医療保険の通院特約は役に立つのか?

最近、医療保険のCMやパンフレットで、通院時の保障(通院給付金)をアピールするものが増えています。

しかし、実際のところ、それがどんな内容なのか、どれだけ有効なのか、判断するのは難しいと思います。

そこで、この記事では、医療保険の通院保障(通院給付金)は役に立つのか、その内容と有効性に焦点をあて、通院治療の費用を確保する他の方法にも触れながら解説します。

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長谷川桂介

長谷川桂介

今まで10年以上、法人や個人の資産運用に従事。また保険だけでなく投資や節税、資金調達など法人の財務に関する実務をこなしてきた企業財政のエキスパート。

1.医療保険が保障するのは主に入院と手術の費用

1-1.医療保険は基本的に通院治療を保障していない

医療保険の基本の保障(主契約)が対象としているのは、入院と手術の費用です。

入院給付金を「入院日額●円」、手術給付金を「手術1回●円」と設計します。その上で、特約で必要な保障を追加する形をとっています。

通院での治療も保障してほしい場合には、特約で保障を追加するか、医療保険以外の保険を検討することになります。

1-2.入院期間は短期化し、通院治療の比重が増している

重い病気やケガの場合、以前は長期的に入院をして手術を受けるというのが一般的でした。

しかし、昨今では医療技術が進歩したことや、国が通院・在宅での治療を優先する方針を取っていることなどから、入院期間が短くなっています。

以下のデータをご覧ください。平均的な入院日数は年を追うごとに短くなっており、2017年には30日を切っています。

【退院患者の平均在院日数】

  • 1990年:44.9日
  • 1993年:41.9日
  • 1996年:40.8日
  • 1999年:39.3日
  • 2002年:37.9日
  • 2005年:37.5日
  • 2008年:35.6日
  • 2011年:32.8日
  • 2014年:31.9日
  • 2017年:29.3日

(厚生労働省「2017年 患者調査(退院患者の平均在院日数等/P14)」)

1990年と比べると、入院日数の平均は2/3以下です。

さらに、もう一つデータをご覧に入れますと、入院より外来での治療を受ける患者数の方が圧倒的に多いことが分かります。

【種類別推計患者数】

  • 入院総数:1,312.6万人
  • 外来総数:7,191.0万人

(厚生労働省「2017年 患者調査(推計患者数/P1)」)

このように、昨今では入院と手術に限らず、通院・在宅を含めて治療方法が多様化しており、従来の医療保険の保障は必ずしも医療の実情に合わなくなってきているのです。

たとえば、がんにかかると、抗がん剤や放射線での通院治療を長期間続けるケースが多くなっています。中には何年にもわたって通院での治療が続くケースもあります。通院での治療が長期化すれば、それだけ患者の負担も重くなってしまいます。

しかし、従来の医療保険の基本的な保障内容では、それらの費用をカバーしてもらえません。

2.医療保険の「通院給付金」の特約はおすすめできるか?

このような実態を受けてのことか、最近の医療保険は、「通院給付金」の特約を付けられるタイプが多くなっています。

通院給付金とは、主に、病気やケガで通院した際に「日額●円」というお金を受け取れるものです。金額は入院給付金と同額に設定されることが多くなっています。

しかし、この通院給付金特約は、必ずしも有効と言えません。その主な理由は、支払いの条件が厳しいことです。

多くの医療保険では、「退院後の通院」だけが保障対象となっています。

たとえば、入院しなかった場合はお金を受け取れないのはもちろん、入院したとしても、入院前の通院は保障の対象になりません。

また、治療のための通院のみが対象です。つまり、退院後に経過観察のための検査や薬をもらうために通院した場合は保障してもらえないのです。

さらに、通院給付金を受け取れるのは通院したその日の分だけです、退院後の通院は「週●回」「月●回」と、それほど頻度が大きくはないと考えられますので、それほどメリットは大きくありません。

これらのことからすれば、医療保険の通院給付金の特約は有効とは言い難いものです。少なくとも、通院給付金の特約を目当てにして医療保険に加入する価値はありません。また、わざわざお金を余分に払って通院給付金特約を付ける必要があるかも疑問です。

3.通院時の保障が欲しければ他の特約・保険で

そこで検討したいのが、医療保険以外の保険に加入する方法です。なお、それらの保険と似た内容の他の医療保険の特約を付ける方法もあります。

代表的なものが、がん保険です。

がん保険で有効なのは3つのタイプです。

1つは、入院・通院に関わらず、抗がん剤・放射線治療等を受けたらそのつど「●万円」の治療給付金を受け取れるタイプです。

2つ目は、がんと診断された場合に「100万円」などのまとまった額の診断給付金(一時金)を受け取れるタイプです。

一時金の使い道は自由なので、何に使っても構いません。通院中の医療費はもちろん、入院の準備にかかるお金や、通院にかかる交通費や、家族がお見舞いに通う際の交通費にも充てられます。

3つ目は、受けた治療の実費を全てカバーしてくれるタイプです。これは5年ごとに保険料が上がっていくのに注意が必要です。

また、これらを組み合わせたタイプのものもあります。詳しくは「がん保険で通院治療を有効にカバーするため知っておきたいこと」をご覧ください。

また直接的に医療費を保障するものというわけではありませんが、通院治療中は仕事ができずに収入が途絶える可能性があることを考えると、就業不能保険所得補償保険を検討しておくことも有効です。

これらの保険では、重い病気などで働けない期間は、「月●万円」という保険金を受け取れ、収入の一部をカバーしてくれます。

それぞれ、以下のケースを対象としています。

  • 就業不能保険:働けない状態が長期間続いて回復困難な場合
  • 所得補償保険:ドクターストップがかかって一時的に働けない場合

それぞれの保険の内容、どんな方に向いているのかについては、詳しくは「収入保障保険と所得補償保険・就業不能保険の違いと使い分け」をご覧ください。

なお、医療保険の中には、これらの保険と同じような内容の特約を付けられるものもあるので、そういう保険を選んだ上でカスタマイズする方法も考えられます。詳しくは「医療保険の選び方|だれでもできる選び方のポイント」をご覧ください。

まとめ

入院期間が短期化し、通院治療が増えた昨今では、通院治療の費用を保険で確保しておきたいと考えるのが人情だと思います。

しかし、医療保険の「通院給付金」の特約は、支払条件が厳しいなどの理由であまり有効ではありません。

仮に通院保障をつけたとしても、かかった費用に対して十分な保障が得られない可能性が高いのです。

がん保険に加入したり、病気で働けない期間の収入の一部をカバーするために就業不能保険・所得補償保険に加入したりする方が有益です。なお、医療保険の中には、それらの保険と同じ内容の特約を付けられるものもあります。

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