社内の運動会や町内のお祭り等の行事で、参加者や見学者がケガをしてしまったら、治療費等の費用がかかることがあります。また、場合によっては主催者が責任を問われることがあります。
そんな時に役立つのがレクリエーション保険です。
この記事では、レクリエーション保険とはどんな保険かということから、補償の内容、保険料が何によって決まるかまで解説しています。
レクリエーション保険に加入するべきか検討されている方は参考にして下さい。
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1.レクリエーション保険とは?
レクリエーション保険は、社内の運動会や町内のお祭りのような、比較的小さな規模の行事を対象とした保険です。
保険の対象となる行事の参加人数は、保険会社によって「20人以上」「45人以上」などに設定されています。もし参加人数が少ない場合は、参加者に個別で傷害保険へ加入してもらう方法があります。
対象となる行事は、1日だけの行事に限らず、何日かにまたがる行事でもOKです。ただし、合宿やキャンプなどの宿泊を伴う行事は対象外です(国内旅行保険でカバーされます)。
参加者や見学者がケガをしたりした場合、治療費等の損害をカバーしてもらえます。
似ている「イベント保険」との違いは?
レクリエーション保険に似たものとして、「イベント保険」がありますので、その違いについて簡単にお伝えします。
レクリエーション保険との違いは、もっぱら行事の規模です。
レクリエーション保険は、社内運動会・町内祭のような内輪向けの規模の小さな行事を対象とするものです。これに対し、イベント保険はコンサートや展示会のような、不特定多数の参加者が想定されるような規模の大きな行事を対象としているのです。
また、補償の範囲も違います。
レクリエーション保険は、詳しくは後でお伝えしますが、基本的に参加者のケガ等を補償するにとどまり、行事が中止になった時の損害はカバーしてもらえません。
これに対し、イベント保険は、イベントが中止になった場合の損害を肩代わりしてくれます。たとえば出演者や出展者への報酬等、チケット払い戻しにかかった費用等です。
なお、イベント保険の詳細については「イベント保険とはどんな保険?補償の内容やつけるべき特約まとめ」で解説しておりますので、興味があればあわせてご覧ください。
2.レクリエーション保険で補償される内容
レクリエーション保険は、主に、行事の参加者がケガをした場合の治療費等を補償するものです。これは傷害保険と同じです。ただし、ふつうの傷害保険との違いは、傷害保険を一人ひとりにかけなくても、団体として加入することで、参加者全員のケガがカバーされることです。
一般にレクリエーション保険というと、この傷害保険のことです。
また、保険会社のプランによっては、行事を見学しにきた人など「第三者」にケガを負わせたり死亡させたりしてしまった場合の賠償責任の補償を追加することもできます(賠償責任保険)。
以下、それぞれ具体的にどんな補償が行われるか解説します。なお、具体的な補償の額、保険料の相場については、後ほどまとめてお伝えします。
2-1.行事の参加者のケガの補償(傷害保険)
まず、基本の補償は、行事の際の事故によって、参加者がケガをしてしまった場合や、亡くなってしまった場合の補償です。
実際に支払われる保険金の種類として以下が挙げられます。
死亡保険金・後遺障害保険金
参加者が事故で亡くなってしまった場合に支払われるのが死亡保険金、日常生活に支障をきたすような後遺症が残ってしまった場合に支払われるのが後遺障害保険金です。この2つはセットの補償になっており、どちらかだけを補償してもらうことはできません。
後遺障害保険金は、後遺症の重さの程度に応じて、死亡・後遺障害保険金額の一部、または全部が支払われます。
入院保険金
入院した際に、日数に応じて支払われる保険金です。金額は、参加者1人につき「1日○千円」と設定します。1日目から支払われます。
手術保険金
手術が必要となった際に支払われる保険金です。支払われる保険金は保険商品によって異なりますが、たいていは入院保険金の日額の10倍です。
通院保険金
通院が必要になったときに、通院した日数に応じて支払われる保険金です。「1日◯千円」と設定します。
2-2.行事を見学に来た人等(第三者)にケガをさせた場合の補償(賠償責任保険)
こちらは行事の参加者ではなく、見学に来た人等の「第三者」にケガをさせたり死亡させたり、モノを壊したりしてしまった場合の補償です。
被害者に対して損害賠償金を支払わなければなくなった場合に、その損害賠償金等の費用をカバーするのです。
受け取れる保険金は、以下の通りです。
損害賠償金
第三者にケガをさせてしまったり、死亡させてしまったり、モノを壊したりした際に、その損害を埋め合わせるのに必要なお金のことです。たとえばケガをした場合は、治療費や仕事をできないことで稼げなかった収入の埋め合わせなどが含まれます。
緊急措置費用
事故が発生したときに緊急的に必要となった費用をさします。たとえば第三者が重大なケガを負った際に、その応急手当などにかかった費用をさします。
争訟費用
裁判や示談交渉になった時にかかる費用全般をカバーします。
たとえば、書類作成費用、弁護士を雇うのに必要な費用(弁護士費用)鑑定人の費用、さらに、裁判所に出廷するための旅費・宿泊費、などが含まれます。
損害防止軽減費用
損害が発生したときに、その損害が拡大するのを防止したり軽減したりするのにかかった費用のことをさします。たとえば火災が発生した際には、消火活動で使った消火薬剤を改めて購入する必要などが含まれます。
協力費用
保険会社が被害にあった第三者と交渉するのにあたって、被保険者(契約者)が協力するのに必要となった費用をさします。
3.レクリエーションの種類ごとの保険料例
多くの場合、1日、長くて2~3日程度の行事のために、どのくらいの保険料を支払う必要があるのか気になることでしょう。
レクリエーション保険の保険料は、主に行事の「危険度」や「参加人数」によって決まります。
たとえば、ダンスやヨガなどの行事より硬式野球やサッカーの大会の方が、ケガをしてしまう可能性が高く「危険度」が高いというのはイメージしやすいことでしょう。
また補償の対象となる行事の参加人数が多ければ多いほど、確保する保険金額が高くなるほど保険料もあがるのは当然です。
以下、参考までにA損保のレクリエーション保険における保険料の例を紹介します。なお、「最低保険料」というものがあり、計算上の保険料の額が最低保険料よりも低かった場合、最低保険料が適用されます。
傷害保険
行事の種類 |
保険金額 |
保険料
(1名1日あたり)
|
比較的危険度が低い行事
バトミントン大会・水泳大会・ボウリング大会・ハイキング・ヨガ・ダンス大会・盆踊り・潮干狩り・見学会・バーベキュー大会・町内清掃など |
死亡・後遺障害:
約538万円 |
25円 |
入院保険金(日額):
2,000円 |
通院保険金(日額):
2,000円 |
危険度が普通程度の行事
社内運動会・軟式野球大会・剣道大会・マラソン大会・サイクリング大会・サッカー教室(試合は除く)・日帰りのキャンプ大会・アスレチック・ボディビル大会など |
死亡・後遺障害:
約538万円 |
125円 |
入院保険金(日額):
2,000円 |
通院保険金(日額):
2,000円 |
比較的危険度が高い行事
サッカー大会・硬式野球大会・山車やみこしが含まれる祭礼・相撲大会・スキー大会・など |
死亡・後遺障害:
約538万円 |
250円 |
入院保険金(日額):
2,000円 |
死亡・後遺障害:
約538万円 |
賠償責任保険
行事の種類 |
支払限度額 |
保険料(1名1日あたり) |
主催者の賠償責任のみ対象とする場合 |
主催者・参加者両方の賠償責任を対象とする場合 |
比較的危険度が低い行事
バトミントン大会・水泳大会・ボウリング大会・ハイキング・ヨガ・ダンス大会・盆踊り・潮干狩り・見学会・バーベキュー大会・町内清掃など |
1事故につき
1億円 |
10円
※
1行事あたりの最低保険料:3,000円 |
50円
※
1行事あたりの最低保険料:5,000円 |
危険度が普通程度の行事
社内運動会・軟式野球大会・剣道大会・マラソン大会・サイクリング大会・サッカー教室(試合は除く)・日帰りのキャンプ大会・アスレチック・ボディビル大会など |
10円
※
1行事あたりの最低保険料:3,000円 |
50円
※
1行事あたりの最低保険料:5,000円 |
比較的危険度が高い行事
サッカー大会・硬式野球大会・山車やみこしが含まれる祭礼・相撲大会・スキー大会など |
10円
※
1行事あたりの最低保険料:3,000円 |
150円
※
1行事あたりの最低保険料:7,500円 |
祭礼 |
場合により細かく異なるため、代理店や損害保険会社への問い合わせが必要 |
スキー・スノーボードに関する行事、スキイダイビングなど |
契約対象外 |
まとめ
以上、レクリエーション保険についてお伝えしてきました。
レクリエーション保険とは、社内運動会や町内のお祭りのように比較的小さな行事において、参加者がケガをしてしまった場合や見学にきた第三者に損害を与えてしまったような場合に補償を行う保険です。
メインの補償内容は、参加者のケガの治療費等をカバーする傷害保険です。参加者個人がそれぞれで加入しなくても、団体で加入すれば全員が補償を受けられるという特徴があります。
また、見学者等の第三者にケガを負わせてしまって損害賠償金の支払い義務を負った場合をカバーする賠償責任保険の特約も付けられるのです。
保険料は、行事の危険度や参加人数、確保する保険金額などによってかわります。
イベント保険と似ていますが、イベント保険は規模の大きな行事を対象にしていて、来場者等のケガだけでなくイベント中止になった場合の損害を肩代わりしてくれる点が、レクリエーション保険とは異なります。