火災保険の長期契約のメリットと注意点|35年契約はなぜなくなった?

公開 2019年9月12日更新 2022年1月13日
火災保険の長期契約のメリットと注意点|35年契約はなぜなくなった?
火災保険の長期契約のメリットと注意点|35年契約はなぜなくなった?

火災保険を契約する時には、保険期間を選択することになります。

保険期間を「5年」「10年」など長期にすると、保険料の大幅な割引を受けられるなどのメリットがあります。ただし、若干の注意点もあります。

この記事では、火災保険の保険期間を決める際に、知っておきたい長期契約のメリットと注意点をまとめて紹介します。

1.火災保険の契約期間は1年~10年の間で選択できる

火災保険の契約期間は1年~10年の間で選べるようになっています。

契約期間が長期化するほど保険料の割引を受けられる率が高くなります。実際、どのくらい割引が行われるかは後述します。

1.1.持ち家か賃貸かで期間の設定に違いがある

火災保険の保険期間の設定は、持ち家か賃貸かで違います。

1.1.1.持ち家の場合

持ち家の場合は、5年もしくは10年の長期に設定することが多く、これをおすすめします。

1.1.2.賃貸の場合

賃貸の場合、一般的なのは、賃貸借契約期間に合わせることです。たとえば、2年更新の賃貸マンションの場合、火災保険の保険期間も2年ごとに契約更新するのが一般的です。

ただし、賃貸の場合は、補償の対象が建物ではなく家財(家電・家具・衣類など)なので、仮に契約期間の途中で他の賃貸住宅へ引っ越したとしても、建物の耐火性能のレベル(鉄筋コンクリート造りかなど)さえ同じであれば「異動」の手続をして現在の火災保険を使い続けることができます。

1.2.約半数が5年以上の長期契約を選択

それでは、世間一般では契約期間をどのように設定しているのでしょうか?以下、損害保険料率算出機構による「2018年度 火災保険・地震保険の概況」のデータを基に作成した表をご覧ください。

【契約年数ごとの火災保険の契約数】

契約年数 契約数 割合
短期(1年未満) 28,008 0.2%
1年 3,639,442 29%
2年 2,559,839 20%
3年 427,277 3%
4年 12,945 0.1%
5年 5,086,086 40%
6年 16,153 0.1%
7年 1,735 0.1%未満
8年 744 0.1%未満
9年 514 0.1%未満
10年 893,833 7.0%
その他 66,134 0.5%
合 計 12,732,710  -

最も多いのは5年契約(40%)で、次いで1年契約(29%)、2年契約(20%)、10年契約(7%)と続きます。半数近くが保険期間を5年以上として契約していることになります。

なお、持ち家の場合は、5年以上の長期契約をしている世帯の割合がさらに大きくなると考えられます。なぜなら、賃貸住宅の場合、多くは賃貸借契約の期間が2年なので、それに合わせて火災保険も多くが2年契約だと推察されるからです。

参考|なぜ35年契約がなくなったか?

火災保険の保険期間は、以前は最長36年まで設定することができました。これは、住宅ローンが35年で組まれることが多いのに対応したものでした。

しかし、2015年10月以降は、火災保険の保険期間は最長で10年までとなっています。

10年を超える保険期間が廃止された大きな理由は、まず、保険期間が長すぎると期間中に保険内容が建物・家財の実態とずれてしまうおそれが大きいということです。この点については今も注意が必要ですので、後で改めてお伝えします。

また、近年、自然災害が頻繁に発生するようになり、保険会社が長期的なリスクの予測をするのが難しくなったということもあります。

そのため、火災保険の期間はせいぜい10年までにしておくのが適切だということになったのです。

2.火災保険の保険期間を長期化するメリットと注意点

このように、多くの方が、火災保険の保険期間を長期に設定しています。そこで、火災保険の保険期間を長期に設定することのメリットと注意点をまとめます。

【長期契約のメリット・注意点】

メリット 注意点
・保険料が大幅に割引になる

・途中解約してもお金が戻ってくる

・補償内容の見直しを適切に行う必要がある

2.1.長期契約のメリット

2.1.1.保険料が大幅に割引になる

長期契約の最も大きなメリットは、保険料の割引率が大きくなることです。

保険会社にもよりますが、5年契約だと15%近く、10年契約だと、1年契約よりも20%近く割引になることが多いです。

いずれも数万円単位の割引が実現されます。一括で保険料を支払える余裕がないということでない限り、長期契約にすることをおすすめします。

なお、一括で全期分を支払うのが難しければ、長期年払という方法もあります。これは契約期間を長期にして、保険料を1年ずつ分けて払っていくものです。

2.1.2.途中解約してもお金が戻ってくる

長期契約をするにあたって心配なのは、契約期間の途中で引っ越しや住宅の購入等のため解約すると損をしてしまうのではないかということではないでしょうか。

しかし、実はその場合、残りの契約期間に応じた保険料の全額、もしくは全額に近い金額が戻ってきます。

以下、参考までにA損保の火災保険(10年契約)を例に、解約するタイミングごとに、返してもらえる保険料の割合(未経過料率)の一部をまとめた表を掲載します。

解約のタイミング 返してもらえる保険料の割合
(未経過料率)
0年12ヵ月目 89%
1年12ヵ月目 79%
2年12ヵ月目 70%
3年12ヵ月目 60%
4年12ヵ月目 50%
5年12ヵ月目 40%
6年12ヵ月目 30%
7年12ヵ月目 20%
8年12ヵ月目 10%
9年12ヵ月目 0%

ご覧のとおり、A損保の火災保険(10年契約)では、1年12ヵ月目のタイミングで解約したとしても1%分しか損しません。10年分の保険料が200,000円なら、2,000円くらいです。

また、2年12か月目以降は、未経過分の保険期間分の保険料が全額戻ってきます。

ただし、未経過料率は保険会社によって異なるので、都度ご確認下さい。

補足|途中で住宅が滅失した場合も保険料が返ってくる

なお、長期契約の期間中に解約でなく、住宅が全焼するなどの全損事故に見舞われた場合、保険金が支払われた後、火災保険の契約が終了します。

そして、未経過期間分の保険料は返してもらえます。

2.2.長期契約の注意点|補償内容の見直しを適切に行う必要がある

長期契約の注意点は、契約期間中に、必要な補償内容が変わっていく可能性があることです。先にお伝えしたように、契約期間が長期になればなるほど、火災保険の契約内容と本当に必要な補償内容とがずれていくおそれがあります。

この問題は、保険期間の最長が10年とされたことによって大幅に改善されましたが、10年でもそれなりに長い期間ですので、依然として注意が必要です。特に、家財については、ライフスタイルに応じて変動しやすいので、要注意です。

以下、建物と家財に分けて説明します。

2.2.1.建物の補償内容の見直しの必要性

まず、建物の保険金額です。加入する時点で「その建物を新たに再建するにはいくら必要か」を決定します(詳しくは「火災保険の建物評価額とは?損害を確実にカバーするのに不可欠なこと」をご覧ください)。

しかし、建物の建設費は常に一定ではありません。建築資材の高騰などで高くなることもありますし、逆に下落することもあります。

もし資材の価格が高騰していれば、万一の場合に受け取れる保険金額が建物を再建するのに足りなくなるおそれがあるので、保険金額を高く設定し直す必要が出てきます。

逆に、資材の価格が下落していれば、保険金額が過大になっている可能性があります。その場合、保険金額を下げて保険料を抑える必要が出てきます。

10年という期間でそこまでの極端な騰落が起こることはまれかもしれませんが、可能性は決してゼロではありません。一応、毎年確認しておくことをおすすめします。

2.2.2.家財の補償内容の見直しの必要性

次に、家財(家具・家電製品・衣類・寝具など)の保険金額は、加入時に「今ある家財を買い直したり修理したりするのにいくらかかるか」ということで決定します(詳しくは「火災保険の家財の保険金額(評価額)とは?いくらにすべき?」をご覧ください)。

子どもが生まれたり、ライフスタイルが変化したりすることによって、家財の量が大きく変わることが想定されます。

なので、補償内容の見直しを適切に行う必要があります。毎年、保険会社から補償内容を書いた書面が送られてくるので、一応、その都度確認しておくことをおすすめします。

まとめ

火災保険では、契約期間ごとに長期係数という割引率が決まっています。35年の契約があった時には相当な割引を受けることができました。

しかし、現在、35年の長期契約は現在はできなくなりました。その理由は、自然災害の発生率の変化や、経済状況など、不確定要素が大きく、保険会社にも契約者にもメリットが乏しいためです。

現在、火災保険の契約期間は最長で10年に短縮されましたが、加入者にとって、不確定要素があることは否定できません。

長期契約を結ぶ際は、火災保険の契約内容をきちんと押さえておき、意識して定期的に補償内容を見直すことを忘れないようにしていただきたいと思います。

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