火災保険料は確定申告でどのように扱われるのか

火災保険の保険料は、確定申告や年末調整の際の所得控除の対象にはなっていません。

ただし、条件によって経費として計上することができます。

そこで今回は、確定申告や年末調整における火災保険料の扱いについてお話ししていきます。

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保険の教科書 編集部

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1.火災保険に「保険料控除」はない

火災保険の保険料は、確定申告や年末調整の際、所得控除を一切受けられません。

2006年までは「損害保険料控除」という控除制度があり、火災保険は保険料の一部を控除できました。これは火災保険への加入を促進するための制度でした。

しかし、火災保険に加入しない世帯はほぼなくなったため、税法改正により廃止され、新たに「地震保険料控除」が設けられました。

これは、国が運営する地震保険の加入率を高める目的によるものです。

参考|現在税金控除を受けられる保険について

現在、保険料控除として政府が定めているのは以下の3種類です。

  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
社会保険料控除

社会保険料控除は、健康保険や介護保険、国民年金保険など、社会保険の保険料が控除される制度です。これらは国民全員に加入義務があるため、保険料は実質的に税金と同じであり、それにさらに税金を課すわけにいかないからです。

生命保険料控除

生命保険控除は、自分の身に万一があった場合の家族の生活を守るお金や、将来のために必要なお金を確保するための保険に対する控除で、生命保険(死亡保険)に関する「一般生命保険料控除」、がん保険や医療保険等に関する「介護医療保険料控除」、老後の資金を積み立てる個人年金保険に関する「個人年金保険料控除」の3種類で構成されています。

詳しくは「生命保険料控除制度|控除のしくみと対象となる保険と注意点」をご覧ください。

地震保険料控除

地震保険料控除は、先述の通り損害保険料控除に代わって定められた控除制度で、地震保険料に関する控除です。

日本では年々地震に対するリスクが高まってきているので、今後地震保険の必要性はますます増していくことが予想され、今後多くの人が地震保険料控除を受けることになると考えられます。

これら以外に、保険に関係する所得控除制度はありません。

2.昔契約した長期の火災保険なら控除を受けられる可能性がある

上でお伝えした通り、基本的に火災保険は控除の対象にはなりません。

しかし、昔契約した火災保険であれば地震保険の中の「旧長期損害保険」に該当し、所得税、住民税から保険料に応じた金額が控除される可能性があります。

旧長期損害保険に該当する条件は以下の通りです(詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。)。

  • 2006年以前に契約した
  • 満期返戻金等のあるもので保険期間又は共済期間が10年以上
  • 2007年以降にその損害保険契約等の変更をしていない

2015年10月以降、火災保険の保険期間は最長10年となっているため、現状、以上の3つの条件をみたす契約は多くはないとみられます。しかし、ないわけではありません。

もし申告可能な保険に入っている場合は、申告漏れのないよう注意しましょう。

支払った損害保険料が旧損害保険料控除の対象になるかどうかは、保険会社から送られてくる証明書によって確認することができます。

2.1旧損害保険料の控除額について

旧損害保険料の控除額は、所得税、住民税ともに年間の保険料から算出が可能であり、複雑な計算が必要ないシンプルなものになっています。

年間保険料ごとにおける所得税、住民税の控除額は以下の通りです。

年間保険料
控除額
所得税の場合 住民税の場合
10,000円以下 全額 全額
20,000円以下 保険料÷2+5,000円 保険料÷2+2,500円
20,000円超 15,000円 10,000円

参考:No.1145 地震保険料控除|国税庁

3.火災保険は経費計上できる可能性がある

火災保険の保険料は所得控除の対象ではありませんが、「事業用」のものに限り、事業所得の計算上、必要経費として計上できます。

つまり、事務所・店舗等として利用している建物や家財にかかっている火災保険の保険料であれば、事業に関連するものと言えるので、必要経費として計上することが可能なのです。

3.1.自宅兼事務所・店舗等ならば一部を経費にできる

自宅の一部を事業法の事務所・店舗等として利用している場合、火災保険料を経費計上することができます。

ただし、必要経費にできるのは事業用に利用している分のみです。

事務所・店舗等の部分が建物全体のうちどの程度の割合なのか、面積によって算出し、その割合分だけ必要経費にすることができます。

たとえば、自宅兼事務所・店舗の火災保険の保険料が年間5万円で、床面積の内訳が生活用のスペース50%、会社用のスペース50%だとすると、経費に計上できるのは、

5万円×50%=2.5万円

ということになります。

まとめ

火災保険は、以前は「損害保険料控除」と言われ所得控除の対象でしたが、現在では廃止されています。

ただし、2006年以前に加入した火災保険で「旧長期損害保険」の条件をみたす場合であれば、所得税、住民税の控除を受けることができます。

また、現在でも、事務所・店舗として事業用に利用している建物・家財等であれば、火災保険の保険料を必要経費として申告することができます。

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