物流や運送業で活用されるフォークリフトは、重い荷物を大量に運んだり、高所で積み下ろし作業をしたりするので、些細なミスが重大事故につながるリスクがあります。
あなたの会社は、事故が起きてしまった場合に備えて、しっかりとした内容の保険に加入しているでしょうか。
この記事では、フォークリフトの事故の主要な4つのパターン(人身事故2パターンと物損事故2パターン)をご紹介した上で、事故が起きてしまった場合の備えとして加入をおすすめしたい保険と、補償内容を設定する際の注意点についてお伝えします。最後までしっかりとお読みください。
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1.人身事故の2つのパターンとそれらに備える補償
フォークリフトによる人身事故のパターンは以下の2つです。
- 構内で人を轢いてしまう事故
- 作業中の事故
以下、それぞれについて説明していきます。
1.1.構内で人を轢いてしまう事故と自動車保険
まず、構内でフォークリフトが人を轢いてしまった場合です。フォークリフトも自動車ですので、一般の自動車と同じように自動車保険の対象です。
ただし、自動車保険の補償内容を設定する時は、普通の自動車にはない問題があります。以下、説明します。
フォークリフトが公道を走らない構内専用の場合、法律の上では、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の加入義務はありません。しかし、加入しておかないと明らかに不都合なので、絶対に加入しておくようにしてください。
なぜなら、自動車保険(任意保険)のシステムが、自賠責保険に入っていることを前提として、それだけでは補償されない部分を補うことになっているからです。
つまり、自賠責保険で補償される額は、
- ケガをさせた場合:120万円まで
- 死亡させた場合:3,000万円まで
となっており、これではまかないきれない額を任意保険がカバーすることになっているのです。したがって、自賠責保険に加入していなかった場合、本来それでカバーしてもらえるはずの上記の金額が自己負担になってしまう可能性があるのです。
したがって、自賠責保険には絶対に加入するようにしてください。
1.2.作業中の事故と「業務災害補償保険」
次に、フォークリフトによる作業中のケガの場合です。
最近、フォークリフトの事故例で多くなってきているのが、パレットからの転落事故です。フォークリフトの荷台に積まれたパレットに乗って高いところで作業中に誤って転落し、大ケガを負ってしまう事故です。
このような業務中の事故による損害は、「業務災害補償保険」でカバーできます。国の労災保険の上乗せのような補償で、会社にも従業員にもメリットがある保険です。
「業務災害補償保険」については、『労災上乗せ保険とは?必要性と補償内容と組み方のポイント』をご覧ください。
2.物損事故の2つのパターンとそれらに備える補償
フォークリフトによる物損事故には以下の2つのパターンがあります。
- 構内の建物・施設・設備・機械等の破損
- 保管中の商品等の破損
これらの場合は基本的に自動車保険の補償対象外となっています。したがって、別の保険でカバーする必要があります。以下、それぞれについて説明していきます。
2.1.構内の建物・施設・設備・機械等の破損と火災保険
まず、構内の建物・施設・設備・機械を破損してしまうケースです。フォークリフトの荷台部分の先にある物を見落としたり、距離の目測を誤ったりして、建物・施設等に当てて破損してしまうことがあります。荷台部分は前に長く突き出ており、しかも金属製なので、気付かないうちに大きな損害を発生させてしまうことがあります。
このような場合には、火災保険の対象になります。
2.2.自社の商品等の破損と火災保険・動産総合保険
フォークリフトは一度に多くの荷物を積み上げて運ぶことが多いので、荷崩れによる事故が後を絶ちません。
そもそも、フォークリフトでの作業があるということは、商品在庫や原材料などをたくさん抱えているのではないでしょうか?これら、自社の財産に破損・汚損があった場合に補償を受けられるようにしておく必要があります。
こういうリスクをカバーする保険は、火災保険または動産総合保険です。この2種類の保険は補償内容が重なり合う部分もありますが、あくまで別の種類の保険です。
基本は火災保険で足りると思いますが、以下のいずれかにあてはまる場合は動産総合保険の方が向いています。
- 動産の製造・保管・運送・販売のほとんどを自社で一手に管理している場合
- 高価な動産を商品として扱っている場合
詳しくは『動産総合保険とは?他の保険との違いと正しい活用法』をご覧ください。
まとめ
今日は、フォークリフトの作業で起こりうる事故の主要なパターン(人身事故2パターンと物損事故2パターン)と、それをカバーできる保険の種類・補償内容についてお伝えしました。
フォークリフトは構内で人を轢く事故のリスク以外にも、フォークリフトを使う作業自体にリスクが伴います。事故が起きないようにする安全対策はもちろんですが、起きてしまった場合の備えの両面を万全にする必要があるでしょう。
そして、それらのリスクは自動車保険だけではカバーしきれません。労働災害総合保険や火災保険・動産総合保険も併せて加入しておくことをおすすめします。