火災保険を悪用した詐欺が増加中?手口は?どう気を付ける?

火災保険の保険金をめぐる詐欺が、ここ数年で急増しています。

詐欺業者は「火災保険の保険金を使って、自己負担なしで住宅の修理ができます」などと、甘い言葉で勧誘し、工事の契約を結ばせるよう仕向けてきます。

この記事では、火災保険を悪用した詐欺の具体例や詐欺の手口、さらに詐欺の被害に遭わないために覚えておきたいことをまとめています。

若い方から老人に至るまで詐欺業者に狙われています。この記事を参考に、火災保険の詐欺の被害に遭わないよう気を付けましょう。

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保険の教科書 編集部

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1.火災保険を悪用した詐欺とは?

昨今、火災保険を悪用した詐欺が増えています。

詳しい事例は後述しますが、「保険金を受け取れるようにサポートをするので屋根の修理をしないか」とか「絶対保険金で修理できるから修理工事の契約してほしい」などと、消費者を勧誘し、修理工事の契約を結ばせ、高額な費用を請求してくるのです。

そうして詐欺業者にお金を支払った後で、火災保険の請求をしても保険金を受け取れなかったり、まともな工事がされなかったりするケースがあります。

2.業者に言われての保険金請求は認められないリスクが高い!

しかし、そういう場合、保険金を受け取れないリスクがかなり高いです。

保険金の支払いを受けるには、その損害がいつどのような災害によって発生したか、立証できなければなりません。その証明は意外に難しいことがあります。

特に、経年劣化しているところに自然災害が決定打となって損害が発生した場合は、注意が必要です(詳しくは『火災保険の申込・保険金請求に必要な書類と請求時の9つのコツ』をご覧ください)。

損害保険会社の調査業務担当者の方の話では、特に、災害の後かなり時間が経ってから保険金請求をすると、「なぜ今頃になって?」ということで調査が入ることが多いそうです。そして、損害が災害により発生したという因果関係を立証できず、保険金の支払いが行われないことが往々にしてあると言います。

3.詐欺業者の手口のパターン

次に、詐欺業者がどういう手口を使ってくるのか、2つのパターンに分けて、事例を合計4つ紹介します。

3-1.火災保険で修理できると勧誘し、後で法外な費用を請求するパターン

火災保険による保険金で自宅の修理ができると言って、修理工事の契約をするよう勧誘した上で、後で法外な費用を請求するパターンです。

【事例1】保険金が受け取れなくても、高額な違約金を請求される

まず、後で高額な手数料を要求するケースです。

業者が作成した見積もりや図面を使って保険会社へ保険金を請求したのに保険金を受け取れず、解約したいと言ったら、高額な違約金を要求されるというものです。

上でお伝えしたように、業者からの指摘で損害に気付いて保険金請求する場合、実際には保険金を受け取れないリスクが高いのです。

違約金を払うことに納得できないと業者に伝えても、「最初に伝えたはずだ」と主張し、支払いを迫ってきます。

契約時に契約書の交付がなかったり、違約金のことが細かい字で目立たないところに書かれていたりします。

【事例2】手数料だけ支払わせて工事を始めない

詐欺業者の指示に従って保険会社に保険金請求を行い、保険金を受け取った上で、詐欺業者に言われたとおりの手数料を支払ったにもかかわらず、工事を始めないというケースもあります。

3-2.違法な保険請求をさせるパターン

嘘の理由で保険金を請求させたうえで費用を請求するパターンです。

【事例3】不具合があるようにみせかけて保険金の請求をさせる

詐欺業者が屋根などに細工をして不具合があるようにみせかけ、保険金の請求をさせようとするケースです。

たとえば工事業者をかたって自宅を訪問し、「お宅の屋根からおかしな音がする。写真を撮るので屋根に上がらせてほしい」などと言ってきます。

言われた通りに屋根へ上がらせると、「屋根の板金が剥がれている」などと、実際に撮影した写真を見せてきます。

後で不審に思い、別の修理業者に改めて屋根を見てもらったところ、明らかに人為的にネジを抜いた痕が見つかったとのことです。ネジを締めれば問題はなく、屋根の修理の必要は全くなかったそうです。

【事例4】嘘の理由で保険金を請求させる

嘘の理由で保険金を請求させようとするケースです。

たとえば、経年劣化で屋根の雨樋が破損しているにもかかわらず、「自然災害で破損したと言って保険金を請求すれば大丈夫」と、嘘の請求をするようそそのかしてきます。

保険の契約者に、保険金詐欺の片棒をかつがせようとするのです。

4.詐欺の被害は増えている!

実際、火災保険を悪用した詐欺の被害はどの程度増えているのでしょうか。

独立行政法人 国民生活センターの報道発表資料(平成30年6月6日)によると、相談件数が、2017年度は2008年度の30倍以上に増加しているとのことです。

ここ数年だけでみても、以下のように増加傾向にあります。

  • 2014年:663件
  • 2015年:817件
  • 2016年:1,081年
  • 2017年:1,177件

なお、男性の相談者の約75%、女性の相談者の約71%が、60代以上の高齢者となっています。「オレオレ詐欺」と同じく、高齢者が標的にされていることが分かります。

5.詐欺業者が詐欺を行う際のおおまかな流れ

それでは詐欺業者はどのような手順で詐欺を行うのでしょうか。おおまかな流れを紹介します。

この流れが把握できれば、詐欺の被害を防ぎやすくなります。

5-1.電話、訪問、チラシ等で勧誘してくる

詐欺業者は、電話や訪問、チラシのポスティングなどで勧誘を行います。チラシは、郵便ポストに入れて、火災保険の契約者からの電話を待ちます。

勧誘の際に、火災保険の保険金を請求すれば自己負担なしで住宅を修理できますとか、保険金請求の手続きもサポートしますなどと、甘い言葉をかけてきます。

5-2.修理工事の契約をさせる

業者は、修理工事の契約や、保険金を請求する際に業者がサポートする旨の契約を結ばせてきます。

修理工事の場合は「違約金」、サポートの場合は「手数料」等として、保険金の○割を請求するなどの項目がもうけられていることが多いようです。

この際、契約書を手渡してもらえなかったり、契約書に条項が細かい字で目立たないように書かれていたりします。

5-3.保険会社へ保険金の請求を行わせ、法外なお金を請求してくる

詐欺業者は、見積もりや図面などを渡してきて、それらで保険会社へ保険金の請求を行うよう指示してきます。

そして、後で保険金が全く受け取れなかったり、一部しか受け取れなかったりして、工事をやめたいと言っても、詐欺業者は、高額な「違約金」や「請求サポートの手数料」を請求してきます。

保険金を受け取れて修理工事の費用を支払った場合も、工事が全く行われなかったり、いい加減な工事が行われたりすることがあります。

6.火災保険で保険金を請求する際の本来の手順

最後に念のため、本来あるべき火災保険の保険金請求の流れを紹介します。

手続きの流れが把握できれば、高額なサポート費用を支払ってまで、業者に代行してもらう必要がないことがお分かりいただけるでしょう。

6-1.損害があった旨を保険会社へ連絡する

最初に、自然災害等で損害が発生したことを、電話などで保険会社へ連絡します。

その際に、保険会社から主に以下のような内容を聞かれます。

  • 契約者名
  • 保険証券番号
  • 損害が発生した日時・状況など(分かる範囲で)

また、請求にあたって必要となる書類の種類について指示があります。不明点があればこの時点で質問しておくとよいでしょう。

6-2.必要な書類の提出

保険会社から指示された通りに書類を用意して提出します。

書類の種類は保険会社によって異なる場合もありますが、おおよそ必要となる書類は以下のとおりです。

  • 保険金請求書:保険会社が用意する書類に記入
  • 罹災証明書:罹災した事実や被害の内容を証明する書類。管轄の消防署・消防出張所で発行してもらえる

【罹災証明書のイメージ】

  • 写真:被害の状況を撮影したもの(デジカメやスマホ等で撮影した画像データも可)
  • 修理見積書(報告書):修理業者から取り寄せたもの

6-3.保険会社が現地調査を実施

保険会社が損害鑑定人を契約者のお宅へ派遣して、申請された請求内容が適切なものか調査を実施します。

鑑定人は現地調査の結果を、保険会社へ報告します。もし明らかにおかしな請求であれば、この時点でバレます。

6-4.保険金支払い可否の決定

現場調査の結果をもとに、保険会社が審査を行います。この審査が通れば、保険金を受け取れることになります。

6-5.修理の実施

保険金を受け取った後に、そのお金で修理を行います。

本来であれば、保険金を受け取った後に修理業者との契約をするべきです。なぜなら、申請した内容どおりに保険金がおりるとは限らないからです。

保険金の請求に入る前に修理工事の契約を結ばせようとしてくる業者は、詐欺を疑った方が良いでしょう。

7.火災保険で詐欺に遭わないために覚えておきたいこと

火災保険を悪用した詐欺業者の手口などは理解いただけたのではないでしょうか。

それでは詐欺に引っかからないために、火災保険の契約者はどのような点に気を付けるべきでしょうか。

ここでは、そのためにおぼえておきたいことをまとめて紹介します。

7-1.立証が困難な請求では保険金がおりない

繰り返しになりますが、きちんとした理由による請求でないと、立証困難とみなされ、保険金を受け取れない可能性が高いことは覚えておきましょう。

特に保険金の支払いの理由となる自然災害からかなりの時間が経過していると「なぜ今更」ということで詳しい調査が入り、結果として災害と損害の因果関係を立証できず、保険金請求が認められないリスクがあります。

7-2.保険金がおりるまで修理の契約をしてはならない

詐欺業者は相手をだますために、契約を急がせるかもしれません。

「保険金だけで住宅の修理ができる」「請求の手続きは全部代行するから手間はかからない」などと勧誘を受けても、すぐに契約するのはやめましょう。

必ず契約書を受け取り、条項を隅々まで確認してください。

また、上述したとおり、保険金を請求しても実際に受け取れるとは限らないので、保険金がおりてから修理工事の契約をすることをおすすめします。

複数の業者から見積もりをとって、勧誘してきた業者の見積もりが妥当なものか比較するのも大切です。

見積もりに納得できない場合は、はっきり勧誘を断るようにしましょう。

7-3.保険会社に問い合わせるなどして契約の内容を確認する

どのような場合に保険金が支払われるかは、火災保険の契約内容によります。

そのため、修理の契約をする前に、火災保険の保険証券を調べたり保険会社へ問い合わせたりするなどして、契約の内容を確認しておくことが必要です。

契約内容によっては、そもそも補償対象外で保険金がおりないこともあります。

7-4.虚偽の内容で保険金の申請をすることは絶対にしない

詐欺業者によっては、虚偽の内容で保険会社へ保険金の申請を行わせようとすることがあります。

たとえば、明らかに経年劣化が原因の破損であるにも関わらず、台風などの自然災害による事故であるように装って保険金の請求をしていることが発覚した場合、保険の契約を解除されたり、保険金の返金を求められたりすることがあります。

場合によっては、詐欺罪(刑法246条1項)で刑事罰に問われてしまう可能性も考えられます。

万が一、詐欺業者から虚偽の申請をするように案内をされた場合は、絶対に勧誘に乗ってはいけません。

7-5.業者のホームページや窓口がきちんと用意されているかチェックしてみる

相手が詐欺業者かどうか見極める手段の1つとして、その業者のホームページをチェックするのも有効です。

きちんとしたホームページがあり、問合せ窓口などがしっかり用意されている業者であれば、信頼できる業者である可能性が高いと言えます。

7-6.不安や不審があれば、消費生活センターへ相談する

詐欺業者からしつこい勧誘を受けたり、高額な請求を受けたりして困った場合には、消費生活センターへ相談するのも1つの手です。

万が一契約をすすめてしまった場合でも、早めに気づけばクーリング・オフができる可能性もあります。

電話で「188(いやや)」という番号にかければ、最寄りの消費生活センターの連絡先を教えてくれます。

まとめ

火災保険の保険金に絡む詐欺は、増加傾向にあります。

詐欺業者は「保険金を使い自己負担なしで住宅を修理できる」「請求のサポートをする」などと甘い言葉で勧誘してきます。

原因をはっきり示すことができなければ保険金はおりませんし、仮におりたとしても想定した額になるとは限りません。

また、明らかに経年劣化による損壊にも関わらず、詐欺業者に言われるがままに災害による損壊と偽り保険金の請求をすれば、詐欺罪に問われることもあります。

この記事でまとめたポイントを押さえ、詐欺業者に騙されないように気を付けましょう。また、不安があれば、お近くの消費生活センターへ相談することをおすすめします。

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