美容室の保険|意外なリスクと本当に必要な保険とは

美容師や理容師の皆様は、いつも、お客様が気持ちよく過ごせてキレイになってもらえるよう、細心の注意を払っていらっしゃることと思います。

しかし、どんなに細心の注意を払っていても、事故が絶対に起きないとは言い切れません。

たとえば、ヘアーカット中にお客様がくしゃみをした拍子にお客様の体を傷つけてしまったという話や、シャンプーが原因で頭皮が炎症を起こしてしまったという話をたまに聞きます。

そういう場合、損害賠償責任を負う可能性があります。また、悪評が立ってその後の店舗経営にも大きなダメージを与えてしまうかもしれません。

この記事では、美容室で起こりうる具体的な事故の例を念頭に置いて、美容業界などで起こりうる万が一のリスクに備えるために、どんな保険に入っておくべきなのか、分かりやすく解説します。

美容室の関係者の方だけでなく、同じ業界で活躍されている経営者の方にお役に立てる内容となっていますので、是非最後までお付き合いください。

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保険の教科書編集部

保険の教科書編集部

私は10年以上にわたり、生命保険業界で働いております。マイホームの次に高い買い物と言われることもある保険ですから、本当に必要な商品を無駄なく加入してもらうことが大切だと考えています。お一人お一人のご希望やライフプランをおうかがいし、少しでも豊かな人生を送るお手伝いが出来ればと思っております。

1. お客様等に損害を与えてしまった場合に備えた保険

まず、美容室・理容室を経営していて一番に思い浮かぶリスクは、お客様にケガをさせたり、お預かりした手荷物を紛失したりして損害を与えてしまうことです。そこで、そういった事態に備えた保険についてお伝えします。

また、通行人等の無関係な人にケガをさせてしまった場合についても合わせて説明します。

1.1. 来店中にお客様に損害を与えてしまった場合の保険

真っ先に備えなければならないのは、来店中にお客様に損害を与えてしまうケースです。

大きく分けて、以下の3つのケースが考えられます。

  • 施術中のミスのためお客様にケガをさせたり服を汚したりした
  • 店舗の欠陥(水濡れ、段差等)のためお客様にケガをさせた
  • お客様から預かった手荷物が紛失した、または盗難に遭った

そして、これら3つのリスクに備えるために、「施術中の事故に備える保険」「施設賠償責任保険」「受託者賠償責任保険」の3種類の保険があります。

以下、説明していきます。

1.1.1.施術中の事故に備える保険

美容室で最も大きなリスクは、カット・カラー・パーマなどの施術行為が原因で起こる賠償責任問題でしょう。これは理美容室独特のものと言えます。具体的には以下のようなケースが考えられます。

【具体例】

  • ヘアーカット中に、お客様の耳を切ってしまった。
  • パーマ液の薬剤が飛び散って、お客様の洋服を汚してしまった。
  • カラーリングの薬剤でお客様のお肌がかぶれてしまい、お客様が病院に通院した。

このような事故を起こさないよう、従業員の皆様は細心の注意を払い、日々の努力を積み重ね技術力の向上を目指していることと思います。ただ、残念なことですが事故は100%防ぐことはできません。

万が一の時に備える保険としては「全日本美容業生活衛生同業組合連合会」で紹介している「美容所賠償責任補償制度」があります。サロンワークで起こりうる様々なリスクを考えて、本当に必要な補償内容をご検討いただくようお願いいたします。

1.1.2. 店舗の欠陥による事故に備える補償|施設賠償責任保険

以上は、施術のミスが原因でお客様に損害を与えてしまった場合についてでした。美容室では施術のミスだけではなく、店舗や施設自体の欠陥が原因でお客様に損害を与えてしまうこともあります。たとえば以下のようなケースです。

  • お店の段差でお客様が転倒し、ケガをしてしまった。
  • 床が濡れたままになっていて、お客様が滑ってケガをしてしまった。
  • 看板が倒れ、通行人にケガをさせたり、車にキズをつけたりしてしまった。

こういった事故が起きてしまった時の賠償責任は、上でお伝えした「美容所賠償責任補償制度」、あるいは民間の損害保険会社の「施設賠償責任保険でカバーしてもらえます。施設賠償責任保険については、『施設賠償責任保険とは?意外に知らない補償内容と必要性』をご覧ください。

1.1.3.お客様から預かった荷物に対する補償|受託者賠償責任保険

お客様からお預かりした荷物を紛失してしまう、壊してしまう、汚してしまう、盗まれてしまうなどの場合が考えられます。

【具体例】

  • お客様から預かっていたバッグを紛失してしまった。
  • お客様から預かっていたコートを汚してしまった。
  • お客様から預かっていたメガネを壊してしまった。

美容室で手荷物を預かるのは当然のように行われていますよね。お客様の大切な貴重品を預かるわけですから、紛失や盗難を防ぐために、鍵のかかったロッカーを導入している店舗も増えてきています。

しかし、そこまでしても、忙しい業務の中で、上述のような事故が完全に防げるとは限りません。そこで、お客様の持ち物に損害を与えてしまった場合の賠償損害をカバーする保険に加入しておくことをおすすめします。

美容所賠償責任補償制度」の補償内容にもなっていますし、単品の保険としては民間の損害保険会社の「受託者賠償責任保険」です。受託者賠償責任保険については『受託者賠償責任保険とは?対象となる会社と補償内容』をご覧ください。

1.2. 店舗で販売した物が原因でお客様に損害を与えてしまった場合の保険

以上はいずれも、お客様が来店中の事故のリスクに備える保険でした。しかし、事故が起きるのはお客様が来店中だけではありません。

見過ごしがちですが、店舗で販売したシャンプーやトリートメントなどの商品が原因で、お客様に被害を与えてしまい、賠償責任問題に発展してしまうことがあります。

【具体例】

  • 販売した化粧品がお客様の肌に合わず、肌荒れを起こして、お客様が通院した。
  • 販売したシャンプーがお客様の頭皮に合わず、炎症を起こしてしまった。

今の美容室は、施術以外の「オリジナル商品」を販売することでお客様の満足度を高め、リピーターを増やすような企業努力を重ねています。これらの商品はアレルギーテストを行っているはずなのですが、全てのお客様にアレルギーが起きないとは断言できません。したがって、そういうリスクをカバーしてもらえる保険PL保険」(生産物賠償責任保険)に加入していただくことをおすすめします。PL保険については詳しくは『PL保険とは?基本の補償内容と組み方のポイント』をご覧ください。

2. 店舗自体の損害・経営リスク等に備える保険

以上は、お客様等に損害を与えてしまった場合の保険でした。ここからは、店舗自体に発生するリスクに備える保険について説明します。考えられるリスクは以下の2つです。

  • 火災・水濡れ・盗難等、店舗と設備の損害
  • 店舗が損害を受けて休業しなければならなくなった場合の営業損害

2.1. 店舗と設備の損害に備える保険

まず、火災・水濡れ・盗難等、店舗と設備の損害に備える保険は、事業用火災保険(事業活動総合保険店舗総合保険等)です。

美容室の運営は、高齢者など対象とした訪問美容などもありますが、ほとんどの場合が店舗を構えて営業を行っています。ですから、火災保険は絶対に加入すべき保険です。

【具体例】

  • お店に泥棒が入ってレジの現金が盗まれた。
  • お店が火事になり工事をすることになったが、大家さんに対して賠償が発生した。
  • 水道の蛇口の締め忘れで水漏れし、階下の店舗の商品を汚してしまった。

個人の賃貸物件でも同様ですが、店舗を賃貸で借りていると退去時には原状回復を求められます。火災で退去せざるを得ない状況であっても「元の状態に戻してから退去してください」と言われてしまうこともありますから、火災保険は絶対に必要になります。

ただし、店舗については一般の住宅と違い、事業用の火災保険を選ぶようにしてください。「事業活動総合保険」か「店舗総合保険」、特に補償範囲を広く設定できる「事業活動総合保険」をおすすめします。

「事業活動総合保険」「店舗総合保険」は、美容室の店舗そのものだけでなく、「ドレッサー・美容椅子・シャンプー台・鏡」などの設備も補償してもらえます。保険会社により補償内容が微妙に異なりますので、何をどこまで補償の対象とするかは、契約前に必ず確認するようにしましょう。

2.2. 店舗が損害を受け営業できなくなった場合に備える保険

最後に、美容室が、火災や水漏れなどでやむを得ず休業となった場合、「事業活動総合保険」だと、休業時の損失を補償してもらえます。

【具体例】

  • 火事で店舗を修理することになり、休業しなくてはならなくなった。
  • シャンプー台の水漏れにより、修理のため休業しなくてはならなくなった。
  • 電気・ガスの供給がストップしてしまい、営業ができなくなってしまった。

多くの美容室はお客様1人に対し何人かのスタッフが協力してカットやカラーの施術を行います。個人経営の方は別ですが、仲間がいなくては成り立たない業種といえるのではないでしょうか?

何らかの事故でお店を開けることができない間でも、経営者はスタッフに対しては給料を支払わなくてはいけません。休業補償は必須ではありませんが、備えておけばいざという時の収入をカバーすることができます。

なお、休業補償には、従業員が病気やケガで働けなくなった時の給料をカバーする保険もございます。ここで説明したのはあくまで店舗が損害を受けたことによって営業できなくなってしまった場合の保険です。種類が異なりますので、混同しないようご注意ください。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事では、美容室の経営者の方が店舗に必要な補償内容をイメージしていただけるよう、具体例をあげながら解説しました。

最近の美容室では、カットと同時にネイルケアが行えたり、サロン独自の商品を販売したりと、様々なサービスが行われています。サービスが広範囲になれば、賠償責任問題となるリスクも発生します。そのようなリスクに備え、安心して店舗経営を行うために様々な保険があります。

美容室の経営者の方は、ご自身の店舗にとって本当に必要な保険は何なのか?保険会社や担当者の方とじっくりご相談して、ご決断いただきますようお願いいたします。

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