保険金の使い道について、決まりがあるのか、他の用途に流用可能なのかについて見ていきます。
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1.火災保険の保険金の用途は自由
結論から言ってしまえば、火災保険の保険金の用途は自由であり、何に使ってもお咎めはありません。
なぜなら、保険というものは、保険料を支払う代わりに、契約内容で定められた事態が発生した際に保険金を受け取れるというだけの商品であり、保険金の用途を縛る決まりは一切ないからです。
生命保険の保険金の使い道が限られていないことと全く同じ理屈です。
したがって、保険金を受け取ってもそれを修理に使わず、極端な話、娯楽やギャンブルに使おうが、借金の返済に充てようが、自由です。
2.修理の見積もりは保険金の額を決めるためのもの
ただし、火災保険の保険金を受け取るための手続として、建物や家財の損壊箇所を確認し、修理費等の見積もりをとらなければなりません。
この見積もりが原因で、火災保険の保険金は修理や建て直しなどの用途にしか使ってはいけないと思い込んでいる人が多いのかもしれません。
では、そもそもなぜ見積もりをとるのでしょうか。
実は、この見積もりは、保険会社が損害額を特定し、支払う損害保険金の額を決定するために必要なのです。
その上、契約者は十中八九損壊箇所の修理等に保険金を使うため、見積もりをとる手間がなくなり一石二鳥になります。
火災保険で保険金を受け取る際にとる見積もりは、あくまで保険金の額を決める指標であるということをよく覚えておきましょう。
3.保険金を修理に使わない場合の注意点
とはいえ、保険金を修理に使わなかった場合、様々な問題が発生します。
もし保険金を別の用途に使おうと考えているのであれば、必ず修理で使わない場合のデメリットを把握しておきましょう。
3.1.建物や家財の修理費用を別に用意しなければならなくなる
損壊箇所を修理しなかった場合、その部分はボロボロのままです。その状態で生活するわけにはいきませんので、いずれは修理しなければならなくなります。
たとえば、台風等で屋根が壊れた場合、放置すると雨漏りが発生しますし、屋根だけでなく建物全体の劣化が早まってしまいます。結局は、修理しなければならなくなります。
しかも、劣化が進んだ後での修理には、当初よりも多額の費用がかかってしまいます。
家財においても同様で、生活していく上で必要な物については、いずれは買い直したり修理したりしなければなりません。
保険金を受け取ってもそれで修理せず別の用途に消費してしまった場合、結局、保険金とは別にお金を用意して、修理しなければなりません。
3.2.放置すると後で同一箇所に対する補償を受けられなくなる
支払われた保険金を修理費用に充てず、放置してしまうと、その箇所が再度損害を受けた場合、補償を受けられません。
保険会社からすれば、修理されているはずの部分が修理されていないわけで、これは契約者側の重大な過失と判断されます。
そのような箇所がまた損壊したと報告されても、前回の損壊なのか、新たな損壊なのか、区別できません。
よって、同一箇所に対する補償を受けられなくなるのです。
以上の理由から、保険金を修理に使わず他の用途に流用するのはおすすめできません。
まとめ
火災保険の保険金を受け取った場合に、保険金で修理を行わず、他の用途に使えるのかについてお話ししてきました。
火災保険の保険金の用途は制限されておらず自由です。しかし、修理や建て直し以外に流用してしまうと、結局より多額の修理費用を自己負担しなければならなくなったり、後で同一箇所が損害を受けた場合に補償を受けられなかったりと、弊害が発生します。
したがって、保険金を本来の用途以外に流用することは、全くおすすめできません。