火災保険は絶対に必要なものですが、保険料はできれば抑えたいものです。
火災保険ではさまざまな種類の割引が設けられています。
複数の保険会社が同様の割引を設けている場合があるほか、その保険会社特有の割引もあります。
そこで、この記事では、火災保険を契約する際に利用できる代表的な5つの割引についてお伝えします。
また、火災保険とセットで加入する地震保険の割引や、その他の保険料を節約する方法についても解説します。
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1.火災保険の主な割引5選
まず、多くの火災保険で用意されている保険料の主な割引の制度を5つ紹介します。
なお、割引の詳細な内容については、保険会社ごとに微妙に違うことがあります。
また、多くの場合、割引条件を満たしていることを証明できる書類を保険会社に提出する必要があります。
1-1.新築割引
建物が新築物件である場合、新築割引が適用されます。
一般的には、火災保険の契約開始日を基準として、補償対象となる建物が新築年月から11ヵ月後の月末までである場合に新築割引を受けられます。
A損保の新築割引だと保険料が最大10%安くなります。
なお、保険会社の中にはあえて新築割引制度を明示せず、自動的に築年数に基づく保険料を計算しているところもあります。
1-2.建物築浅割引
こちらは、新築物件ではなくても、補償対象の建物が新しい場合に適用される割引です。
たとえばB損保では、火災保険の契約開始日の時点で築年数が10年未満であれば築浅割引が適用され、保険料が約1~10%割引となります。
なお、これも、割引の制度が明示されていなくても、自動的に築年数に基づく保険料を計算している場合があります。
1-3.オール電化割引
空調や給湯、調理といった全ての設備用のエネルギーが電力によってまかなわれる「オール電化住宅」の場合に適用される割引です。
たとえば、C損保のオール電話割引では、保険料が約7%~17%安くなります。
なお、オール電化住宅であっても、石油ストーブやガスヒーターなどを使うのであれば、オール電化割引を利用できないといった条件が設定されている場合もあります。注意してください。
1-4.耐火性能割引
補償対象の建物について、一定の耐火性能があると認められる場合に適用できる割引です。
たとえばD損保では、外壁の耐火時間が60分以上(鉄骨造住宅等の耐火構造)、もしくは45分以上(木造住宅等の非耐火構造)といった条件が設定されています。
1-5.WEB申込割引
WEB申込が可能な保険会社に多い割引です。
保険会社が用意する専用の申込サイトから契約することで、割引を利用することができます。
たとえばE損保では、WEB申込割引を適用することにより、火災保険料を最大10%割引できます。
1-6.その他の割引例
保険会社によっては、上の5種類以外にも割引を用意していることがあるので、あわせてチェックするようにしましょう。
たとえばホームセキュリティに加入している場合に適用される割引(ホームセキュリティ割引)や、補償対象の住宅に喫煙者がいないことで適用される割引(ノンスモーカー割引)などがあります。
2.契約期間中に割引条件を満たさなくなった場合は?
たとえば契約期間中にホームセキュリティを解約するなど、契約期間中に割引の適用条件を満たさなくなることもあるでしょう。
その場合は、保険会社へ連絡しなければなりません。保険料の追徴などの手続が必要となります。
3.地震保険向けの3つの割引
火災保険と一緒に地震保険に加入する際は、地震保険向けの割引もあります。
地震保険は、保険会社と国が共同で運営する公的な保険であり、補償内容・保険料ともに保険会社ごとに差はありません。割引の内容も全社共通で、3種類あります。
- 長期優良住宅向けの割引
- 建築年月による割引
- 耐震診断についての割引
以下、それぞれについて説明します。なお、地震保険の補償内容については詳しくは「地震保険とは?加入率の現状と基本のしくみ・必要性」をご覧ください。
3-1.長期優良住宅向けの割引
長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の基準によって、良好な状態で長期間利用することができると認められる住宅のことをさします。
長期優良住宅割引では、免震構造になっているかどうかや、耐震性能を示す耐火基準によって以下の通り割引率が異なります。
適用条件 |
適用できる割引 |
割引率 |
免震建築物であること |
免震建築物割引 |
50% |
耐震等級3であること |
耐震等級割引 |
50% |
耐震等級2であること |
30% |
耐震等級1であること |
10% |
(参照元:東京海上日動社公式サイト/保険料と割引制度)
3-2.建築年月による割引
補償対象の建物が、1981年6月1日以降に建築された場合に適用できる割引です。
なぜなら、1981年に建築基準法が改定され、現在にも通じる耐震基準が定められたからです。
この割引が適用されると、保険料が10%安くなります。
3-3.「耐震診断」についての割引
「耐震診断」とは、古い耐震基準で設計された建物に関して、現行の新しい耐震基準(1981年6月1日施行の「改正建築基準法」で定められている)により耐震性を判定することです。
補償対象の建物に関し、耐震診断を行ったり耐震のための改修を行ったりして、該当の耐震基準にあることが証明できる場合に適用できます。
この割引が適用されると、保険料が10%割引となります。
4.割引以外に保険料を節約する方法
火災保険については、割引の制度を利用する以外にも、保険料を安くできるポイントがあります。
4-1.火災保険の補償内容を見直す
火災保険は、火災だけでなく以下にあげるような災害・事故も補償範囲に含めています。
- 落雷:落雷による損害の補償
- 風災・雹災(ひょうさい)・雪災(せつさい):風・雹・雪による損害の補償
- 水災:台風・集中豪雨などが原因となる損害の補償
- 水漏れ:漏水をはじめ水漏れによる損害の補償
- 盗難:盗難被害に対する補償
補償範囲を広げるほど安心ではありますが、その分保険料も高くなります。そこで、必要性が低い補償を外して保険料を抑えることをおすすめします。
たとえば、家が河川や海から離れていたり、マンションの上階に住んでいたりする場合は、洪水などの水災被害に遭う可能性が低いため、水災の補償を外すという方法があります。
なお、その際は感覚だけに頼るのでなく、客観的なデータに基づき、ご自身のお住まいの場所が水災などの被害を受ける確率がどの程度かを確認しておきたいところです。
たとえば河川や海から離れていても、案外遠くまで洪水になるといったこともあるからです。
ぜひとも参考にしていただきたいのが、国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」です。
4-2.家財に対する保険金額を見直す
火災保険の補償対象は建物と家財(家具・家電・衣類など)に分類されます。
その上で、家財に対する保険金額(支払われる保険金の上限額)を見直すことで、保険料を安くすることができます。
家財に対する保険金額は、一般的に、保険会社が世帯主の年齢や世帯人数、延床面積などの条件で算出した目安をまとめた「簡易計算表」を参考にします。
以下はF損保の簡易計算表です。
|
単身世帯
(面積無関係) |
2人以上世帯(延床面積) |
20㎡未満 |
20㎡~
30㎡未満 |
30㎡~
40㎡未満 |
40㎡~
50㎡未満 |
世帯主年齢 |
29歳以下 |
290万円 |
290万円 |
360万円 |
420万円 |
490万円 |
30歳~34歳 |
290万円 |
390万円 |
480万円 |
560万円 |
650万円 |
35歳~39歳 |
290万円 |
540万円 |
660万円 |
780万円 |
900万円 |
40歳~44歳 |
290万円 |
660万円 |
800万円 |
940万円 |
1,080万円 |
45歳~49歳 |
290万円 |
750万円 |
910万円 |
1,070万円 |
1,230万円 |
50歳以上 |
290万円 |
790万円 |
960万円 |
1,130万円 |
1,300万円 |
このような簡易計算表を参考にするわけですが、自宅に高額な家財があまりないといったことであれば、この目安額より低くして保険料を抑えることをおすすめします。
4-3.保険期間はできるだけ長くする
火災保険の保険期間は最大で10年までとなります。
保険期間をできるだけ長くして、その分の保険料を一括払いとすると、一度に支払う保険料は多くなるものの保険料の総額は安くなります。
したがって、余裕があるなら、できるだけ長期契約を選ぶのがお得です。
ただし、長期契約にした場合、後で補償内容が実態に沿わなくなってしまう可能性があるので、ライフスタイルが変わったタイミング等で補償内容の見直しをするようにしてください。
4-4.複数の保険会社の見積もりをとる
火災保険の保険料は保険会社によっても差があります。
そのため、保険料を安くしたい場合は、同じ補償内容で複数の保険会社の見積もりをとり、保険料を比較することをおすすめします。
まとめ
火災保険の保険料の割引の制度は、建物の築年数によるもの、耐火性能によるもの、WEB申込をした場合に受けられるものなどがあります。
また、火災保険とセットで加入する地震保険についても、建築年月や長期優良住宅に認定されているかといった条件による割引があります。
さらに、割引の制度以外にも、保険料を節約する方法があります。
これらを上手に活用して、十分な補償内容を確保しつつ、火災保険の保険料を節約するようにしてください。