建設工事保険とは?カバーする範囲に関する基礎知識

公開 2017年2月14日更新 2021年12月28日
建設工事保険とは?カバーする範囲に関する基礎知識
建設工事保険とは?カバーする範囲に関する基礎知識

建物の建築工事や設備工事に事故のリスクはつきものなので、もしもの時に備える必要があります。

そこで、建設業を営む方は、「建設工事保険」への加入を検討されることと思います。

しかし、「建設工事保険」という名前は漠然としていて、どんなものなのか、なかなかイメージが持てないと思います。

建設工事保険は、建築工事や設備工事の最中に、自然災害やアクシデント、施工ミス等により、工事の対象物や資材などの「モノ」に発生した損害をカバーする保険です。

工事中の全ての事故をカバーしているわけではありません。あくまで、工事の対象物等の「モノ」に発生した損害をカバーする保険です。それを理解した上で加入していただく必要があります。

また、その上で、足りない部分については別途、必要に応じて他の保険をプラスする必要があります。

この記事では、建設工事保険がカバーするのはどのような損害なのか、カバーできないものについてどうすればいいのか等について、ポイントを押さえてお伝えします。

1.建設工事保険とは

建設工事保険は、建築工事中に、工事現場で起こった事故で、建設中の建物や設備等に発生した損害をカバーする保険です。

以下は、ある保険会社の建設工事保険の対象となる工事の一覧です。

対象工事一覧

また、1つの工事だけを補償する「個別スポット契約」と、1年間に請け負う全ての工事を包括して補償する「年間包括契約」があります。

2.補償対象に注意!補償されるのは「モノ」に生じた損害のみ

建設工事保険の補償対象は、建設している対象物や、建設資材に生じた損害です。資材は、施主が提供した物と自分が持ち込んだ物を両方とも含みます。

人に怪我をさせた場合は建設工事保険の対象にはなりません。その場合をカバーするのは「請負業者賠償責任保険」です。これについては後で説明します。

3.損害の原因となる事故は「予測できない」「偶然の」もの

建設工事保険が補償対象とする損害は、「不測かつ突発的な」事故によるものです。つまり予測できず、しかも偶然発生してしまうものです。

以下の表をご覧ください。地震以外の自然災害は広くカバーされています。また、施工ミスもカバーされます。

原因となる事故

4.保険金の額は、元に戻すのにかかる費用プラスアルファ

4.1.基本|元に戻すための費用

建設工事保険で支払われる損害保険金は、原則として、損害発生の前の状態に戻すためにかかる費用(復旧費)です。

ただし、「免責」と言って、「●万円」等の一定額までの軽い損害については自己負担ということで、保険金が支払われないことがあります。

損害保険金の額の上限は、契約で「保険金」として決めておきます。たいていは請負工事の代金額です。

ただし、契約で保険金を請負代金より低く定めている場合もあります。この場合の損害保険金は以下の式で計算します。

復旧費 × 契約上の保険金額/請負金額

4.2.その他の費用

建設工事保険がカバーするのは、損害の復旧自体にかかる費用だけではありません。それ以外の費用についてもカバーされます。

たとえば、損害を受けて残っている物を解体したり、取り壊したり、片付けたりするのに必要な費用については「残存物片付け費用保険金」が、その他に臨時にかかってしまう費用については「臨時費用保険金」が支払われます。

5.建設工事保険後に発生した損害は特約でカバーできる

建設工事保険がカバーする損害は、原則として、工事期間中に発生したものです。

しかし、損害は工事期間中に発生するとは限りません。たとえば、施工ミスが原因で工事完成・引き渡しの後に損害が発生することもあります。

そういった場合、引き渡し後の一定期間の損害も補償される旨の特約を付けることができます。

6.損害賠償責任のリスクには「請負業者賠償責任保険」等をプラスする

建設工事保険は、建設中のモノや資材自体に生じた損害を補償するものです。

工事によって他の人に怪我を負わせたり、対象物以外を壊したり傷つけたりして損害賠償責任を負うことになった場合は、カバーされません。

しかし、工事には危険がつきものですので、そのような損害賠償責任のリスクにもきちんと対処する必要があります。

したがって、そのような場合に備えて、「請負業者賠償責任保険」に別に加入する必要があります。

請負業者賠償責任保険については詳しくは『請負業者賠償責任保険とは?必ず知っておきたい基礎知識』をご覧ください。

なお、保険会社によっては、特約として、請負業者賠償責任保険と同じ内容の補償をプラスすることができることもあります。

まとめ

建設工事保険は、その名前のイメージとは異なり、工事に伴う全ての損害をカバーする保険ではありません。あくまでも工事の目的物や資材自体に発生した損害をカバーするものです。

損害の原因となる事故の範囲は広く、地震以外の自然災害、外部からの原因による事故、工事自体が原因の事故、施工ミス等、多岐にわたります。

また、特約を付けることにより、工事完成・引き渡し後に発生した損害もカバーできます。

しかし、工事が原因で損害賠償責任を負うリスクはカバーされませんので、別途、請負業者賠償責任保険等をプラスする必要があります。

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