企業に必要な保険|経営者が備えるべきリスクとその対策

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※この記事の「2.1.②」における法人保険の保険料の損金算入割合等に関する税務上の扱いに関する記載内容は、2月14日以前に保険会社が提示していた見解を前提としております。

現在、国税庁が、以下の条件を満たす保険契約において、新たなルールを設けることを検討しているもようです。

  • 被保険者が役員・従業員
  • 保険期間が3年以上の定期の生命保険、第三分野の保険(医療保険・がん保険等)
  • 満期返戻金がなく、保険料が給与とならない
  • 解約返戻金のピーク時の返戻率(解約返戻金額÷保険料総額)が50%超となる

現在、ほとんどの保険会社が、以上の条件をみたす法人保険の販売を順次停止しております。新規加入を検討する場合は、保険料の損金算入が認められないリスクも考えられますので、くれぐれも慎重な判断をお願いいたします。

個人の場合、保険には自身の生活を担保するという、ある種シンプルな役割を求めることになりますが、企業の場合になってくると、「企業自体に損害があった時」と「経営者に万一のことがあった時」の2つの「もしも」に備えなければいけません。

加えて、従業員に対する「福利厚生」を充実させるために保険が「活用」されることも考えると、3種類の役割を保険に求めることになります。

そのような役割を1つの保険でカバーすることは難しいので、企業では生命保険と損害保険の2種類を併用し、リスクに備えるのが一般的です。

今回は企業向けの保険について、

  • 事業活動に備える損害保険
  • 経営者や従業員のための生命保険

に分けて紹介します。

また、保険を活用するにあたって発生する税金関係の注意点についても解説していきます。

しっかり理解して、企業のリスクに備えましょう。

1.事業活動のリスクに備える損害保険

企業活動のリスクヘッジに活用することになるのが損害保険です。

企業活動におけるリスクは業種によって様々です。

例えば、良くニュースになる自動車関連メーカーのリコール問題などが挙げられますね。

リコールによって莫大な金額の損害賠償金を支払うこととなり、経営が破綻してしまうといったことは、会社を経営していれば十分にあり得ることです。

他にも業務中の従業員の怪我や、輸送中の事故による商品の損失など、会社をやっていると事業活動の中で様々なリスクがあることが容易に想像できます。

そのようなリスクに備え、損害保険には様々な種類があります。

今回はIT企業と飲食店等の店舗経営を例に、企業が備えるべき損害について見てみましょう。

1.1.IT企業で考えられるリスク

IT企業の場合以下のようなリスクが考えられます。

  • 災害による事務所に対する損失
  • データ損失やシステムの不具合、情報漏洩などに対する賠償責任
  • 輸送中の事故による発注していた機材の損失

特にデータ損失やシステムの不具合、ハッキングによる情報漏洩のリスクとは常に隣り合わせであると考えて良いでしょう。

幾重にも対策を張り巡らせておいたとしても、経営者としては安心できるものではありませんよね。

万一の際の最終防衛ラインとして、損害保険への加入は十分に検討しましょう。

1.2.飲食店等の店舗経営で考えられるリスク

  • 火災や自然災害による損害
  • 顧客が店舗内で怪我をしてしまい、その責任が店舗側にある場合の賠償責任
  • 食中毒など、提供したものが原因で顧客に損害を与えてしまった場合の賠償責任
  • 顧客の荷物が盗難等にあった場合の賠償責任
  • やむをえない店舗の休業による損失

飲食店等の店舗経営では、多くの「個人」を顧客として相手するため、損害賠償のリスクが大きいと言えます。

また、火を扱うような店舗では、火災による損害の可能性も見過ごすわけにはいきません。

何かあってからでは遅いので、今一度損害保険について検討してみると良いでしょう。

参考として、損害保険について解説している関連記事をいくつか紹介します。

2.経営者や従業員のための生命保険

2.1.経営者のための保険

経営者が生命保険に加入するメリットとして挙げられるのが、以下の2つです。

  1. もしもの時に売り上げの填補として活用できる
  2. 税負担を軽くしながら積立をすることができる

それぞれについてみていきましょう。

①もしもの時の担保として活用できる

経営者に万一があった場合、会社の経営が立ち行かなくなる可能性があります。

経営者が率先して仕事を取ってくるような企業だった場合は単純に売上が下がるでしょうし、銀行からは、借入金の一括返済を求められるかもしれません。

会社に十分すぎるほどのキャッシュがあるならともかく、資金繰りにあまり余裕のない会社の場合、組織が再編される前に潰れてしまうことも少なくないのです。

経営者が生命保険に加入していれば、そういった事態に備えることができます。

生命保険金を当てることで、組織再編から業績回復までの数年間を金銭的にカバーすることができるのです。

では、経営者に万一があった場合の備えとしておすすめな保険にはどのようなものがあるかみていきましょう。

■定期保険

定期保険はいわゆる「掛け捨て型」と呼ばれる生命保険で、経営者の方に万一のことがあった時、決まった額が受け取れるものです。

掛け捨てのため保険料が割安で、万一のことがあったら必ず決まった額を受け取れるのが特徴です。

注意点として、保険金を一時金で受け取ってしまうと、全額が受け取った年の「益金」として計上されてしまい、膨大な金額の法人税を支払うことになってしまいます。

法人向けの生命保険であれば、特約によって「年金受取」にすることができ、数年に渡って分割で受け取れるので、銀行からの借入金を一括返済しなければならない場合などの理由がなければ「年金受取」にしましょう。

詳しくは「定期保険の経理処理|低い保険料で大きな保障を得られる仕組」をご覧ください。

■収入保障保険

定期保険と同じく「掛け捨て型」の保険ですが、こちらは保険期間満了まで、毎月一定額を受け取ることができる保険となっています。

つまり、受取開始から保険期間満了までの期間が短ければ短いほど、受け取れる総額が少なくなるのが特徴です。

借入金の一括返済のような、すぐにまとまったお金がいるという状況を除けば、定期保険よりおすすめできる保険と言えます。

保険料が定期保険以上に割安なのも特徴です。

詳しくは「法人の収入保障保険が事業安定化に最適である3つの理由」をご覧ください。

②税負担を軽くしながら積立をすることができる

法人保険には事業保障もありつつ、節税しながら積立もできる保険がいくつかあります。

そういった保険は全額または一部を損金にすることができ、さらに解約すればお金(解約返戻金)を受け取れるのが特徴で、以下のようなものがあります。

共通しているのは、加入してから数年〜数十年後に、解約返戻金の返戻率がピークを迎えるということです。

保障内容などについては「事業保障に役立つ法人保険10種類の特徴と活用方法」をご覧ください

上記に代表されるような、保険料を損金算入でき、かつ時間差で返戻金のピークが訪れる性質の保険を利用すると、黒字の年度の利益を抑えて税金を減らし、赤字になりそうな年度に補填するというようなことができます。

方法論としては、黒字の間は保険料を支払って、その金額を「損金」として計上することで税金対策をし、いざ赤字になった際に保険を解約して、受け取った解約返戻金を赤字のカバーに当てるといった段取りです。

また、同じような手法で退職金の積立を行うことも可能です。

1つの具体例を出してみます。

下記条件の不動産会社で、A生命の全額損金定期保険を活用した場合です。

条件

  • 被保険者:経営者の妻(役員)
  • 保険金額:1億3000万円
  • 保険期間:70歳まで
  • 保険料:4,131,824円(全額損金)
  • 解約返戻金の返戻率のピーク:10年後(90.8%、37,525,150円

この保険における20年後までの返戻率の変動は以下の通りです。

上記より7〜10年目に返戻率が90%を超えていることがわかります。

この不動産会社では当分の間は黒字を見込んでいたのですが、東京オリンピック後に業績が落ち込み、赤字になる可能性を恐れていました。

今回、A生命の「全額損金型定期保険」を活用することで、保険解約までは保険料を損金に加えることで税金を減らしつつ、赤字になった際に解約することで赤字を軽減することができるわけです。

同じ手法で、退職金の積立にも活用することができます。

こちらは退職に合わせて返戻率のピークが来るような保険に加入することで、退職金の積立にも活用が可能です。

詳しくは「節税保険とは?法人税の節税の効果を最大にするための選び方」をご覧ください。

また、それぞれの会社にあった法人保険をお探しの方は、是非専門家に意見を聞いてみてください。

きっとあなたの会社状況にぴったりな保険が見つかるはずです。

2.2.従業員のための保険

「福利厚生」の充実は、人材確保の面で大いに役立ちます。

以下の図をご覧ください。

ここまで待遇に差があると、月給が5000円安いにしても、右の求人に魅力を感じませんか?

実は、右側の待遇は「総合福祉団体定期保険」に加入していると活用できるサービスをつけています。

総合福祉団体定期保険とは、法人が全従業員の方を対象としている生命保険で、加入することで以下のようなメリットがあります。

  • 労災以外でも死亡保険金が出る
  • 会社も死亡保険金を受け取れる
  • 持病等があっても加入しやすい
  • 求人広告を充実させることができる

加入条件として、役員・従業員合わせて10名以上が在籍している必要があります。

従業員を守るため、福利厚生のの充実をアピールするために、加入しておいて損はない保険と言えるでしょう。

詳しくは「総合福祉団体定期保険とは?加入の4つのメリット」をご覧ください。

従業員に向けた保険には、「団体長期障害所得補償保険(GLTD)」というものあります。

こちらも団体で加入する保険なのですが、上記の「総合福祉団体定期保険」が従業員が死亡した時を保障するのに対し、「団体長期障害所得補償保険(GLTD)」は従業員が怪我や事故で働けなくなった場合を保障してくれます。

詳しくは「団体長期障害所得補償保険とは?5つのポイントと加入メリット」を御覧ください。

まとめ

経営者は自身の会社に対する責任を一身に背負っています。

その責任は、自身がいなくなった後でも変わらず、遺された会社の将来のため、できる備えは可能な限りしておく必要があります。

今回紹介した保険も、運用方法によっては様々な活用ができるものなので、会社の事情に合わせ、うまく使っていきましょう。

また、今いる従業員を守ることも重要です。

今回紹介した保険を活用し、安全な会社経営をしていきましょう。

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