知っておきたい医療保険と生命保険の違いと選び方

一口に保険に加入するといっても様々な種類がありますが、中でもテレビCMなどで頻繁に宣伝され、多くの方が初めに検討するのは生命保険と医療保険ではないでしょうか。

しかし、生命保険と医療保険を並べてみても、どちらがどんな保険でどのように役立つか、どちらが必要なのか分からないという方もいるでしょう。

この記事では、2つの保険の違いを解説した上で、それぞれどんな時に必要になるのか詳しく解説しています。

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保険の教科書 編集部

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1.生命保険と医療保険の違い

まずは生命保険と医療保険の違いを見ていきましょう。

それぞれ、どんな目的で加入するのか、どんな時に保険金が支払われるのか、以下の表にまとめます。

【生命保険・医療保険の比較】

生命保険 医療保険
主な加入目的の例 自分に万一のことがあった場合に、家族にまとまったお金を遺したい。 病気やケガをした際の治療費をカバーしたい
保険金が支払われる場合 自分が亡くなった際(遺族が受け取る) 自分が病気やケガで入院手術をした場合(自分自身が受け取る)
生命保険 医療保険
主な加入目的の例 自分に万一のことがあった場合に、家族にまとまったお金を遺したい。 病気やケガをした際の治療費をカバーしたい
保険金が支払われる場合 自分が亡くなった際(遺族が受け取る) 被保険者が病気やケガで入院手術をした場合(自分が受け取る)

ご覧の通り、生命保険と医療保険は加入の目的も、保険金が支払われる場合も全く異なります。

以下、生命保険・医療保険の概要について詳しく解説していきます。

2.生命保険は実際にどんな場合に必要か

生命保険とは、自分が亡くなった際に遺族がお金を受け取れる保険です。主に、以下のような目的で加入します。

  1. 自分に万一のことがあった場合に、遺された家族が暮らしていけるだけの生活費等を確保する
  2. 自分に万一のことがあった場合に、整理費用(葬儀費用・お墓代)を遺す
  3. 老後の資金や子どもの学資を積み立てる

2-1.遺された家族の生活費等を確保する必要がある場合

たとえば一家の大黒柱が亡くなった場合は、大黒柱が積み立ててきた貯金があるほか、公的保険から「遺族年金」が支給されます。しかし、遺族年金は、それまでに受け取っていた収入と比べると少なくなりますし、それだけでは暮らしていけない世帯が多いでしょう。

子どもがまだ小さければ、将来、高校や大学に不自由なく通わせるために、まとまった学費も必要となります。

そのために生命保険の保険金が必要となるのです。

2-2.葬儀費用・お墓の費用を遺す必要がある場合

次に、整理費用(葬儀代・お墓代)を遺す場合です。

これは、守るべき家族がいる場合はもちろん、独身でも、肉親に整理費用で迷惑をかけたくないという場合も考えられます。特に、貯蓄が十分でない場合は、生命保険でそのためのお金を確保しておくのが有効です。

2-3.老後の資金、子どもの学資を積み立てる場合

最後に、これは本来の生命保険の役割ではないのですが、老後の資金、子どもの学資など、目的を持って効率よくお金を積み立てる場合です。

生命保険には、解約すると、解約返戻金と言ってお金が戻ってくるものがあります。適切なタイミングで解約すると、この解約返戻金が、払い込んだ保険料総額を上回ります。

この貯蓄性に注目して、生命保険に加入するのです。

3.生命保険を選ぶ際に覚えておきたい基本

ここまでお伝えしてきた生命保険の加入目的(家族の生活費等の確保、整理費用の準備、貯蓄)を踏まえ、生命保険を選ぶ際に覚えておきたい基本を解説します。

3-1.生命保険の種類

まず、生命保険の種類についてお伝えします。重要なのは以下の3種類です。

それぞれについて簡単に説明します。

3-1-1.定期保険|いつ万一があっても遺族にまとまったお金を遺せる

定期保険は、保険期間が「●歳まで」「●年間」などと決まっている生命保険です。保険料が戻ってこない「掛け捨て」である代わり、万一の場合の死亡保険金額は大きな額に設定できます。

自分に万一があった場合には、遺された家族が保険金を一括で受け取ることができます。以下の図のように、保険期間中、保険金額は一定で変わりません。

たとえば、子どもがこれから高校や大学への入学を控えていて、入学費用などでまとまったお金を保険金で確保しておく必要がある場合には、定期保険が適切です。

詳しくは「定期保険とは?しくみと2つのタイプと活用のポイント」をご覧ください。

3-1-2.収入保障保険|無駄のないしくみで保険料が割安

収入保障保険は、保険期間に区切りがあることと、保険料が戻ってこない掛け捨ての保険であることは定期保険と同じです。

一方で、万一があった場合に遺族が受け取る死亡保険金は、定期保険のように決まった額を一括で受け取る形ではなく、「毎月●万円」という形で設定されます。

そのため、収入保障保険では、以下の図のように、保険期間が終了(満了)に近づくにつれ、受け取れる保険金額の総額が少なくなっていきます。

なぜこのようになっているかというと、年を経るごとに、残りの人生で必要な生活費等の総額が減っていくからです。たとえば、子どものいる世帯であれば、契約時から時間が経過すればいずれ子どもが独立し、お金がかからなくなっていきます。

それに合わせて、収入保障保険は、保障の総額が毎月減っていくのです。そして、このような無駄のないしくみになっているので、定期保険より保険料が割安になっています。

ただし、毎月一定額を受け取る保険であるため、子どもの大学入学等を控えていてまとまったお金を死亡保険金で確保したい場合には適していません。その場合は、定期保険を選ぶか、収入保障保険と定期保険を併用するようにします。

詳しくは「収入保障保険とは?知っておきたいしくみと活用法のポイント」をご覧ください。

3-1-2.終身保険|貯蓄が主目的で保障は少ない

終身保険は、主にお金の貯蓄を目的とした生命保険です。

保障は一生涯続きますが、その分の保険料を「60歳まで」「●年間」など、予め決まった払込期間までに払い込み終えるようにします。そして、保険料の払込が終わった後に解約すると、保険料総額よりも多くの「解約返戻金」を受け取れるしくみになっています。

解約せず加入し続ければ解約返戻金は増え続けるため、貯蓄に適した生命保険と言えます。

一方で、定期保険・収入保障保険と比べ保険料が非常に割高であり、設定できる保険金は整理費用(葬儀代)程度なので、遺族の生活費を確保する目的には向いていません。

実際、終身保険で遺族の生活費として必要な数千万円単位の保険金を用意しようとすると、毎月の保険料が数万円~10万円超と非常に高額となります。これでは生命保険本来の死亡保障の役割は不十分と言わざるを得ません。

終身保険はもっぱら貯蓄目的で加入し、ついでに整理費用程度を準備する保険だと言えます。

詳しくは「終身保険とは?今だから知っておきたい本当の活用法と選び方」をご覧ください。

補足|養老保険も貯蓄目的の生命保険だがおすすめできない

貯蓄を目的とした生命保険としては養老保険もありますが、保険料が非常に割高である上に、解約時の返戻率が100%を割る商品も多く、米ドル建て養老保険等の一部の例外を除いておすすめできません。

詳しくは「養老保険で利率・返戻率の良いプランを選ぶため知っておきたいこと」をご覧ください。

3-2.生命保険を組む際はライフプランニングが必須

生命保険を契約する際に重要なのは、「保険金額をいくらに設定するか」です。

いざという時に保険金が生活費等をまかなうのに足りなければ目も当てられませんし、必要以上の金額であればその分、保険料が無駄になってしまいます。

保険金額を適切に設定するためには、子どもの学費や夫婦の老後のためにどのくらいのお金が必要かや、自分に万一のことがあった時に受け取れる遺族年金はどのくらいになるかなど、さまざまなお金を整理して検討することが必要です。

とはいえ、プロでなければ、このあたりの数字を正確に導き出して保険金額を決めるのは難しいでしょう。

そこで、信頼できるファイナンシャルプランナー等の専門家のライフプランニングを受けて保険金額を決定するのが有効です。

ライフプランニングでは、将来的な生活設計をもとにして、どのくらいのお金が必要となるかをできる限り正確に算出します。それがなければ、適切に生命保険のプランを組むことはできません。

4.医療保険|実は優先順位が低い

医療保険とは病院やケガで入院や手術をした際に「入院日額●円」「手術1回につき●円」という保険金(入院給付金、手術給付金)を受け取れる保険です。

しかし、医療保険は、生命保険をはじめとする他の保険と比べ優先度が低いと言わざるを得ません。以下、その理由を解説します。

4-1.入院期間が短くなっている

医療保険の中心的な保障の一つが、入院給付金です。しかし、昨今では、以下の通り入院期間が短くなってきています。

【退院患者の平均在院日数】

  • 2002年:37.9日
  • 2005年:37.5日
  • 2008年:35.6日
  • 2011年:32.8日
  • 2014年:31.9日
  • 2017年:29.3日

(厚生労働省「2017年 患者調査(退院患者の平均在院日数等/P14)」)

ご覧のように、2017年には30日を切りました。理由としては、医療技術の進歩だけでなく、入院よりも在宅・通院での治療が優先される傾向にあることなどが挙げられます。

4-2.公的な保険で医療費の大部分をカバーできる

次に、日本では医療に対する公的保険の保障が充実しています。

入院費用・手術費用については、その大部分を公的保険でカバーできる可能性が高いのです。

具体的には、高額療養費制度によって、毎月の自己負担額が一定額以上になった場合に、その差額をあとから返金してもらうことができます。

たとえば、平均的な月収が28~50万円の方の場合、どんなに治療費がかかっても、1ヵ月の医療費上限は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」となり、それより多くかかっても返金してもらえるということです(参照:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年(2018年)8月診療分から)」)。

このケースだと、仮に総医療費が100万円かかった場合でも、自己負担額の上限額は87,430円となります。

ただし、自分の意思で大部屋でなく4人以下の少人数の部屋や個室を選ぶ場合には別途差額ベッド代がかかり、高額療養費制度の対象外です(病院側の都合等で個室等に入らざるを得ない場合は、差額ベッド代の支払いを拒否することができます)。

4-3.がん保険・働けなくなった時の保険など、他に優先すべき保険が多い

たとえば、がんにかかると在宅・通院での抗がん剤・放射線治療の期間が長くなり、その分、医療費が高額となる傾向にあります。

また、がん、脳卒中、脳梗塞のいわゆる三大疾病になると、働けなくなる期間が長くなり、その間は収入がなくなってしまうリスクも無視できません。しかも、後遺症が残り以後は全く働けなくなる可能性も否定できません。

そのため、がんの医療費を幅広く保障するがん保険や、働けない期間の収入を保障する所得補償保険・就業不能保険などが重要となってきます。

さらに、高齢になれば介護状態や認知症になるリスクがあるため、現在では介護保険、認知症保険にも注目が集まっています。

このように、医療保険の保障内容(入院・手術の費用のカバー)よりも優先度の高い保障があるのです。

4-4.医療保険の効果的な活用法

ただし、医療保険自体がダメというわけではありません。プランの組み方によっては有効性が高くなることもあります。

たとえば、医療保険には、がん保険や働けなくなった時の保険、介護保険等、他の保険の保障内容を、割安な保険料で特約として付けられるものがあります。

以下は、A生命の医療保険の契約例です。

  • 契約者:40歳男性
  • 入院日額:3,000円/日(初日~10日目までは一律3万円)
  • 手術費用:(入院)3万円、(外来)1.5万円
  • 先進医療特約:あり
  • がん診断給付金:100万円
  • 認知症診断給付金:100万円
  • 介護年金(要介護2になったら年金を5年間受け取れる):36万円/年
  • 保険料:5,690円/月

メインの保障である入院給付金は1日3,000円と低く設定しています。その代わり、入院日数が1日だけでも3万円受け取れるようになっています。

重要なリスクへの備えとしては、がんと診断された時や認知症と診断された時に100万円を受け取れます。また、要介護2と認定されたら5年間にわたって毎年36万円を受け取れます。

このように、重要な保障を柔軟に組み合わせることができれば、医療保険の契約として有効性が高くなります。

どんな保障が必要なのか、どのプランを選ぶべきかは、生命保険と同様、フィナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、ライフプランニングを受けた上で決めることをおすすめします。

まとめ

生命保険は、自分の身に万一のことがあった場合に、遺族が生活費等に困らないようにするためや、整理利用(葬儀費用・墓の費用等)を準備するためのものです。また、貯蓄の役割を果たすものもあります。

これに対し、医療保険は、病気やケガをした際の入院・手術費用を確保するためのものです。

生命保険が多くの人にとって必要であるのに対し、医療保険は実は優先順位がそれほど高くありません。なぜなら、医療保険のメインの保障対象である入院費用・手術費用については公的な保障である程度賄える上に、そもそも入院日数自体が短くなっているのが理由です。ただし、組み方によっては有用な保障を備えることができます。

いずれにしても、適切なプランに加入するには、信頼できるファイナンシャルプランナー等の専門家に相談し、ライフプランニングを受けることが必要です。

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