入院費用はいくらかかるか?気になるデータと負担を抑える方法

気をつけて日常を過ごしていても、ケガをしたり病気になるリスクを完全になくすことはできません。

万一の時に備え、入院に対する備えはしておきたいところです。

そこで気になるのが、実際に入院するとどの程度お金がかかるのかでしょう。

入院費用は病気によって変わってきますが、だいたいどの程度の金額がかかるのかは把握しておきたいところです。

今回は入院費用について、どの程度の金額がかかるのかを見ていきます。

併せて、入院費用を抑える方法についても紹介しているので、是非ご覧ください。

1.実際の入院費用はどれくらいかかるか?

まず、実際の入院費用がどれくらいなのか、統計のデータを見ていきましょう。

入院費用を考える際に、まず頭に入れておきたいのが、国の健康保険制度です。

国民は全員健康保険に加入しているので、対象となる医療であれば、医療費の自己負担額は3割で済みます。

これを踏まえた上で、1日あたり、入院1回あたり、傷病分類別の入院費用を見ていきましょう。

1.1.「1日あたり」の平均入院費用

生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」によれば、1日あたりの平均入院費用は以下の通りです。

自己負担額 比率
4万円以上 16%
3万円以上〜4万円未満 8.7%
2万円以上〜3万円未満 12.8%
15,000円以上〜2万円未満 9.0%
1万円以上〜15,000円未満 24.2%
7,000円以上〜1万円未満 11.1%
5,000以上〜7,000円未満 7.6%
5,000円未満 10.6%

平均は23,300円です。

ただし、比率が最も高いのは1万円以上〜15,000円未満で、24%となっています。

1.2.「1回あたり」の平均入院費用

生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」によれば、1回あたりの平均入院費用は以下の通りです。

自己負担額 比率
100万円以上 2.7%
50万円以上〜100万円未満 8.4%
30万円以上〜50万円未満 11.7%
20万円以上〜30万円未満 13.3%
10万円以上〜20万円未満 30.6%
5万円以上〜10万円未満 25.7%
5万円未満 7.6%

平均は20.8万円です。

ただし、比率が最も高いのは10万円以上〜20万円未満で、30.6%にものぼっています。

また、50万円未満の範囲で自己負担額全体の88.9%を占めていることから、基本的には50万円用意できれば、入院にかかる費用はある程度カバーできることが分かります。

なお、健康保険適用外の人も含んでいますが、健康保険未加入者は平成25年度から5%以下に留まっているため、データの変動要因としては無視して良いでしょう。

1.3.「傷病分類別」の入院費用

また、政府統計「医療給付実態調査(2017年度)」の「調査結果の概要」表7によれば、国民健康保険加入者の傷病分類別の入院患者の医療費は以下のようになっています。

傷病分類 医療費(入院)
感染症及び寄生虫症 ¥460,665
新生物 ¥675,037
血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 ¥593,376
内分泌、栄養および代謝疾患 ¥422,189
精神及び行動の障害 ¥383,291
神経系の疾患 ¥555,444
眼および付属器の疾患 ¥344,456
耳及び乳様突起の疾患 ¥304,443
循環器系の疾患 ¥814,859
呼吸器系の疾患 ¥443,432
消化器系の疾患 ¥383,276
皮膚及び皮下組織の疾患 ¥432,613
筋骨格系及び結合組織の疾患 ¥741,097
腎尿路生殖器系の疾患 ¥459,279
妊娠、分娩及び産じょく ¥257,644
周産期に発生した病態 ¥512,776
先天奇形、変形及び染色体異常 ¥740,544
損傷、中毒及びその他の外因の影響 ¥560,559
その他 ¥361,246

上記表はあくまで健康保険制度が適用される前の総合医療費ですが、疾病分類別では「循環器系の疾患」の医療費が最も高くなっています。

「循環器系の疾患」には心疾患が含まれており、特に虚血性疾患は治療後にリハビリも必要であることもあり、医療費が高額になっています。

「筋骨格系及び結合組織の疾患」や「先天奇形、変形及び染色体異常」においても、長期にわたる入院が必要になるので、医療費が割高です。

2.入院費用を抑えたい場合に知っておきたい制度

1回当たりの入院費用のデータを見ると、66.7%が、10万円以上かかっていることが分かります。

しかも、入院中は物理的に働くことができません。

会社員(従業員)・公務員であれば、傷病手当金がありますし、勤務先によっては福利厚生もあるかもしれませんが、自営業の方などは、入院期間中の収入が途絶えてしまいます。

そこで、ここからは、入院費用を抑えることのできる制度などについて紹介していきます。

2.1.高額療養費制度

私達が加入している健康保険には、医療費が高額になった際に自己負担額が抑えられるしくみがあります。それが高額療養費制度です。

高額療養費制度とは、医療機関や薬局でかかった医療費の月当たりの自己負担額に上限を設定しているものです。その上限を超えた分については、医療費を負担する必要がないのです。

自己負担額の上限は年齢や年収によって違い、年収が高いほど自己負担額の上限が高くなるのが特徴です。

70歳以上の自己負担額の上限は以下の通りです。

年収
自己負担額の上限
外来のみ その他
約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000)×1%
約770万円~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000)×1%
約370万円~約770万円 80,100円+(医療費-267,000)×1%
156万~約370万円 18,000円(年144,000円) 57,600円
住民税非課税世帯
8,000円
24,600円
住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など) 15,000円

70歳未満の場合は以下の通りです。

年収 自己負担額の上限
約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000)×1%
約770万円~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000)×1%
約370万円~約770万円 80,100円+(医療費-267,000)×1%
156万~約370万円 57,600円
住民税非課税世帯 35,400円

たとえば、年収約370万円~770万円で、1月当たりの医療費が100万円かかった場合で考えてみると、自己負担額の上限は「80,100円+(医療費-267,000)×1%」なので、

  • 80,100円+(100万円-267,000)×1%=87,430円

となります。

本来なら100万円の3割負担で30万円だった自己負担額が、87,430円に抑えられるのです。

このように、もし高額の入院費用が必要になったとしても、高額療養費制度を使えば、大幅に抑えられます。

また、高額療養費制度を年間で3回以上利用した場合、4回目からは「多数回該当」とみなされ、医療費の上限がさらに引き下げられます。

ただし、高額療養費制度の適用はあくまでも1ヶ月ごとです。何ヶ月、何年も長期化した場合は、高額療養費制度を活用したとしても、自己負担額がかさんでいきます。

また、個室や少人数部屋を希望した際にかかる差額ベッド代、食事代、先進医療にかかる費用などは、高額療養費制度の対象ではありません。

事実、厚生労働省が行った「平成29年度 患者調査」によると、統合失調症などの精神障害やアルツハイマー病などの精神系疾患では、平均在院日数が200日を超えることも少なくありません。

高額療養費制度では賄いきれない場合は、保険を活用するのも1つの手です。

2.2.医療保険

入院費用を補填する手段として、まず浮かぶのは医療保険だと思います。

医療保険は、「1日●円」の入院給付金・「手術1回●円」の手術給付金の保障がメインです。

しかし、先に紹介した厚生労働省の「平成29年度 患者調査」によれば、全体的な平均在院日数は年々減少しているのです。

なぜなら、医療技術の発展により入院よりも通院・在宅での治療の比重が高くなってきていますし、国の政策としても通院・在宅での治療を促進しているからです。

つまり、医療保険は、少なくとも入院給付金・手術給付金という基本保障の部分を手厚くするのは効率的でなくなってきているのです。

医療保険で重要なのは基本保障よりもむしろ、特約です。

医療保険には様々な特約を付けることができ、高額療養費制度が適用されない先進医療に関する特約や、治療費が高くなりがちな三大疾病に備えた特約などがあります。

2.3.働けなくなった場合に備える公的保障

先述したように、入院時には入院費用がかかる他、働けなくなったことによる収入の損失も発生します。

また、後遺症が残れば、長期間働けなくなってしまう可能性も考えられるのです。

働けなくなってしまった場合、重要なのは入院や手術の費用の保障よりも、むしろ、収入減をどのようにカバーするかです。

そこで、まず、公的な保障でどこまでカバーされるか、知っておく必要があります。

①傷病手当金(会社員(従業員)・公務員)

「傷病手当金」とは、業務外の病気やケガで働けなくなってしまい、給料が支払われないまたは給料が下がってしまった場合、その間の生活を保障をしてくれる社会保障制度です。

医師からドクターストップが出た段階で申請することが可能で、支給金額もだいたい給与の2/3と、何とか生活を維持できる可能性が高いと言えます。

ただし、支給期間の上限が1年6ヶ月と決まっており、それ以降については全く保障されません。

また、傷病手当金を受け取れるのは会社員(従業員)・公務員のみとなっており、自営業者は受け取ることができません。

詳しくは「傷病手当金とは?支給額と支給期間と押さえておきたい申請の方法」をご覧ください。

②障害年金

「障害年金」は、職業を問わず、長期的に働くことができなくなった人の生活を保障するための制度です。

障害状態に至った病気・ケガの初診日から1年6か月後に申請を行い、審査などを経て給付金を受け取れるようになります。

会社員(従業員)・公務員であれば、ちょうど傷病手当金の支給期間が終了してから申請を行うことになるため、基本的には1年6ヶ月で傷病手当金から障害年金へ移り変わるという流れです。

金額は、会社員等が年間58万円~300万円程度なのに対し、自営業者なら年間78万円~140万円程度です。

上記の数値からも分かるように、生活資金として見るには不安な額である場合を多いのが実情といえます。しかも、自営業者は会社員等よりもさらに少ない額しか受け取れません。

詳しくは「障害年金とはどういうもの?必ず知っておきたい基礎知識」をご覧ください。

2.4.働けなくなった場合に備える民間の保険

このように、働けなくなった場合には公的保障の制度がありますが、それだけでは生活を維持するのに十分とは言えません。

そこで、民間の保険の活用を検討することをおすすめします。

  • 就業不能保険
  • 所得補償保険

違いは大ざっぱに言えば以下の通りです。

  • 就業不能保険:仕事への復帰が困難な状態が長期間継続した場合にお金を受け取れる
  • 所得補償保険:ドクターストップがかかって働けなくなったらお金を受け取れる

詳しく見ていきましょう。

①就業不能保険

「就業不能保険」は、働けない状態が長期間継続した場合に、一定期間保険金を受け取ることができる保険です。

基本的には定年となる60歳や65歳までを保険期間にすることが多く、月当たり数千円程度の保険料を支払えば、毎月十数万程度の保険金を受取ることができます。

「就業不能状態」と見なされる条件は保険会社ごとに定められていますが、厳しめです。

例えば、とある保険会社では、「60日以上」や「180日以上」といった長期間、入院しているか、もしくは自宅療養中で全ての業務に従事できない状態が続いた後でないと、保険金を受け取れません。

就業不能保険を検討する際は、どんな場合に給付金を受け取れるか確認しておくことが重要になります。

詳しくは「就業不能保険とは?知っておきたい保障内容と必要性」をご覧ください。

②所得補償保険

もう1つの所得補償保険は、仕事を休んで療養しなければならないという医師の診断書さえあれば、保険金を受け取ることができます。

ただし、保険期間は短く、最長で2年程度です。

比較的簡単に保険金を受け取れることや保険期間が短いことなど、傷病手当金と共通する部分が多くなっています。

特に自営業者の場合、傷病手当金を受け取ることができないので、加入しておくことをおすすめします。

詳しくは「所得補償保険とは?加入を考える上で知っておきたいこと」をご覧ください。

就業不能保険と所得補償保険の使い分け

就業不能保険と所得補償保険の使い方は、会社員(従業員)・公務員と自営業者とで違います。

会社員等の場合は傷病手当金が受け取れるので、就業不能保険に加入して障害年金の不足分をカバーすれば十分であることが多いと言えます。なお、所得補償保険でよりがっちりカバーすることも有益な方法です。

これに対し、自営業者は傷病手当金を受け取ることができないため、就業不能保険で障害年金を補填しつつ、傷病手当金の代わりに所得補償保険によって、障害年金と就業不能保険の受取開始日までの期間をカバーする必要があります。

まとめ

入院費用についての分析と、費用を抑える方法についてお話してきました。

「社会保障に関する調査」によれば、入院費用は1回あたり10万円以上はかかることが多くなっています。

高額療養費制度を利用すれば入院費用を抑えることができますが、食事代や差額ベッド代、先進医療費については対象になりません。

また、入院日数がかさむと、高額療養費制度を利用したとしても医療費は高額になってしまいます。

そこで、もし高額療養費制度だけでは不安があるという場合は民間の保険を活用するのも有効な手段です。

ただし、入院・手術の保障がメインの医療保険は優先度が低くなってきています。医療保険であれば特約を重視して選ぶことをおすすめしますし、働けなくなった時の保障であれば就業不能保険や所得補償保険を検討することをおすすめします。

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